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4・初めての国内視察
4-3・男女の役目
しおりを挟むそもそもこの視察に明確な目的などはない。
むしろメインはティアリィの息抜きのようなもので、視察そのものはついでだ。つまり今日この後の予定もほとんど観光に終始した。
もともとパンレソイ辺境伯領はグローディの生まれ育った地方で、特に問題が起きているという報告も受けていない。加えてほとんど来たことのない港町。
傍には最愛の妹と幼なじみの夫婦。
気分転換にはもってこいと言えただろう。ただ。
「同行というけど、ルーファ、それはいつまで?」
「あら? 視察中ずっとですわ。期間は夏季休暇が終わるまでと伺っております。その間、わたくしたちもお供する予定ですの」
「でも、そんなに長く家を空けていて大丈夫? レーヴもまだ小さいのに」
レーヴは、アルフェスとルーファの間に生まれた2番目の子供で、確か今年4つになったはずだ。
まだまだ両親が必要な年齢だった。
ティアリィだって毎日、全行程というわけではなくとも、日によってはコルティを伴う予定になっている。
ティアリィの疑問に、ルーファは少し考えるように首を傾げた。
「そうですわねぇ……通信はこまめにする予定ですし、その辺りの見極めも、アーディが請け負って下さいましたの。最悪、アルフェス様さえ戻られれば問題ございませんわ。恋しいのは母親でしょうから。お兄様は母親でらっしゃるからお分かりにならないかもしれませんが、父親というのも寂しいものなんですのよ?」
自分は子供にとって、アルフェスほどには必要とされていない。
それをすんなり口に出しつつ、軽やかに笑うルーファを前に、ティアリィは何とも言えない気持ちになった。
アルフェスとルーファの場合、子供を産んでいるのはアルフェスなのだ。つまり、アルフェスが母親で、ルーファが父親となる。
性別は逆だが、役目としてはそうだった。
この世界で子供を作ることになった場合、特にそれでも問題はない。ただし、非常に少数派であるのは確かである。
その所為で、特にナウラティス以外では実際の所はどうあれ、対外的に逆とすることもしばしばだと聞いていた。
アルフェスはルーファの言葉にむすっとしていて、何か気に食わない部分があったことがわかる。
「アルフェス?」
ティアリィが訪ねると、アルフェスは小さく溜め息を吐いて。
「ルーファはよくやっている。反抗的なレーヴが悪い」
そう呟いたのでティアリィは、どうやらレーヴは反抗期か何かなのだなと察した。
同時に、彼ら自身が大丈夫だと判断したのなら、自分が口を出すことでもないのかもしれないとそう内心で思い直したのだった。
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