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第1章
1-107・告白。さきへ君と⑮(ルスフォル視点)
しおりを挟む「君たちの場合はそれが少しばかり良くない方向に作用しているのではないかと僕達は思っている」
つまりそれはティーシャを、放すことが出来ない、閨の中でのことのようだった。
なるほど、と思った。
だからこそ自分は毎夜、理性を飛ばして、酷く激しく長時間、ティーシャを求め続けてしまっているのだろう。その好意に、言い訳をもらえたようにさえ感じられる。だが、もちろん、ティーシャにだけ原因があるだなんて思わないし、俺とティーシャの夜の理由を、ティーシャにばかり見出すつもりも当然ない。
実際に今、ラーヴィ様も言っていた。そもそも、俺の衝動があればこそなのだと。
だから俺が自覚して、気持ちをしっかり持ったなら、ティーシャと、触れ合うばかりではない時間が取れるだろうと。今のはつまりそういう話なのだろう。
大丈夫だ、そう思う。
きっと次にティーシャと夜、閨で二人きりになっても。いかにティーシャに手を伸ばされても。今度こそ俺はティーシャを、窘めることが出来るだろう。否、しなければならないのだ。
ティーシャに。俺の気持ちが傾いているというのならば余計に。
それは根拠のない自信などではなく、ただの俺の中の覚悟のようなものだった。
「君の様子を見る限り、しっかり伝わっているようでよかった。話し合いさえできれば、たとえ少しずつであっても状況は変わっていくだろうから、是非、ティーシャとそうして過ごすよう心掛けてみて欲しい。でないと多分、ひどいことになりそうなんだ。勿論、同じような注意にはティーシャにもしてあるよ。あの子は婚姻式の後に、と言っていた。あと数日だね」
婚姻式。それまではどうしても慌ただしく忙しいのは確かで、今、こうしてラーヴィ様と話している間さえ、実は惜しいと思うほど。だが、こと、ティーシャのことであるならば、何よりも優先してしかるべきだ。
いずれにせよ、数日後に迫ったそれを区切りとするのは、特に俺としても、何も否やなどあるはずがなかった。
またしても頷くばかりの俺を見て、ラーヴィ様も笑みの形に目を細めている。
「それまでは忙しいだろうし、それを理由に少しばかり夜を別に過ごしてもいいかもしれない。たった数日のことでもあるし。あと、さっきから言っている、ひどいことになるかもしれないっていう話の内容なんだけど、君はこの世界での子供の作り方を、どれぐらい把握しているかな?」
そして改めてそんなことを問いかけられて、全く予測していなかった内容に、俺は一瞬、驚きに目を瞬かせていた。
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