レイテの逆光 帝国海軍最後の勝利

みにみ

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栗田艦隊の苦闘

長門奮戦

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1944年10月24日 午前07時30分——シブヤン海

水平線の彼方が仄かに明るくなり始める頃、
栗田艦隊はシブヤン海を航行していた。
第一部隊は戦艦「武蔵」を中心に、
戦艦「長門」、重巡「妙高」「羽黒」、軽巡能代が率いる駆逐艦隊がこれに続く。
第二部隊は戦艦「金剛」を旗艦として姉妹艦の榛名、重巡利根、筑摩
軽巡矢矧が率いる駆逐隊が続く

洋上は静かで、時折波が艦首を打つ音だけが響いていた。
しかし、その静寂は突如として破られる。

「対空電探に感あり! 東方、距離100キロ、高度4000、針路270、速度160ノット!」

武蔵の21号対空電探が敵機を捉えた。緊張が艦橋内を走る。

「艦隊、対空戦闘用意! 主砲、三式弾装填
 総員戦闘配置 前方に敵編隊 対空要員持ち場につけ」

各艦は直ちに戦闘態勢へと移行する。

第一次空襲(08:00)

「敵機、視認!」

米空母「イントレピッド」「エセックス」「レキシントン」から
発艦したF6Fヘルキャット、SB2Cヘルダイバー、TBFアヴェンジャーを
中心とした60機以上の編隊が、第一部隊に殺到してきた。

「敵機、距離1万! 高度4000!」

「主砲、射撃用意よし」

「撃ち方始め」

「てっ」

——ドォン!!

主砲の三式弾が一斉射される。

「主砲、弾着十秒前!」

——ズガァァァン!!

高度1000メートル付近で炸裂した砲弾が無数の焼夷弾を撒き散らし、
突撃する敵機を火の海に変えていく。数機のヘルダイバーが直撃を受け、爆発四散する。

「敵機、被害あり! しかし、なお接近中!」

艦隊は続けざまに高角砲と機銃で迎撃する。

「高角砲分隊 撃ち方始め」

「弾幕が薄い 弾幕密度を上げろ!」

長門では12.7cm高角砲と25mm機銃が火を噴き、対空弾幕を形成した。

「対空砲、照準よし! 撃て 近づけるな」

——ズダダダダダダ

「グラマン、撃墜!」

「敵急爆3、撃墜!」

「敵機前方三十度」


「敵急降下爆撃機、長門に向かう!」

急降下してくるヘルダイバーが、艦隊の外周にいる
長門を狙って急降下を開始した。

「対空砲、各員、照準修正!」

「弾幕濃度を上げろ! 25mm射撃!」

「撃てっ!!」

——ズダダダダダダダ!!

対空砲火が降り注ぐが、突破した一機が爆弾を投下した。

「回避ー!回避ー!」

——ゴン!!

という音を出しながら装甲板を貫いた1000lb爆弾は
5秒ほど遅れて爆風を生み出す

長門の左舷後部に1発命中。

「左舷、第三砲塔付近に命中! 火災発生!」

「応急処置班、直ちに消火作業!」

しかし、長門は動きを止めない。
消火班が迅速に対応し、数分後には火災は鎮火する。

「損傷軽微、戦闘継続!」


「敵雷撃機、低空で接近!」

米軍のTBFアヴェンジャー雷撃機が水面すれすれに接近する。

目標は戦艦「武蔵」。

「武蔵、面舵一杯!」

艦が左へ旋回するが、一本の魚雷が左舷中央部に命中。

——ドォン!!

「左舷後部、浸水発生!」

「応急処置班、直ちに対応!」

被害は局限されたものの、武蔵の動きは鈍る。

「敵機撤退して行きます!」


第二次空襲(10:30)

第二波の攻撃隊が来襲。50機以上の大編隊が、
今度は第二部隊も含む艦隊全体を標的にした。

「敵機、距離1万2千! 針路270!」

「主砲、三式弾再装填!」

「撃てぇぇぇっ!!」

——ドォン!!

三式弾が炸裂し、爆発が空中で連鎖する。

「命中! 急爆2機、撃墜!」

「敵編隊、依然として進行中!」

各艦は猛烈な弾幕を張り、敵機の接近を阻止しようとする。

長門は再び爆弾を受けるも、依然として航行可能。

武蔵は浸水を抑えつつ、依然として敵の攻撃に耐えていた。

「まだ戦える……!」

栗田長官は、まだ戦意を失ってはいなかった。

しかし、さらなる空襲が栗田艦隊を待ち受けていた——。
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