装甲航空母艦信濃      南東の海へといざ参らん

みにみ

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南洋諸島沖決戦

第一夜戦

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1944年1月18日未明、マリアナ近海の海は漆黒の闇に沈んでいた。
雲が月光を遮り、連合艦隊の艦影は波間に溶け込むようだった。
夜の奇襲で、信濃の林勇二飛曹が米F6F-3Nを撃墜し、
駆逐艦雪風と島風が米潜水艦を爆雷で撃沈。連合艦隊は米軍の索敵網を撹乱し
進路を確保した。この成功を受け、小沢治三郎中将は夜戦を仕掛ける絶好の機会と判断。
栗田健男中将の前衛部隊――戦艦大和、武蔵、空母信濃を主力とするーーが
米第58任務部隊の護衛艦隊に迫っていた。

大鳳の作戦室では、小沢が海図を睨む。薄暗いランプの光が、
彼の鋭い顔立ちを浮かび上がらせる。
「米軍は夜間戦闘に不慣れだ。栗田の前衛部隊で護衛艦を叩き、空母を孤立させる。」
参謀の田中司令が応じる。
「提督、信濃の夜間航空隊を投入すれば、敵の混乱をさらに深められます。」

小沢は頷き、
「よし、信濃に紫電改ニと天山を準備させろ。
 駆逐隊は敵艦隊に接近し、魚雷で陣形を乱せ。」
無線が各艦に飛び、連合艦隊は闇の中で動き出す。

信濃の艦橋では、阿部俊雄大佐が夜空を見上げる。
「林飛曹の活躍で敵の目は潰れた。今度は空母を叩く番だ。」

副長の山田義雄中佐が報告。

「艦長、紫電改ニ4機、天山6機が夜間攻撃の準備を完了。林飛曹が先頭です。」

阿部は頷き、
「林に任せる。敵駆逐艦を仕留め、艦隊の道を開け。」

信濃の飛行甲板は、着陸灯の微かな光に照らされ、
整備員たちが慌ただしく動く。整備員の佐藤一等兵が林に声をかける。

「林飛曹、機体は完璧だ。米軍を食ってくれ!」
林はコックピットで操縦桿を握り、戦友宮崎の顔を思い出す。
「宮崎、今夜は俺が決める。」

前衛部隊の旗艦、大和の艦橋では、
艦長森下信衛少将が探照灯の準備を監督。46cm主砲が静かに海を睨む。
「米軍の護衛艦を叩けば、空母は無防備になる。
 探照灯と星弾で敵を照らせ。」砲術長が応じる。

「了解!主砲、装填完了!」武蔵の艦橋でも
対空砲と副砲が夜間戦闘に備え、乗組員の士気が高まる。
栗田中将は無線で各艦に指示。
「敵艦隊に接近。島風、雪風、先導しろ。夜戦で敵を粉砕する!」

駆逐艦島風が先頭で闇を切り裂き、ソナーで敵艦を探す。
艦長の古村啓蔵中佐が叫ぶ。「敵艦、方位270、距離12マイル!魚雷準備!」
島風と雪風は高速で接近し、魚雷発射管を展開。突然、レーダーに米重巡インディアナポリスのシルエットが映る。「魚雷、発射!」島風の魚雷4本が海を疾走。だが、インディアナポリスは急旋回で回避し、5インチ砲で反撃。島風の甲板に砲弾が命中し、火花が散る。「損傷軽微!戦闘続行!」古村は叫び、島風は煙幕を張りながら後退。

大和のレーダーがインディアナポリスを捕捉。
森下が命令。「主砲、照準!撃て!」46cm主砲が轟音を上げ、
闇を切り裂く閃光が海を照らす。砲弾はインディアナポリスの艦橋に命中、
爆発が船体を二つに裂く。炎に包まれた重巡は、乗組員の悲鳴と共に海に沈む。

「敵重巡撃沈!」大和の乗組員が歓声を上げる。
武蔵も米駆逐艦2隻に15.5cm副砲を浴びせ、1隻を大破
1隻を航行不能に。栗田は無線で報告。「護衛艦を叩いた!空母へ迫る!」

信濃の飛行甲板から、紫電改ニ4機と天山6機が闇の空へ飛び立つ。
林飛曹は天山のコックピットで、魚雷の照準器を調整。
簡易夜間レーダーが、米駆逐艦の反応を捉える。「敵艦、方位300、距離18000!」
林が無線で報告。紫電改ニの護衛隊が先行し、米F6F-3Nの迎撃を牽制。
攻撃隊は低空飛行で波すれすれを進み、「魚雷、発射準備!」と叫ぶ。

米駆逐艦フレッチャーの対空砲が火を噴き、20mmエリコンの曳光弾が闇を切り裂く。
天山隊は急旋回で回避するも二番機の岡田一飛曹が被弾。

「岡田、脱出!」林の叫びも虚しく、天山は炎に包まれ海に落ちる。
各機は歯を食いしばり、フレッチャーの右舷に照準。
「今だ!」魚雷が海を疾走、フレッチャーの機関部に命中。
爆発が船体を揺らし、艦は速度を失う。
「命中!」林は無線で叫び、信濃へ帰還。
紫電改ニの藤田総司少佐はF6F-3N1機を撃墜するが、被弾し瑞鳳へ強行着艦。
「まだ戦える!」と叫ぶが、機体は修理不能に。

天山3機が撃墜され、零戦5機がF6Fの迎撃で失われる。
だが、林の魚雷命中は米護衛艦隊の陣形を乱し、空母への接近を容易にした。
阿部大佐は艦橋で報告を受け、「よくやった。次は空母だ」と呟く。


米第58任務部隊の旗艦レキシントンIIでは、
マーク・ミッチャー中将が作戦室で苛立つ。
「インディアナポリスが沈んだ?駆逐艦もやられた?」
参謀のアーレイ・バーク大佐が報告。
「日本軍の夜戦は予想以上です。F6F-3Nの迎撃が失敗し、護衛艦隊が混乱しています。」

ミッチャーは拳を握る。「夜間戦闘の訓練が足りん。空母を守れ!」

F6F-3Nのパイロット、ジョン・スミス中尉はコックピットで混乱。
「日本軍の夜間戦闘機が速え!レーダーが追いつかねえ!」
僚機が紫電改ニに撃墜され、無線が途切れる。ミッチャーは夜明けの攻撃を急ぐが、
護衛艦の損失で空母の防御が薄れる。スプルーアンス大将は無線で指示。

「ミッチャー、夜間戦闘を凌げ。朝の第一波で日本艦隊を壊滅させる。」

夜戦は連合艦隊に戦術的成功をもたらした。
大和の砲撃でインディアナポリスを撃沈、武蔵と駆逐隊が駆逐艦2隻を無力化。
林の魚雷攻撃は米護衛艦隊を混乱させ、空母への道を開いた。
だが、零戦5機、天山3機の喪失は痛手。
米空母への直接攻撃は失敗し、決戦は夜明けに持ち越された。

大和の艦橋で、森下が呟く。
「夜戦は勝った。だが、空母を沈めねば意味がない。」
信濃の阿部は林に声をかける。
「林飛曹、よくやった。次の出撃で空母を叩け。」
林は頷く

米軍は夜明けの総力戦を準備し、レキシントンIIの甲板ではF6Fが再武装。
連合艦隊は夜の海を進み、マリアナの空で決戦の朝を待つ
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