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7・女生徒①
しおりを挟むとある女生徒が、キューミオ殿下の近くに侍るようになったのは、高等部に入って、1年と少しが経ってからのこと。
その時には私はルーミス殿下とも、随分共に過ごす時間が減っていた。
キューミオ殿下とは特に同じ時間を過ごしたいなどちっとも思っていないので構わないのだけれども、ルーミス殿下と同じ時間を過ごせないのは、どうしても寂しく思ってしまう。
とは言え勿論、そのようなことは顔には出せないのだけれど。
ちなみに、学園ではそうして共に過ごせる時間が減っているが、王子妃教育などの王族としての心得を学んだりだとか、今から慣れる意味でも少し手伝わせて頂くようになっている執務だとかを熟すために通っている王宮では、変わらず、基本的には一緒に過ごしている。
だからあくまでも減ったのは、学園での休憩時間等の僅かな時間だけだった。
ルーミス殿下は何もおっしゃらない。
ただ、いつも通りであり続けておられるだけ。
会話一つとっても、減りもしていなければ増えもしていなかった。
そもそも元より、必要最低限しか言葉を交わさないのだから、そのようなものなのだろう。
仲が悪くなっただとかいうわけでもなければ、避けられているだとかいうわけでもない。
ただ、なんとなく、キューミオ殿下がお近くにおられる時には、私が勝手に遠慮してしまうだけの話。
とにかく、そうなっていた折に、とある一人の女生徒が、キューミオ殿下の元へ、頻繁に姿を見せるようになったのである。
ピンクがかった濃い赤髪をなびかせた、大変に可愛らしい、小柄な女生徒だった。
小柄な割に体つきは妙に肉感的で女性らしく、なんとなく男性に好まれそうな容姿というのはああいうのを言うのかもしれないとちらと思う。
態度もまた、基本的に通う生徒にはどうしても貴族が多くなってしまうこの王立学園において、貴族的なものをまるで感じさせなくて。
初めのきっかけはなんだったろうか。
そう、確か。
「あ、キューミオ様ぁ! 先日はありがとうございましたっ! とぉーっても助かりましたっ!」
などと大変に馴れ馴れしい口調で駆け寄っていったことだっただろうか。
否、きっかけというのならおそらく、本人が『先日』と言っている通り、『先日』に何かがあったのだろうけれども、そのようなことは私にはわかるわけがなく、ただ、どう考えても王族に対するものとは思えない態度に、顔には出さないまでも内心、ぎょっとしてしまったのをよく覚えている。
相手によっては不敬と断じられてもおかしくはない無礼極まりない態度でありながら、キューミオ殿下は全く気になさってはおられない様子で、
「おお、君かぁ! この間は大丈夫だったかい? 大事ないようだったらよかった」
などと大変にこやかに対応しておられ、隣にいたルーミス殿下は反対に、明確に気分を害したと言わんばかり、ぎゅっと顔をしかめられておられたのが非常に対照的だった。
そもそも、そのように不機嫌を顔に出されるのも珍しい。
余程許容しがたかったのだろうと内心頷いた。
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