143 / 206
4・初めての国内視察
4-25・見つめ直すこと⑥
しおりを挟むこの港町には入り江があったろうか。
確か舟遊びが出来たはずだ。
今日は子供達が来る予定はないから、ルーファとアルフェスと。
他にも護衛はいるので、3人きりというわけではないけれど、たまにはルーファだけではなく、アルフェスも交えて入り江に降りてもいいかもしれない。
良い観光名所になっていたはずだ。
観光名所ではあるけれども、今の時期はそれほど人が多いわけでもないと聞いている。
ルーファとはこうして馬車に共に乗る関係上、気の置けない話などもいくつか交わすことが出来たが、アルフェスは護衛を兼ねているので基本馬車には乗ってこない。
アルフェスと話すのもいいかもしれない。
そう思った。
ティアリィは別にアルフェスと仲違いをしたというわけではない。だが、蟠りがすっかりなくなっているのかと言えば嘘だ。
ルーファとはルーファ自身の人懐こさも手伝って、何より最愛の妹であるので、それなりに近しく交流してきたのだが、アルフェスとは距離があるまま。
思えばあの卒業パーティの日から。ゆっくり話し合うことなどなかった。
言ってしまえばアルフェスを、裏切ったような気がしているティアリィは、彼に合わせる顔がなく、否、きっと自分とは話したくないのではないかとそう思って、距離を取ったまま今日に至っている。
勿論、全く交流がなかったわけではない。
だが、アルフェスは元々話好きというわけではなく、それはティアリィも同じこと。用がない限り交わさない会話は、必然、疎かになりがちだった。
アルフェスの隣には基本的にほとんどの場合ルーファがいて、そうなるとルーファとばかり言葉を交わしてしまうという側面もある。
それはそもそも、小さい時から顕著だった傾向で、だから今更と言えば今更で。
だけど。
アルフェスは長く、ティアリィと婚約状態であったのだ。
そしてアルフェスはティアリィとの婚姻を望んでいた。
ただ、ティアリィは彼とは相性的に会わないことがわかっていたので、出来れば関係を解消したいと思っていて、ルーファが要らぬお節介で介入してきたのをこれ幸いにと、望まれるがままに婚約を解消した。
アルフェスとはついぞしっかりと話し合うこともなく。特にその直後ミスティからの求愛を受け、余計にアルフェスとのやり取りは疎かになってしまったままだった。
11年。
今更と言えば今更だ。
だけど色々と自身の内面や、これまでのことを見つめ直している今、アルフェスとも話した方がいいのではないかというような気になっている。
勿論、それをアルフェスが望めばではあるのだけれど。
「ルーファ」
だからティアリィはルーファへと声をかけた。
多分妹なら、ティアリィが思うように、協力してくれるだろうと信じて。
17
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます
まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。
するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。
初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。
しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。
でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。
執着系α×天然Ω
年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。
Rシーンは※付けます
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる