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第1章
1-96・告白。さきへ君と④(ルスフォル視点)
しおりを挟む同時に羨ましい。そうも思う。
なにせ彼は俺に近づかない。
夜に俺が彼の元を訪れると受け入れ、いっそ求めてくれているかのような素振りまで見せる割に、彼の方から俺を訪ねてくることは、本当に必要最低限なのである。
それこそ、仕事の書類のやり取りなどをごくまれに交わす程度。会えば会ったで気遣いを見せてくれたりはするのだけれど。
とにかくこうして探していても目にすることすら珍しく、その点、彼の方から会いに来てもらえている王太子を、どうして羨ましく思わずにいられるだろうかとさえ感じていた。
だからと言って、俺はそこへは行けそうもないのだ。
そもそも、そろそろ休憩を切り上げなければ仕事が溜まることは明白で、そうすると夜に彼の元を訪れる時間が遅くなってしまう。
今、あそこへ割って入って行って、彼や王太子からの顰蹙を買うのと、夜に堂々と彼の元を訪れるのと、どちらを選ぶのかとなった時に結局は後者を選んでいるだけの話。
だから俺はぐっとこらえ、彼らから視線を逸らし、執務室に向けて踵を返した。
大変に後ろ髪引かれる心地で、だけど同時に可能な限り早く戻って、出来るだけとっとと仕事を済ませてしまおう、そう思う。
少しでも早く夜、彼の元を訪れられるように。
ティーシャ。
どうしてこんなに。自分でも不思議で仕方ない。
彼はきっと俺を好いてはいないのに、俺は彼に惹かれてやまないのだ。
それは夜に体を交わしているからというだけが理由ではない。
確かに彼は美しい。
魔力も多く、非常に魅力的だ。
行為だって気持ちがいい。
俺は毎夜、溺れるように夢中になっている。
でも、俺が彼に好意を寄せている理由は、そんなものだけではなくて。
『陛下』
たおやかな手が、脳裏に甦る。
『少し、お休みくださいませ』
そう言いながら休憩を促した、柔らかな気遣いが胸を満たした。
勿論、そんな些細な出来事一つで心を奪われたわけではない。
だけどそう言ったことが降り積もっていって、いつしかすっかり俺は彼が気になって仕方なくなっていたのである。
キレイで、かわいくて、優しくて、気持ちいい。
そして俺を懸命に受け入れてくれる、どうしてそんな存在に心を傾けずにいられるというのだろう。
初めて見た時から見た目に惹かれて、その後もほんの僅かだって、悪い印象を持つことがなかった。むしろ彼を知れば知るほどますますその存在を好ましく思っていくばかり。
今も。やはりただ少しでも、彼と共にいたいのだ。
俺の心の中にあるのは、近頃はもうそればかりだった。
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