結婚10年目で今更旦那に惚れたので国出したら何故か他国の王太子に求婚された件。~星の夢2~

愛早さくら

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3・偽りの学園生活

3-56・休日⑦

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 ユーファ殿下が、なんだか何と応えるべきか考えあぐねているように見える。珍しい、とティールは思った。
 コルティが子供だからか、それともナウラティスの第三王女だからか。
 多分きっと、両方だろう。いろんな意味で無下にしてはいけない相手。

「ごめんね、ティールとは学園でも一緒で、仲良し・・・のお友達だから、つい。それに人が多いからかな? 私からは・・・・ティールしか見えなくて。……ピオラ殿下も。大変失礼いたしました」

 まるで言い訳のようなことを口にしながら、ユーファ殿下が傍らに立つピオラにも、そっと、頭を軽く下げる。

「あら? いえいえ、お気になさらないで。街中ですものね。そういうこともありますわ」

 うふふふ。小さく笑いながらピオラは本当に全く何も気にした様子を見せなかった。
 仮にも自分の婚約者候補が、自分の護衛にだけ目を止めたということになるのだが、ピオラ的にはそれで問題ないのだろうか。むしろ気になったティールに応えてくれる者など誰もいない。
 ピオラもコルティも、今、意識の大半はユーファ殿下にだけ向いていた。

「なるほど? そういうことなのね! それで、お兄さん・・・・はどうしてティールに声をかけてきたの?」

 にこにこと微笑みながら問いかけるコルティの様子は無邪気な幼子そのもので、いつも通りと言えばいつも通り。なのに何処かそうではなく見えるのはどうしてなのだろう。
 ティールは敢えて口を挟まず、彼らのやり取りを見守った。
 そもそも、ティールは護衛ということになっているので、よほどでもない限り、コルティを叱るようなことも出来ないのである。
 ユーファ殿下に対しても同じだ。
 いずれにしても今のティールは見守ることしかできなかった。

「街なんて珍しい所で見かけたから、どうしたのかと思って。それで、もしよければ私も一緒にいていいかな?」
「なんだ、仲間になりたかったのね! いいわよ。ねぇ、いいでしょう? ティール」

 なんとユーファ殿下はこのまま行動を共にしたいと申し出てくる。
 と、言うか、それをコルティに聞くのか。
 くいと手を引かれ、見上げられながらコルティに訊ねられ、ティールはちらとピオラと、そしてユーファ殿下にそれぞれ視線を流した。
 どうしてか全員がティールを見ていて、え、ここで決定権が自分に来るのか、とティールは少しぎょっとする。
 ティールはあくまでもただの一護衛なのだが。
 コルティがいいと言っているのだ、ティールに勿論、否やなんてない。だから。

「コルティ様やピオラ様が、宜しいのでしたら」

 にこと微笑みそうとだけ返すと、コルティは、

「やったー!」

 と、ぴょんぴょん飛び跳ねるぐらい喜んでいて、それほどまでにユーファ殿下を仲間に入れたかった・・・・・・・・・のかと驚いた。
 そもそもピオラが反対するはずもなく、

「あら、私は構いませんわ」

 と、いつも通りおっとりと頷いている。
 こうしてどうしてか、初めての街へ降りての買い物に、ユーファ殿下も加わることになったのだった。
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