歩夢さん

文字の大きさ
2 / 32

紅雷と雪音

しおりを挟む
男は店の外に出た。今日は熱帯夜だ。自分の直属の上司であり、所属する組織のトップである男に電話をかけた。2コールで繋がった。

『なんだ、こんな時間に。』

「雪音の振替分、俺に回してほしい。」

『またそれか・・・。別に構わねえが。』

「引き継ぎは本人からするから。今週中には片つける。じゃ、」

男は通話を終わらせようとしたが、相手が続けてきた。

『コウ、お前のやりたいこともわからなくはないが、どっちにしろお前かユキになる方針だ。ユキにやらせたくないならお前が引き受けるしかない。こんな意味のないごまかしなくても話はかわらねぇぞ。』

「・・・わかってる。」

『じゃあな。』

コウと呼ばれた男、紅雷は通話を終えた画面を見つめながら小さくため息をついた。それから店に戻ると女、雪音が2本目のタバコに火をつけていた。

「ダメって言った。」

紅雷は雪音の加えるタバコを取り上げようとするが、雪音がそれを交わす。

「これで最後。それで?ボスはいいって?」

話題をそらし、雪音は結局タバコを吸いながら、紅雷に尋ねた。

「うん。鎮圧、一人で行ける?」

「さっき送られてきたの見た感じではそれほど難しくは感じない。」

「ならいい。それより、」

不意に紅雷は雪音のタバコを奪いそれをくわえた。

「生理、終わった?」

「・・・ほんと、何年経っても落ち着かないね。」

雪音は冷めた視線を紅雷に送った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

処理中です...