異聞第二次世界大戦     大東亜の華と散れ

みにみ

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欧州電撃:フランスの陥落と電撃作戦

欧州戦線開幕

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1946年12月8日、東の空がようやく白み始める頃
ヨーロッパ大陸の背骨をなすフランスとドイツの国境には
冷たい冬の朝靄が、分厚いベールのように横たわっていた
その霧の向こうに、フランスが誇る不落の要塞線
マジノ線の灰色のコンクリートの壁がぼんやりと浮かび上がる
フランス軍の国境警備隊は、いつものように凍えるような空気の中で
見張りに立っていた。彼らは、前夜の静けさが今日も続くと信じて疑わなかった
この平和な朝が、世界の歴史を根底から揺るがす
血と鋼鉄の夜明けとなるなど、彼らは夢にも思わなかったのだ。

しかし、その静寂は、突如として空気が引き裂かれるような
異様な轟音によって、粉々に打ち砕かれることになる
それは、これまでのレシプロ機のエンジン音とは全く異なる、未来的な

そして恐怖を煽る咆哮だった。


午前7時過ぎ、フランス領空の東の空に
それまで誰も見たことのない、漆黒の機影が群れをなして現れた。
それは、まるで漆黒の嵐が押し寄せるかのようだった。
その最前衛を飛ぶのは、ドイツ空軍が極秘裏に開発を進めてきた
最新鋭のジェット戦闘機
メッサーシュミット Me 262の改良型「シュワルツ」である。
その機体は、鋭角的な翼と二つの巨大なジェットエンジンポッドが特徴的で、
従来のプロペラ機とは一線を画す、
SF映画から飛び出してきたかのような流線型のシルエットを持っていた。
その後に続き、双発のジェット爆撃機、アラドAr 234「ブリッツ」の大編隊が
雷鳴のような轟音を響かせながら、フランス国内へと侵入してきた。
彼らの速度は、フランス軍のレーダーが捉えることのできる限界をはるかに超えていた。

フランス空軍の司令部では、レーダー管制室が突如としてパニックに陥った。

「未確認高速機群が侵入!レーダー反応!
 速度、これまで観測されたことのないレベルです!」

通信士が絶叫した。レーダー画面は、通常の航空機の機影が
はっきりと表示されるはずが、激しく点滅し、
ノイズにまみれて正確な軌道を全く捉えることができない。
これは、ドイツ軍の高性能な電子妨害を受けていたためだった。
ドイツ軍のジェット機群に先行していた電子戦機が
フランス軍のレーダー網や通信網に対し、集中的な妨害電波を照射していたのだ
これにより、フランス軍の早期警戒システムは機能不全に陥り
司令部への報告は遅れ、迎撃機の発進命令は混沌の中で宙を彷徨った。

「馬鹿な!こんなジャミングは前代未聞だ!」
管制官が叫び声を上げる。
彼らは、見えない敵の攻撃に、ただ翻弄されるしかなかった。

フランス空軍の迎撃部隊は、司令部の混乱の中で
ようやく緊急発進を命じられた。しかし、彼らの主力は
既に時代遅れとなりつつあるブラックバーン・デファイアント戦闘機や
初期のホーカー・ハリケーン戦闘機の改良型だった
彼らのプロペラ機が、重々しく滑走路を動き始める頃には、
既にドイツのジェット機群は、彼らの頭上に到達していた。

「隊長!敵機だ!あれは一体なんだ?!あんなに速い機体は見たことがない!」

上空を警戒飛行していたフランス空軍の偵察機が
混乱した声で報告を上げた。しかし、その声は、通信機のノイズに掻き消され
報告を終える間もなく、後ろから迫る「シュワルツ」の機関砲の餌食となった
ジェット機の圧倒的な速度は、フランス機を文字通り置き去りにし
優位な位置から一方的な攻撃を可能にした。フランス機のパイロットは
まるで止まっているかのような敵機に、なすすべもなく撃墜されていった。

「シュワルツ」隊は、フランス空軍の基地上空に到達するやいなや、
低空での猛攻を開始した。彼らの狙いは、
フランス空軍の反撃能力を完全に叩き潰すことだった。
滑走路では、まだ離陸準備をしていたデファイアントやハリケーンが、
轟音を立てて突っ込んできた「シュワルツ」の20mm機関砲の餌食となった。
プロペラが砕け散り、機体に穴を開けられ、燃料タンクに引火し、次々と炎上していく。

管制塔は、「ブリッツ」の爆弾が直撃し、巨大な火柱を上げて崩れ落ちた。
格納庫は、その分厚いコンクリートの壁も、
ジェット爆撃機が投下する精密爆弾の前には無力だった。
爆弾が次々と着弾し、内部の航空機を巻き込みながら爆発炎上していく。
駐機中の航空機は次々と破壊され、
滑走路には巨大なクレーターが穿たれ、破片と瓦礫が散乱した。

フランス空軍は、組織的な反撃を行う暇もなく、瞬く間にその戦力を失った。
空の支配権は、もはや完全にドイツの手に落ちていたのである。
残されたフランス兵たちは、空から降り注ぐ死の雨に、
ただ恐怖に震えるしかなかった。ジェット機の咆哮は、彼らの耳に、
これまでの戦争とは異なる、新しい時代の到来を告げる警鐘として響き渡った。
それは、旧時代の航空戦術が、新時代の技術の前にはいかに無力であるかを
まざまざと見せつける光景だった。
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