狂

雪音の仕事３

「なんか失敗でもした？」

　風呂で椅子に座らされ、されるがままの雪音は紅雷からの質問に横に首を振った。

「精一杯でこれ？予想規模より大きかったってこと？」

「そう。」

　傷を避けて全身を洗い終え、身体を拭き終えると、裸のままリビングに運ばれた。紅雷が外傷を全てに消毒し、軟膏とガーゼで保護する。大きな傷はないが、それなりに深い傷も負っていた。

「ボスは、私を幹部に引き上げる気なんじゃないかな。」

雪音は帰り道、ずっと考えていたことを紅雷に話した。

「どういうこと？」

「正直に報告書書けば成功報酬７００は行くと思う。そしたら上位三人に入る。」

　予想規模の倍以上という雪音の予想よりも戦力保持の証拠がある。あれだけの人と力を相手にする場合、７００万は行くはずだ。

「・・・明日、ボスに会うから話してくるよ。今日はもう寝な。水ちゃんと飲んでからね。」

　紅雷は雪音に紅雷のTシャツを着させて、ベッドに運んだ。大きいサイズの服の方が傷に擦れる可能性が低いからだ。

「まだ眠くない。」

「いいから。」

雪音の目元を紅雷の手が塞いだ。