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3・偽りの学園生活
3-75・アーディからの提案
しおりを挟む時間を置く、距離を取る。それはいったいどうやって。
そんなティアリィの疑問にも、アーディはきちんと提案を用意していた。
何故なら、今のまま、王宮とファルエスタを行ったり来たりしていては、距離も取れなければ時間など置けそうもなかったからだ。
それに対するアーディの提案は、もうじき始まる夏季休暇に、いっそこの機会に、ついでに国内の視察に行ってみてはどうかということ。
なるほど、確かに国内の視察など久しく敢行されていない。公国への視察は不定期的に行っているのだが、国内となると、問題は書面にて報告され、それを適切に処理さえしていれば、ほとんどの場合は解決できてしまうがゆえに、なかなか視察にという話にならなかったのである。
それは国内貴族の中には、誤魔化しや横領など、何か問題行動を犯す者など存在しないが故の慢心と言えただろう。ただ、それでも細かく問題が起こっていないわけではなく、それらを実際に目で見て確かめるのも、悪くはないのではないかとのこと、なるほどとティアリィも頷いて、さっそく実行に向けて、準備が進められることになった。
向かうのがティアリィである以上、当たり前に転移魔法は駆使する予定であり、そうであれば、移動の時間はほとんど考慮する必要がなくなった。とは言え、ナウラティス帝国の領土は広大である。
いくら移動に時間がかからないとはいえ、実際の確認こそ、一瞬で済むはずもなく、おそらく、夏季休暇中はそれだけで、終わってしまうのではないかと思われた。
また、夏季休暇までの短い日数に関しては、これもアーディは、ティアリィに、王宮に戻らなくてもよいと言ってきて、コルティを連れてファルエスタで過ごせばいいし、仕事に関しては、自分が運ぶのでやはりファルエスタで処理をすればいいとも申し出てくれる。
勿論、他者の、特に他国の人間の目に触れるわけにはいかない書類もそれなりの数存在し、だからこそアーディ自らで運ぶので問題とならないはずだと言い切られ、これには流石に躊躇したティアリィも、結局はしぶしぶ受け入れることとなった。
そうして取れる時間さえ、精々が長くても三ヶ月。
夏季休暇は二ヶ月弱あり、そこまでの日数が、だいたい一月ほどだったが故、ひとまずはそれだけ。離れて見れたいいというのが、つまりアーディの提案だったのである。
そうして離れている間に、自分の気持ちと向き合ってみるようにと。ある意味では至れり尽くせりで、全面的にサポートしてくれるという息子は。やはり、ティアリィにとって、もったいないぐらいの出来すぎた子供に他ならないのだった。
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