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当て馬
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いつものように、部屋の隅に正座し、うす布越しに情事を伺っていた。女神は十分準備できているようだが、聞いていた通り、大御神が反応しないらしい。
「きょ、今日も…。」
女神の声が聞こえる。焦るだろう。数日で帰る身で最後のチャンスなのだから。
いかなければ、今、やらなければいけない。
手が震え始めた。覚悟は決まっているはずなのに身体が動かない。
どうにか立ち上がり、薄布を持ち上げて中に入った。大御神はこちらを見て驚いている。女神も訝しげにこちらを見る。
「失礼、いたします、」
二人の前で、浴衣の前を開いた。
「な、朔?」
「何をしているの!?」
幸恵の言葉を思い出す。簡単だ、このまま大御神に覆い被さればいい、それだけだ。
震える膝で布団に近づき、女神が驚いて身を引いたところに自分の体を差し入れた。大御神のお身体と自分を密着させる。
「朔?」
「ご無礼、お許しください。」
言えてるかな、緊張でまともに耳も聞こえない。恥ずかしさと恐ろしさで顔もあげられない。
「まさか…そうきたか。」
乾いた笑い声。
「何?どういうこと?なんであんたが?!」
自分の横で鳴る声。
「朔、ごめんね、こんなことさせて。ちゃんと責任は取るから。」
この後どうしたらいいの、と必死で考えていて何も聞こえていなかった。何も見えていなかった。
首すじにチクリとした痛みと熱があった後、腹部が熱くなって、気づけば大御神のお身体は自分の下からなくなっていた。
代わりに毛布がかけられ、隣では女神と大御神が交わっているのがぼんやりわかった。
あぁ、終わった。成功した。その安堵感で眠りに落ちた。
「きょ、今日も…。」
女神の声が聞こえる。焦るだろう。数日で帰る身で最後のチャンスなのだから。
いかなければ、今、やらなければいけない。
手が震え始めた。覚悟は決まっているはずなのに身体が動かない。
どうにか立ち上がり、薄布を持ち上げて中に入った。大御神はこちらを見て驚いている。女神も訝しげにこちらを見る。
「失礼、いたします、」
二人の前で、浴衣の前を開いた。
「な、朔?」
「何をしているの!?」
幸恵の言葉を思い出す。簡単だ、このまま大御神に覆い被さればいい、それだけだ。
震える膝で布団に近づき、女神が驚いて身を引いたところに自分の体を差し入れた。大御神のお身体と自分を密着させる。
「朔?」
「ご無礼、お許しください。」
言えてるかな、緊張でまともに耳も聞こえない。恥ずかしさと恐ろしさで顔もあげられない。
「まさか…そうきたか。」
乾いた笑い声。
「何?どういうこと?なんであんたが?!」
自分の横で鳴る声。
「朔、ごめんね、こんなことさせて。ちゃんと責任は取るから。」
この後どうしたらいいの、と必死で考えていて何も聞こえていなかった。何も見えていなかった。
首すじにチクリとした痛みと熱があった後、腹部が熱くなって、気づけば大御神のお身体は自分の下からなくなっていた。
代わりに毛布がかけられ、隣では女神と大御神が交わっているのがぼんやりわかった。
あぁ、終わった。成功した。その安堵感で眠りに落ちた。
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