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4・初めての国内視察
4-12・休暇中の暗躍⑤(ミスティ視点)
しおりを挟むなのにアーディは、気にするべきはそちらではないのだという。
より、ティアリィの心を占めているのは、キゾワリ聖国のリアラクタ王女の方であると。
情報としてもたらされているキゾワリの内情を改めて思い返す。
醜悪と言っていいそれ。
他国の宗教や信仰について何か余計な手出しなどをしたいと思うわけでは決してないのだが、それでもミスティの感覚からすると、悍ましいと思わざるを得なかった。
なんでもあの国で尊いのは国主である聖王であり、神の現身なのだとか。
だからこそ聖王から賜れる全ては誉であり、それがどのようなモノであれ、歓びを持って受け入れねばならず、そのような協議を元に、幾人もの者達が望まぬ行為を強いられ続けているのだと聞いた。
欲に塗れた尊厳を傷つけられるかのようなそれを。
どのような行為であれ、受け取り手が良いと思わないものを、他者が強制的に強いることを正しいことだとは思えない。
悲鳴と苦鳴と怨嗟。そして諦念。
あの国に蔓延っているというそれは、いったいどれほどの犠牲を誰に強いていることだろうか。
リアラクタ王女も、あの国から逃れたくて必死なのだろうという話だった。
そして、今、ファルエスタに赴いている司教は王女の伯父なのだという。
そのような話を知り、ティアリィが何もしないで眺めているだけでいられるとは思わない。
彼は非常に慈悲深く傲慢なのだ。
手が届く場所へと手を差し伸べることを、いつだって躊躇ったりなどしない。
だからこそ、アーディは今ミスティに彼の国へ渡るつもりであると事前に伝えてきたのだろう。
この後のティアリィの負担を、少しでも減らしておくために。
「内政干渉、になるかもしれませんけど、でも放っても置けないでしょう? そもそも、実際あの国はどうやら我が国に非常に敵意を抱いているようですし。とは言え、表立って動くのはよくはないでしょうから、こっそり転移しちゃおうかなって考えてるんですけどね」
肩を竦める仕草が、本当に子供らしくない。言っていることも同じく、手軽に言っているが、転移は決して誰もが出来るような魔術ではなかった。
ティアリィはあれでほいほい気軽に乱用しているけれども。そもそもがあふれるほどの潤沢な魔力があってこそ。このナウラティス国内を探しても、可能なのはティアリィ以外ではミスティ自身とアーディ、それにミーナぐらいだろう。
だからこそ自分自身が彼の国へと向かいたいと告げてきている。
しかしいずれにせよミスティが、アーディに、そんなこと許可できるわけもなく。ただ、ふるりと静かに首を横に振った。
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