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4・初めての国内視察
4-54・これまでのこと⑦(ディーミュ視点)
しおりを挟む家族仲が悪かったわけではないし、交流がなかったわけでもない。
だが、幼いながら年齢以上にしっかりしていたティアリィを、ちゃんと子供らしくいさせてあげられなかったのは本当だった。
ティアリィがどこか、情緒が幼いまま、今に至ってしまったのは、そういった幼少期の影響があるのではないかとティーミュは思っている。
だからこその先程の懺悔であり、拭い去れない罪悪感だった。だけど。
それはそれとして、こうしてティアリィの話を聞いていても、ならどうすればいいのかと言うことについてはまったく思い至れなかった。
おそらくミスティは単純に嫉妬したのだろうということぐらいならわかる。
だが、ティアリィにはそれが理解できていない。
それに情緒が幼い所為か、それとも他の要因でか、どうやらティアリィは自分の感情の昇華が上手くないらしい。
むしろはっきりと下手である。
ミスティのことを好きだという。その気持ちに嘘はないのだろう。
だが、その先をまったく思い至れていない。だからどうしたい、と言う自分の希望にさえ、辿り着いていないのだ。
それではミスティの葛藤も、なんならピオラの婚約者候補だというファルエスタの王太子の恋情にも気づきようがない。
こうしてはティアリィから話を聞いただけでも、その王太子とやらがピオラではなくティアリィにこそ惹かれているのだろうことが伝わってくるというのに。
これこそが自分たちが、上手くティアリィの情緒を育ててやれなかった弊害かと思えばやりきれなかった。だが、ただ単純に鈍いだけとなると、もはやなすすべもないのである。
ここでミスティの行動の意味や、王太子とやらの恋情についてをティアリィに伝えるのは簡単だ。
だが、それではおそらく意味がない。
また今後もいつか、同じような事態に陥ることだろう。
少なくともティアリィ自身が、自らの恋情を消化しきれなければ動けない。
見る限りティアリィはミスティの、ディーミュからするとちょっと勘弁してほしいと思うような重苦しい激情を、疎んじたりなどはしていないように見えた。
しかしそんな風にミスティからの情愛が熱く重いからこそ、ティアリィはおそらく一生、今ミスティが感じているような不安を覚えることなどないのだろう。
だったらそれはそれでいいのだ。
だが、たとえそうであっても、せめてティアリィは逃げずに、自分の感情とミスティに向き合えるようにならなければならなかった。
そしてディーミュはそれを踏まえて今、ティアリィに、なんと声をかけて良いのかわからなかった。
ティアリィを宥めて、自らの心と向き合わせる。その手助けとなるような言葉をかけたいのだけれど。
こうして自分の胸で泣かせて、受け止めることしかできない自分が無力だった。
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