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4・初めての国内視察
4-7・10年の月日
しおりを挟む10年という年月は長い。
それはティアリィの上にも、そしてこの二人の間にも流れている。
ティアリィが王宮でミスティと仲を育んだり、彼から逃げまどったりしている間、彼らは彼らの10年を生きてきているのだ。もうすでに子供も二人いて、彼ら二人もまた親だった。
それは奔放なルーファを窘めるようにもなっていることだろう。
だが、先程の子育ての件での庇うような発言からしても、きっと仲は悪くないはずだ。
ルーファはたった今アルフェスから注意を受けたことなど全く気にした素振りもなく、まだまだ更にはしゃいでいる。
アルフェスは疲れたように溜め息を吐いていた。
普段からだいぶ振り回されているのだろう。俺は笑った。
「本当に済まない。ルーファがいつも苦労を掛けているようだ」
肩を竦めるとジロと恨みがましそうな目で睨まれた。
「本当ですよ。ルーファはほとんどあなたが育てたようなものなんですから」
アルフェスの言葉に何も返せない。少しばかり気まずそうな俺の顔にいったい何を見たのか、ややってアルフェスは溜め息を吐いて。
「もっとも、いま彼女を窘められるとして、それをしなければいけないのが僕の役目だってことはわかっていますけどね。それに」
ちら、改めて向き直った視線の先、
「お兄様、アルフェス? どうなさったの? 早くいらして」
華やかに笑う邪気のないルーファに、やはり力ないため息を吐いて。
「ルーファに、僕が救われたのも確かです」
そう、どこかくすぐったそうに目を細め、一歩先へと進んでいく。彼自身の、今はきっと最愛となっているはずの伴侶の元へと。
その、まるで仕方がないなと言わんばかりの、頑是ない子供を見るかのような柔らかな眼差しは何よりも彼らの10年を感じさせ、なんとなくわけのわからない寂寥のようなものが、俺の胸に蟠っていくようだった。
改めて思う。10年。
アルフェスのこの変化はきっと成長と言っていいのだろう。どうやらルーファはあまり変わっていないようだけれども、それでもアルフェスと手を取り合って生きてきたはずだ。
おそらくそれなりの苦労もあっただろう。
なにせ俺は彼らにほとんど何の手も差し伸べられなかった。彼らも彼らで、俺を過剰に頼ることなんてなかった。
それぞれの両親や他の家族の支えもあったとは思うが、彼ら二人では乗り越えるのが難しい壁にだってぶち当たることがあっただろう。
自分を振り返った。
短くはない10年。俺にだって色々なことがあった。
子供だって養子を含めて五人いて、一番上のピオラなど、もう嫁に行ってしまうかもしれないような状況だ。だけど同時に、俺はどれだけ変われているのだろうか。そんなことを思わずにはいられなかった。
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