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第一章
ぼくのかじおそわり(2)
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作った10本のうち、2本はランスがユウキにやり方を教えるために使うというので渡してやると、ランスはそれを持って鍛冶場へと手招きした。
ドアを開けると溢れる音だけで、すでに耳がバカになっていそうなほどだ。
ランスが、たまたま空いている手近なスペースを見付け、手の甲を自分に向け、人差し指と小指を立てる仕草を見せた。確か、意味は傾注だったか。
前の人が使っていたからか、火の残る炉に、器具で挟んでダガー(未完成)を入れる。
さっきの説明によれば、これで真っ赤になるまで待ち、叩いていくのだそうだ。
などと思いながら見ていると、あっと言う間にダガー(未完成)が真っ赤になっていく。
さっき、魔力を込めて熱をダガーに集めると言っていたが、こうなるのか、自分にできるのかなぁとユウキは心配している。
そんな心配を露ほども知らないランスは、真っ赤になったダガー(未完成)を取り出すと、すぐに金敷きの上に置き、金槌でカンカンと叩き始めた。……とは言っても、周囲の音が煩すぎてほとんどその音は聞こえないのだが。
さっきの説明は、この叩き方についても及んでいた。
強く叩けばいいというわけではない。ダガーは刺し……つまり突いて使う武器ではあるが、刃の切れ味もなければいけない。叩きすぎれば刃が薄くなり、すぐに潰れてしまうようになるし、かと言って手を抜けば丸刃になって切れ味が出ない。さらにその最中、魔力を注いで熱を維持する必要もある。注ぎ方にも過不足がある。その加減については、実際に叩いて覚えるしかないのだが、要は何度も作ってその加減を覚えろということだ。
ダガーの制作が鍛冶初心者に向いている理由は、この加減を覚えるということに尽きる。
覚えてしまえば、後は魔力さえ込めればダガーをインゴッドからでも作れる、というのだが、……正直その理屈はユウキにはわからない。
まぁ、それでもやってみよう、と思う程度には、ユウキもそのやり方に興味があるのだが。
ランスの指導を受けながら、ひたすらに金槌を振り続ける。
すでに残っていた8本はダガーに変えられ、しかし練習なので再びインゴッドに作り直し、別のインゴッドを足してもう一度ダガー(未完成)を作り、何度でも練習を重ねる。
ランスはそのうち、「ひとりでもある程度できるようになっただろ」と言って、自分の中で最高の出来のものが出来たら持って来い、と言い残して去って行った。どこにいるのかも言わずに。
まぁ、鍛冶初心者はこれを繰り返すことで技術を覚えて行くのだという。
インゴッドからダガー(未完成)を作る際、どこかで金属が流れてしまうのか、少しづつ金属が減っていくのが難点だが、それでも効率は悪くない、とユウキは思う。何せインゴッドに戻さずひたすら作るとなると、金属がいくらあっても足りないからだ。
もうかれこれ20周はインゴッドを回しただろうか。
ユウキは、だんだんダガーの完成に時間がかかっていることに気が付いた。
まぁ当たり前のことだ。溶かしてインゴッドに戻しているとはいえ、熱を加えているわけだから、金属は劣化し、何度も繰り返すことでもはや使い物になるレベルの品質ではないのだろう。
そういえば、インゴッドもアイテムの扱いなのだろうか。ステータスとか見れればどの程度劣化しているのかわかりそうなものだが。
<劣悪な鉄のインゴッド>
[ステータス]
系列:インゴッド
種別:鉄
鉱石レベル:-7
質:劣悪
[説明]
何度も繰り返し火を通した鉄。
すでに何に使うにも、この品質では満足の行くものは完成しないだろう。
「あ、やっぱり」
つい苦笑を漏らしつつ呟くが、その言葉は騒音に掻き消されて誰にも聞こえない。まぁこれで最後にしよう、とインゴッドをダガー(未完成)へと変えるべく、インゴッドを溶かし始めた。
案の定、作ったダガーはモノにはならなかった。
鍛冶のレベルはどうだろう。
生産/鍛冶技術(未) Lv.7
金属を使った鍛冶技術全般。
習熟が少し進んだが、まだまだ作れるものの幅は狭い。
レベルが7まで上がっている。
相変わらずスキルレベルを上げるための▲が見えないところを見ると、どうやら実際にやってレベルを上げなければいけない仕様のようだ。
作れるものがわかればいいんだけど、などとユウキが考えると、
【作成可能】
鉄のインゴッド(簡略化)
銅のインゴッド
ダガー
ミゼリコルデ
あっさりとそれは判明した。
ミゼリコルデって武器の名前だったんだ、とソシャゲのキャラを思い出しながら、簡略化できるようになっていることに気付く。
とは言ってもやり方がわからない。どうやるんだろう、と思った瞬間、ユウキはそれを理解していた。
感覚としては、神の間で神が理解をユウキの中に創造したあの感覚が近いだろうか。
出来損ないの劣悪ダガーを片手に持って魔力を流す。
一瞬、ダガーがぐんにゃりと流れ落ちそうに溶け出したので慌てて両手に持ち直すと、溶け出した鉄はそのまま姿を変えてインゴッドに変わる。
「うわ何コレ」
インゴッドにはなったが、その周りにびっしりとコケのような形の黒いものがこびり付き、ユウキは思わず嫌な顔をした。
とりあえずそのインゴッドを布で拭いてみると、それはあっさりと剥がれてくれたので、ゴシゴシと擦って汚れを落とす。
一通り汚れを落とすと、それを鑑定してみる。
<鉄のインゴッド>
[ステータス]
系列:インゴッド
種別:鉄
鉱石レベル:1
質:普通
[説明]
鉄の塊を、加工しやすく纏めた形。
「おお……」
さっき-7だった鉱石レベルが1に戻っていたのを見て、ユウキはそんな声を上げつつにんまりと笑った。
ランスがその夕方、再び鍛冶場を訪れたのは、さすがにユウキも疲れて帰っただろうと思ったからだ。
周囲の目からみたユウキがどうだったのか、聞き込みでもしてやろうと思ったのだ。
理由としてはもうひとつ。この時間になれば人も少なくなり、ユウキの評判を聞き込みしていたのが本人にバレにくいと考えたのもある。
さすがに今日始めたばかりだしな、いいところで切り上げただろう、などと考える。小さい人はドワーフの一種ではあるが、鍛冶をするホビットなど、聞いたこともない。少なくとも、ユウキがドワーフ並にいきなり金槌を打てるとは考えていない。インゴッドができるようなので、せいぜい優秀な人間程度の実力だろう。
なので、アレがものになるのかどうかは、本人の努力次第だ。
「オイ、ランス」
知った顔――アガストという名前だ――がランスに声をかけるので、珍しいこともあるもんだと立ち止まる。
「珍しいなアガスト。お前から声をかけて来るなんて」
「世間話はいい。……お前、昼くらいに弟子を取ったろ」
「?……弟子っつーか……まぁ、弟子でいいか。どうかしたか」
アガストが声をかけてくるほどのことがあったのか、と身構える。
何かやらかしたか。まぁやらかしたとしても、アガストが声をかけることなど、それでも滅多にないのだが。……まさか怪我でもしたかさせたわけでもなかろうな。
「……さすがに止めさせろ。お前の指示なら正気を疑う」
アガストの言葉に、一瞬ランスは何の話だと考えたが、わかっていない様子のランスに痺れを切らしたのか、アガストが工房を親指で示す仕草をするのを見て、ランスは自らの失敗を悟った。
――いいところで切り上げろ、と言う一言を、ユウキに言っていなかった。
ダッシュで鍛冶場に向かう。
確かに、最良の出来だと思ったら持って来いとは言った。
だがその「最良の出来」が作れるのは、どんなに優秀なドワーフでも3日は修練が必要になる、遠い道程だ。
よりによって、それを一日でやろうと考えるとは思わなかった。
「オイ!」
「え?あ、ランスさん」
驚いたように振り返るユウキに、ランスはまず顔色を見た。
服が体に張り付くほどの汗はかいているが、特に顔色は悪くなさそうだ。念のため額に手を当てるが、鍛冶場の熱で少し熱い程度で、まだ人としての体温。熱にやられているわけでもない。
「体調は悪くないか」
「え?……はい、全然。ちょっとさっき水を飲み過ぎて汗だくです」
なるほど、汗をかいたら水を飲むくらいの知恵はあるか。
だが、人の体はそれで不調が出ないというほど単純なものではない。
それに、鍛冶には基本魔力を使う。
火に焼べる時もそうだし、叩く時にも使う。
中にはロイドのように、簡単なものなら魔力を使わずに作ってしまえるヤツもいるが、ユウキは初心者だ。そう簡単にできるものではない。
「……そろそろ休め。何時間やってると思ってる」
「え?いやでも、まだMP残ってますし」
「えむぴー?……それが何かは知らんが、とりあえず少しは休め、いいな」
ユウキは納得行かなさそうな顔だったが、とりあえず「はい」とだけ返事をし、後は素直に後片付けを始めた。ちょうど今から新しいものを打ち始めるつもりだったのか、そこにはインゴッドしかなく、片付けもすぐに終わった。
少しだけ説教をしてやろうと思ったが、思ったよりもユウキが素直に言うことを聞いたので、今回は言い聞かせるだけにした。3時間に1時間くらいは休憩を取れよ、と。
ドアを開けると溢れる音だけで、すでに耳がバカになっていそうなほどだ。
ランスが、たまたま空いている手近なスペースを見付け、手の甲を自分に向け、人差し指と小指を立てる仕草を見せた。確か、意味は傾注だったか。
前の人が使っていたからか、火の残る炉に、器具で挟んでダガー(未完成)を入れる。
さっきの説明によれば、これで真っ赤になるまで待ち、叩いていくのだそうだ。
などと思いながら見ていると、あっと言う間にダガー(未完成)が真っ赤になっていく。
さっき、魔力を込めて熱をダガーに集めると言っていたが、こうなるのか、自分にできるのかなぁとユウキは心配している。
そんな心配を露ほども知らないランスは、真っ赤になったダガー(未完成)を取り出すと、すぐに金敷きの上に置き、金槌でカンカンと叩き始めた。……とは言っても、周囲の音が煩すぎてほとんどその音は聞こえないのだが。
さっきの説明は、この叩き方についても及んでいた。
強く叩けばいいというわけではない。ダガーは刺し……つまり突いて使う武器ではあるが、刃の切れ味もなければいけない。叩きすぎれば刃が薄くなり、すぐに潰れてしまうようになるし、かと言って手を抜けば丸刃になって切れ味が出ない。さらにその最中、魔力を注いで熱を維持する必要もある。注ぎ方にも過不足がある。その加減については、実際に叩いて覚えるしかないのだが、要は何度も作ってその加減を覚えろということだ。
ダガーの制作が鍛冶初心者に向いている理由は、この加減を覚えるということに尽きる。
覚えてしまえば、後は魔力さえ込めればダガーをインゴッドからでも作れる、というのだが、……正直その理屈はユウキにはわからない。
まぁ、それでもやってみよう、と思う程度には、ユウキもそのやり方に興味があるのだが。
ランスの指導を受けながら、ひたすらに金槌を振り続ける。
すでに残っていた8本はダガーに変えられ、しかし練習なので再びインゴッドに作り直し、別のインゴッドを足してもう一度ダガー(未完成)を作り、何度でも練習を重ねる。
ランスはそのうち、「ひとりでもある程度できるようになっただろ」と言って、自分の中で最高の出来のものが出来たら持って来い、と言い残して去って行った。どこにいるのかも言わずに。
まぁ、鍛冶初心者はこれを繰り返すことで技術を覚えて行くのだという。
インゴッドからダガー(未完成)を作る際、どこかで金属が流れてしまうのか、少しづつ金属が減っていくのが難点だが、それでも効率は悪くない、とユウキは思う。何せインゴッドに戻さずひたすら作るとなると、金属がいくらあっても足りないからだ。
もうかれこれ20周はインゴッドを回しただろうか。
ユウキは、だんだんダガーの完成に時間がかかっていることに気が付いた。
まぁ当たり前のことだ。溶かしてインゴッドに戻しているとはいえ、熱を加えているわけだから、金属は劣化し、何度も繰り返すことでもはや使い物になるレベルの品質ではないのだろう。
そういえば、インゴッドもアイテムの扱いなのだろうか。ステータスとか見れればどの程度劣化しているのかわかりそうなものだが。
<劣悪な鉄のインゴッド>
[ステータス]
系列:インゴッド
種別:鉄
鉱石レベル:-7
質:劣悪
[説明]
何度も繰り返し火を通した鉄。
すでに何に使うにも、この品質では満足の行くものは完成しないだろう。
「あ、やっぱり」
つい苦笑を漏らしつつ呟くが、その言葉は騒音に掻き消されて誰にも聞こえない。まぁこれで最後にしよう、とインゴッドをダガー(未完成)へと変えるべく、インゴッドを溶かし始めた。
案の定、作ったダガーはモノにはならなかった。
鍛冶のレベルはどうだろう。
生産/鍛冶技術(未) Lv.7
金属を使った鍛冶技術全般。
習熟が少し進んだが、まだまだ作れるものの幅は狭い。
レベルが7まで上がっている。
相変わらずスキルレベルを上げるための▲が見えないところを見ると、どうやら実際にやってレベルを上げなければいけない仕様のようだ。
作れるものがわかればいいんだけど、などとユウキが考えると、
【作成可能】
鉄のインゴッド(簡略化)
銅のインゴッド
ダガー
ミゼリコルデ
あっさりとそれは判明した。
ミゼリコルデって武器の名前だったんだ、とソシャゲのキャラを思い出しながら、簡略化できるようになっていることに気付く。
とは言ってもやり方がわからない。どうやるんだろう、と思った瞬間、ユウキはそれを理解していた。
感覚としては、神の間で神が理解をユウキの中に創造したあの感覚が近いだろうか。
出来損ないの劣悪ダガーを片手に持って魔力を流す。
一瞬、ダガーがぐんにゃりと流れ落ちそうに溶け出したので慌てて両手に持ち直すと、溶け出した鉄はそのまま姿を変えてインゴッドに変わる。
「うわ何コレ」
インゴッドにはなったが、その周りにびっしりとコケのような形の黒いものがこびり付き、ユウキは思わず嫌な顔をした。
とりあえずそのインゴッドを布で拭いてみると、それはあっさりと剥がれてくれたので、ゴシゴシと擦って汚れを落とす。
一通り汚れを落とすと、それを鑑定してみる。
<鉄のインゴッド>
[ステータス]
系列:インゴッド
種別:鉄
鉱石レベル:1
質:普通
[説明]
鉄の塊を、加工しやすく纏めた形。
「おお……」
さっき-7だった鉱石レベルが1に戻っていたのを見て、ユウキはそんな声を上げつつにんまりと笑った。
ランスがその夕方、再び鍛冶場を訪れたのは、さすがにユウキも疲れて帰っただろうと思ったからだ。
周囲の目からみたユウキがどうだったのか、聞き込みでもしてやろうと思ったのだ。
理由としてはもうひとつ。この時間になれば人も少なくなり、ユウキの評判を聞き込みしていたのが本人にバレにくいと考えたのもある。
さすがに今日始めたばかりだしな、いいところで切り上げただろう、などと考える。小さい人はドワーフの一種ではあるが、鍛冶をするホビットなど、聞いたこともない。少なくとも、ユウキがドワーフ並にいきなり金槌を打てるとは考えていない。インゴッドができるようなので、せいぜい優秀な人間程度の実力だろう。
なので、アレがものになるのかどうかは、本人の努力次第だ。
「オイ、ランス」
知った顔――アガストという名前だ――がランスに声をかけるので、珍しいこともあるもんだと立ち止まる。
「珍しいなアガスト。お前から声をかけて来るなんて」
「世間話はいい。……お前、昼くらいに弟子を取ったろ」
「?……弟子っつーか……まぁ、弟子でいいか。どうかしたか」
アガストが声をかけてくるほどのことがあったのか、と身構える。
何かやらかしたか。まぁやらかしたとしても、アガストが声をかけることなど、それでも滅多にないのだが。……まさか怪我でもしたかさせたわけでもなかろうな。
「……さすがに止めさせろ。お前の指示なら正気を疑う」
アガストの言葉に、一瞬ランスは何の話だと考えたが、わかっていない様子のランスに痺れを切らしたのか、アガストが工房を親指で示す仕草をするのを見て、ランスは自らの失敗を悟った。
――いいところで切り上げろ、と言う一言を、ユウキに言っていなかった。
ダッシュで鍛冶場に向かう。
確かに、最良の出来だと思ったら持って来いとは言った。
だがその「最良の出来」が作れるのは、どんなに優秀なドワーフでも3日は修練が必要になる、遠い道程だ。
よりによって、それを一日でやろうと考えるとは思わなかった。
「オイ!」
「え?あ、ランスさん」
驚いたように振り返るユウキに、ランスはまず顔色を見た。
服が体に張り付くほどの汗はかいているが、特に顔色は悪くなさそうだ。念のため額に手を当てるが、鍛冶場の熱で少し熱い程度で、まだ人としての体温。熱にやられているわけでもない。
「体調は悪くないか」
「え?……はい、全然。ちょっとさっき水を飲み過ぎて汗だくです」
なるほど、汗をかいたら水を飲むくらいの知恵はあるか。
だが、人の体はそれで不調が出ないというほど単純なものではない。
それに、鍛冶には基本魔力を使う。
火に焼べる時もそうだし、叩く時にも使う。
中にはロイドのように、簡単なものなら魔力を使わずに作ってしまえるヤツもいるが、ユウキは初心者だ。そう簡単にできるものではない。
「……そろそろ休め。何時間やってると思ってる」
「え?いやでも、まだMP残ってますし」
「えむぴー?……それが何かは知らんが、とりあえず少しは休め、いいな」
ユウキは納得行かなさそうな顔だったが、とりあえず「はい」とだけ返事をし、後は素直に後片付けを始めた。ちょうど今から新しいものを打ち始めるつもりだったのか、そこにはインゴッドしかなく、片付けもすぐに終わった。
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