ヴァーチャル・ラブ ～いつもあなたを好きでした。～

本編

同じ空気、同じ時間、同じ気持ち

今日は、朝から、忙しい。
朝食の支度をして、洗濯物を干し、母の入院する病院へ向かう。

全ての業務を終えて、会社へ向かう電車に飛び乗ったのは、AM9:00。いつもより早い時間。
JRの改札を抜け、渋谷方面行きの山手線のホームに向けて階段を昇る。

清清しい朝。

階段を駆け上がる足取りも軽い。一気に駆け上がるとそこには、都会の風景が写る。
人でごった返しているいつもの光景だ。でも、今日は違う。風を感じる。
髪の毛が棚引く度に、風の粒子が顔に当たる。この清涼な気分を唯に伝えたい。
こんな風に季節を感じるのは、久しぶりだ。

『好きな奴がいる。』

そう思っただけで、いつもの空気も違うものに感じられる。
ヘッドフォンから流れてくる曲に耳を傾けてみる『Here we are....』そうなのだ。
唯もきっと同じ空気を感じているのだ、そんな気がした。唯への想いが日増しに募っていく。
逢えない寂しさや満たされる喜びや、、、。
ひとつだけ、信じるがあるとするならば、唯と僕はいつも同じことを考えているということだ。
いつもお互いのことを考えている。遠く離れた場所からでも、いつも同じ空を見上げているのだ。