ソールス・オンライン

赫嶺

文字の大きさ
11 / 27
第二章商業ギルドにて

11.鍛冶してみた。その二。

しおりを挟む
「次のステップは、自分が作ったやかんをもとの銅板に戻してくれ。」

「なっ!わ、わかりました!」

「物分りが良いやつは私は好きだぞ。」

 俺は自分の渾身の出来のやかんを銅板に戻したくなかったが、男の根性を見せて泣きながらも、もとの銅板に戻そうとしたが、体が言うことを聞かずになかなか銅板に戻せない。

「うわぁん、俺の…俺のやかん!もう少し我慢してくれすぐに楽にしてやるからな!うぅ」

「口ばかり動かすんじゃなくて手を動かせ!」

「イエスッ!マムッ!イエスッ!」

 がんばってがんばってやっとの思いで銅板に戻してあげた。やはり愛情込めて作ったものは、銅板に戻してあげると悲しくなるぜぇ。だが次はもっと出来のいいやかんにしてあげるからな。

「銅板に戻したか?」

「はい!戻しました。」

「どうだ?戻したか感想は。」

「えっと、なんていうか、凄く辛かったです。けど次はもっといい出来のやかんを作ってあげたいと思いました。」

「そうかぁ。私も昔は師匠にこれをやれって言われたからねぇ。伝統は継いでいくものよ。」

「はい!ありがとうございます。俺も、もっといい出来のやかんを作れるように頑張りたいと思います!」

「おお!いい威勢だ。その調子で頑張っていけよ。くれぐれも調子には乗るな。あっそうだ!ちょっと待ってろ……よしあった!お前にこの本を貸してやろう。これは、鍛冶の基本中の基本の本だ。これを読んで鍛冶の勉強してくれ。今日はこれで私のレッスンは終わりだ。」

「わかりました!ありがとうございます。大切に読ませてもらいます!お疲れ様でした!」

 宿に帰ってから基本中の基本の本を何度も繰り返し読んでみた。この本なかなか面白くて、学校の教科書とか授業とかも、これくらいの内容にしたら面白くていいと思った。
 本の、内容は基礎打ちの仕方から、鍋などの作り方シリーズまであった。勿論、〇〇の作り方シリーズには、やかんの作り方もあったからめっちゃ嬉しくてやかんのところを何回も読み直してほとんど内容を覚えてしまった。次はやかんを完璧にして、ボル先輩に褒めらるように頑張ろう。………やばっ、昇格試験忘れてた!ど、どうしよう。ボル先輩のところに!

「ボル先輩!」

「な、なんだ!び、びっくりしたぁ。なんだぁあんたかよ。びっくりしたじゃないか。」

「ボル先輩!どうすればいいんですか?」

「何が?まず落ち着け!」

「は、はい。すみません。」

「落ち着いたか?」

「はい。落ち着きました。ごめんなさい。いきなり押しかけるようなことをして。」

「そんなことはどうでもいい。それで、何があった?」

「それが、昇格試験忘れてたんですよ。」

「そんなことか?まぁいいんじゃないか?あれはいつでも受けられるらしいから。ていうかあんた、冒険者だったの?ランクは?」

「そうなんですか?良かったぁ。俺の今のランクは、FランクですがCランクの実力があるらしいので明日昇格試験をするからギルドに来てねって言われました。」

「そうなんだ。あんた、その人にここに行きます!って言わなかったの?」

「言いましたよ。けどなんにも言っていなかったんです。完全に忘れていました。」

「それは、あんたが悪いね。その街戻るのかい?」

「いいえ。止めときます。あそこに行くまで結構時間掛ったんですよ?」

「そうかぁ。けどもう今日は遅いから、もう宿に戻りな。」

「はいそうします。ありがとうございました!」

 さっそく宿に帰り本のやかんのところを読み直して時間を過ごした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

処理中です...