If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ

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来たるべき敵

砲戦

空母機動部隊が血みどろの航空戦を繰り広げる中
日本の第二艦隊はハルゼー艦隊の護衛艦艇に肉薄し
主砲の火蓋を切った。砲撃戦と航空戦が同時に展開される
稀に見る壮絶な戦いが始まった。

第一戦隊旗艦「長門」の艦橋で、小柳少将は静かに命令を下した。

「目標、敵重巡洋艦!一番砲塔、右舷へ!」

砲塔がゆっくりと回転し、その巨砲を敵へと向ける。
標的は、ハルゼー艦隊の護衛艦隊の先頭を航行する
米重巡洋艦「ボルチモア」だ。「ボルチモア」の艦長は
日本の戦艦の巨砲がこちらを向いているのを見て、顔をこわばらせた。
彼の艦の8インチ砲では、日本の戦艦の41cm砲には太刀打ちできない。

「ボルチモア」の艦橋では、艦長が絶叫する。

「全速力で回避しろ!日本の戦艦の砲撃だ!」

しかし、その叫びも虚しく、「長門」の主砲が火を噴いた。
轟音と共に、41cm砲弾が空を切り裂いていく。
初弾は、「ボルチモア」の左右に着弾し、巨大な水柱を噴き上げた。
初弾夾叉だ。日本海軍の射撃術は、恐ろしいほど正確だった。

「長門」の砲手たちは、初弾の着弾を冷静に観測し
修正を加えていく。そして、第九斉射が放たれた。
砲弾は、正確に「ボルチモア」に命中。
艦橋にいた米兵たちの絶望の表情が、一瞬にして凍り付いた。

ドォォン!

そして、第十一斉射が放たれた。
それは、「ボルチモア」の装甲を貫通し、二番砲塔の弾薬庫を誘爆させた。

ドォォォンッ!

「ボルチモア」は、巨大な火柱を噴き上げ、一瞬にして轟沈。
艦は、まるで豆腐のように崩れ落ち、そのまま夜明けの海へと沈んでいった。
米軍の誇る重巡洋艦は、日本の戦艦の一撃で、その命を終えたのだ。


「ボルチモア」の轟沈に、米艦隊に動揺が走る。
その混乱の中、重巡洋艦「クインシー」が
単艦で反転し、日本の艦隊へと向かっていった。

「馬鹿な!単艦で戦艦に挑む気か!」

「長門」の艦橋で、小柳は驚愕した。
しかし、その勇敢な行動に、敬意の念を抱いた。

「クインシー」の艦長は、自分が囮となり
味方艦隊を逃がすつもりだった。
彼の8インチ砲は、日本の戦艦には通用しない。
しかし、彼は、最後まで戦うことを選んだのだ。

「長門」と「陸奥」は、その勇敢な敵艦に、次々と斉射を浴びせた。
三回の斉射が、「クインシー」の艦体を襲う。

ドォン!ドォォン!ドォォン!

砲弾は、「クインシー」の装甲を容易く貫通し
艦橋を吹き飛ばし、機関部を破壊した。「クインシー」の艦体は
まるで紙細工のように崩壊し、炎を上げながら沈没していった。
その勇敢な姿は、日米両軍の将兵の心に、深く刻まれることになった。


「長門」と「陸奥」が重巡洋艦を撃沈する中
日本の重巡洋艦戦隊も、米艦隊に猛烈な砲撃を加えていた。
「熊野」「鈴谷」「三隈」などの重巡洋艦は
米軍の軽巡洋艦や駆逐艦に集中砲火を浴びせる。

「撃て!全門、撃ち方始め!」

「熊野」の艦長が叫ぶ。20.3cm砲弾が空を切り裂き、米駆逐艦を襲う。
米駆逐艦隊は、戦艦の盾となるべく、日本の重巡洋艦に突っ込んでいくが
その火力と精度に圧倒される。次々と駆逐艦が炎上し、海へと沈んでいった。
それは、史実のサマール沖海戦のように
魚雷による戦艦への攻撃を試みるも、その火力に圧倒される
駆逐艦の悲劇を彷彿とさせる光景だった。しかし、この戦いでは
米駆逐艦隊は、日本の重巡洋艦の砲撃で、そのほとんどが撃沈されることになったのだ。


しかし、この戦いは、砲撃戦だけでは終わらなかった。
米空母から発艦した艦載機が、対空母戦を終えた後
日本の戦艦「長門」「陸奥」に集中攻撃を仕掛けてきた。

「敵機、来襲!対空戦闘準備!」

「長門」と「陸奥」の高角砲が火を噴く。
砲弾の雨が、空に白い花を咲かせ、米艦載機を迎え撃つ。
しかし、米軍のパイロットたちは、対空砲火をものともせず、攻撃を敢行する。

「長門」に、2発の1000lb爆弾が命中。
艦橋にいた小柳は、その衝撃で床に叩きつけられた。
艦体は大きく揺れ、火災が発生する。
さらに、1本の魚雷が艦腹に命中し、浸水が始まった。

「長門」は中破。しかし、その分厚い装甲と
優れたダメージコントロール能力により、沈没は免れた。
陸奥は、この時点でまだ被弾しておらず、無傷だった。


そして、米軍の攻撃は、日本の重巡洋艦にも及んだ。
第七戦隊の旗艦である重巡洋艦「鈴谷」に、米艦載機が集中攻撃を仕掛ける。

「鈴谷」の中央部に、500lb爆弾が命中。
その衝撃で、艦内で魚雷が誘爆し、大火災が発生した。

「火災発生!機関部にも延焼の恐れあり!」

応急員が必死に消火活動にあたるが、火の勢いはあまりにも強かった。
艦長は、このままでは艦が危険と判断し
第七戦隊の指揮権を「鈴谷」から「熊野」に移譲。
そして、「鈴谷」は、炎に包まれながら、その場に留まることになった。
その数分後 投棄し切れなかった魚雷の数本が誘爆を起こし
その誘爆が上部の高角砲弾薬にも伝わり艦は大爆発に包まれ
鈴谷は日本の沖合に姿を消した
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