婚約者に嫌われているので婚約破棄を申し出たら溺愛されました(?)

瑚珀

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 「強い女性、ですか…?」

 「……はい」

1人で努力する…温室作りで人の手を借りた事が
いけなかったのかしら…
それに、強い女性…やはり騎士のように鍛錬を積んで剣の腕を磨くとか?

悶々と思考を巡らせ、ガタンと席を立つ

 「…っわかりました!」

こうしてはいられないとドレスを翻し、そそくさと婚約者へお辞儀を済ませお茶の席を後にした



翌日から、イネスは侯爵家の護衛達に頼み込み訓練に参加させてもらった

侯爵と侯爵夫人は『淑女がなんとはしたない…!』と青ざめ止めようとしたが
恋するイネスの暴走は両親でも止められなかった











 「侯爵令嬢!お荷物お持ちしましょうか?」

 「ありがとうございます、でも結構です」

イネスは18歳となりアカデミーで日々勉学に励んでいた
重い荷物を運べば令息達が我こそはと手を貸そうと声をかけてくれるが、顔を強ばらせ冷たさすら感じる表情で丁寧に断る

だって、1人で努力する強い女性にならなくてはいけないから

それに今日は5年ぶりに直接リアム様とお会いする日
朝から緊張で顔が強ばり、肩に力が入りっぱなしだった


今の私は、彼の理想の女性に近づけただろうか…?

学友からは婚約者の一挙一動にすべて合わせるなんて忠犬みたいだと笑われたり心配されたりしてきたが、
彼に少しでも隣にいて恥ずかしくない女性だと思われるためならば喜んで忠犬でも何にでもなる




緊張で喉が渇く

自宅へ戻り、応接間へと一直線に歩みを進めたが
この扉を開ければ愛しのリアム様がいると思うと
吐き気を催すほど緊張する

今日のドレスは変じゃないだろうか?髪型は整っているか?5年ぶりにというからには大人っぽくなった自分を見せたい…
呼吸と身なりを整えゆっくりと扉を叩く


 「失礼致します」

 「…お久しぶりですイネス様」

 「っお久しぶりです、リアム公爵様」


23歳となったリアムは正式に爵位を継ぎ、今では立派なルイス家の公爵様
黒曜石のような瞳と光が当たる度に絹糸のように輝く漆黒の髪が印象的な彼は
やはり大人びていて、落ち着いた声色も変わらなかった
身長も…さらに伸びたようだ


ますますかっこよくなってらっしゃるわ…
ついつい見惚れてしまうイネスに「こちらへどうぞ」と椅子へ誘うリアム

 「最近は、どうお過ごしですか?」

 「アカデミーで楽しく勉学に励んでおります」

 「そうですか…」

 「リアム様は、お元気でしたか?」

 「はい」

 「それは何よりです」

当たり障りのない会話を淡々と続ける
そんな時間すらもイネスは嬉しかった

 「…手、豆ができているのですか?」

 「え?」

何年も剣の稽古に打ち込んでいた為にできた豆
気付かれないよう膝上に手を添えていたのに…

 「剣術を、習っておりまして…お見苦しいものをお見せして申し訳ございません」

 「剣術?何故ですか?」

 「それは…」

貴方が、強い女性が好きだと言ったから

言葉を詰まらせていたイネスだが、リアムの質問は止まらない
 「教えもらっている相手は、男性ですか?」
 「え?はい…」
 「高齢ですか?それとも、年は近いですか?」
 「あ、えっと…30代の護衛の方々に…」
 「2人っきりでやる事はありますか?」
 「た、たまに」

尋問を受けている気分だった
ふーっと深いため息をついて、リアムは口を開く

 「…僕は、剣を持つ女性は好ましくないです」
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