ACES IN SKIES

みにみ

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虚空の猟鳥

空と地の狭間

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セドハス飛行場攻撃から戻った夜、バラード空軍基地は不思議な静けさに包まれていた。
昼間の喧騒が嘘のように、格納庫の灯りだけが滑走路を淡く照らしている。
ヨツセ・リカ少尉(クラウ5)
リカは自分のF-15Cの機首を見上げていた。
任務は成功した。敵基地は無力化され、仲間も全員帰還した。
それでも胸の奥に残る感覚は、達成感だけではなかった。
MiG-35Sの搭乗員。
名も階級も、その時は知らなかった。
ただ、空に生きてきた人間だということだけは分かった。
自分は何のために飛んでいるのか。
答えは簡単だったはずだ。空が好きだから。ただそれだけ。
だが今日、その「好き」は誰かの命と正面からぶつかった。
空は等しく美しいが、そこにいる人間は等しく傷つく。
それでも、飛ぶことをやめたいとは思わなかった。
リカは静かにヘルメットを抱え直した。

ナノリ・ヒューヴ少佐(クラウ1)
フーシェンは管制塔の下で、作戦報告書に目を通していた。
冷静沈着。それは周囲から見た彼女の評価だが、自分でもそれを否定はしない。
隊長として、全員を生きて帰す。
それが最優先だ。
今回、リカは危険な賭けに出た。
止めるべきだったかもしれない。だが、結果として彼女は正しかった。
才能は制御しなければ刃になる。
同時に、制御しすぎれば鈍る。
その線引きを、隊長である自分が担う。
フーシェンはそう心に決めていた。

ジェイグ・ホンクス大尉(クラウ2)
スウィンダラーは簡易バーでグラスを傾けていた。
撃墜数が増えたことは事実だ。報奨金も悪くない。
だが今日は、数字を誇る気分になれなかった。
空戦の只中で見えた、MiG-35Sの機動。
あれは誤魔化しでは通じない相手だった。
「……冗談じゃねえな」
陽気な仮面の下で、彼は久しぶりに本気で戦争を意識していた。

ハンス・ヒューヴェン中尉(クラウ3)
スナイパーは整備兵と機体の状態を確認していた。
ユーロファイターは好調だ。だが、戦争は機体性能だけで決まらない。
敵もまた、訓練を積み、経験を重ねてきた人間だ。
今日の戦いで、それを改めて思い知らされた。
それでも、彼は笑顔を崩さない。
恐怖を共有するより、明るさを共有した方が仲間は動ける。
それが彼なりの戦い方だった。

ヒューリ・ジェニー中尉(クラウ4)
ブリュンヒルデは静かにシャワーを浴びながら、今日の空を思い返していた。
爆撃機を狙う単調な射撃の裏で、戦線は常に崩れかけていた。
隊としての連携がなければ、誰かが欠けていたはずだ。
リカの無茶を、責める気にはなれない。
自分も同じ立場なら、同じことをしたかもしれないからだ。
彼女は、空を信じている。
それは羨ましくもあり、少し怖くもあった。

クラウ隊 人物プロファイル
クラウ1
氏名:ナノリ・ヒューヴ
階級:少佐
所属:セネアトバトス空軍
搭乗機:F-15C
性格:冷静沈着、責任感が強い。隊の統制を最優先する現実主義者。

クラウ2
氏名:ジェイグ・ホンクス
階級:大尉
所属:ソラリス空軍
搭乗機:F-15EX
性格:陽気で軽口が多いが、戦況把握能力は高い。計算高い現実派。

クラウ3
氏名:ハンス・ヒューヴェン
階級:中尉
所属:キルギア空軍
搭乗機:ユーロファイター タイフーン
性格:爽快で協調性が高い。周囲の緊張を和らげるムードメーカー。

クラウ4
氏名:ヒューリ・ジェニー
階級:中尉
所属:セネアトバトス空軍
搭乗機:F-15C
性格:寡黙で堅実。任務遂行を最優先する職人的パイロット。

クラウ5
氏名:ヨツセ・リカ
階級:少尉
所属:セネアトバトス空軍
搭乗機:F-15C
性格:口数は少ないが、空に出ると大胆。直感と才能で戦う天才肌。

空にいるとき、私は静かになる。
思考が消えるわけではない。むしろ逆で、余計なものが落ちていく。

地上では、理由を求められる。

なぜ飛ぶのか。

なぜ危険を選ぶのか。

なぜ戦争に身を置くのか。

答えはいつも同じだ。

空が好きだから。

それ以上の言葉を、私は持っていない。

隕石が降った夜、空は壊れた。

光が走り、音が遅れて届き、世界が揺れた。

それでも、私は空を見上げていた。

怖かったが、目を逸らせなかった。

あのとき分かった。

空は優しくも残酷でもなく、ただそこにあるだけだということを。

だから私は飛ぶ。

誰かを救うためでも、国のためでもない。

自分がそこに戻りたいからだ。

今日も、誰かが落ちた。

私が撃った。

それでも空は変わらない。

血で血は拭えない。

その意味を、私はもう知っている。

それでも私は、次も飛ぶ。

空を選んだ理由が、他にないから。
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