婚約者に嫌われているので婚約破棄を申し出たら溺愛されました(?)

瑚珀

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4 口下手公爵

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涙を流しながらリアムを見つめるイネス

何年も何年も彼の理想の女性になろうと努力してきたのに、幾度となく“違う”と否定されてきた

いくら大好きな人の為とはいえ、もう…
我慢の限界だった


 「婚約…破棄?」

目を見開き、たじろぐリアム公爵
予想外の反応だが、イネスは止まらない

 「はい…っ、リアム様のお気に召さない私など今この場で捨てて、素直で花が似合う強く妖艶な女性と結婚してくださいませ!」

ぷるぷると早口で捲したてるイネス




 「…イネス様…弁解の余地を、
与えてくださいませんか?」

 「弁解…?」

これ以上何を言うの?また私の思い違いを
こっぴどく否定するのですか?



 「…私は、婚約破棄はしたくありません」

 「え」



 「私の言い方、というか…伝え方が間違っていたようです…」

心做しかしゅんとしているようなリアムの表情が月明かりに照らされる

 「私が幼い頃から貴女のことを慕っているという事を…どうか信じてほしい」

 「え?…で、も…リアム様はどんな女性がお好きかと聞く度に色々と…」

 「目の前にいるのですよ?貴女のことをそのまま言っただけです」
 「そんな…でも!正直になっても花を愛でても違うと…」

 「違うとは言ってません…ただどれも…
貴女がやっている事全てに邪魔者が付き纏っていたので…」

邪魔者…?そんな人いただろうか


 「貴女に褒められて惚れそうになる奴らや、
貴女と2人っきりで花の育て方を手取り足取り教える庭師、剣術を教える年上の護衛…誰も彼もが邪魔でしかなかったんです…」

混乱で頭が追いつかない
令息達や庭師、護衛の先生までもがリアムには邪魔でしかなかった?
でも、なんだかそれは…

 「それではまるで…嫉妬をしているように聞こえます…」

はぁとため息をつき、クシャリと髪を掴むリアム
 「…まだ、わかっていただけないようですね」

 「ちょっと、混乱しておりまして…」

 「つまり」
ぐいとこちらに近づき腰に手を回すリアム
鼻先が触れ合うほどの近さに頬が紅潮する

 「貴女は私のものなのに、他の男が貴女を見たり触れたり、2人きりで過ごすことが耐えられなかったのです」

真っ直ぐにこちらを見つめるリアムの真剣な瞳から目が離せないイネス

私のもの…私のものと言った?あの、リアム様が?


 「私は…貴方のもの、なのですか…?」

 「…少なくとも私はそう思っておりました」

つまり、私は嫌われていなかった?
イネスは安堵したのか一筋の涙を流した


 「…私は、貴方の理想の女性になれていますか?」
 「何もしなくても、貴女は私の理想そのものです」

柔らかく微笑むイネスと、彼女に暖かい眼差しを向けるリアムは唇が軽く触れるだけの口付けを交わした
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