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真珠湾:ジェットの閃光と旧時代の終焉
第二次攻撃
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真珠湾が炎と黒煙に包まれ、最初の攻撃の衝撃が駆け巡る中
日本機動艦隊は容赦のない追撃を仕掛けた。
第一次強襲攻撃隊の「橘花改」が帰投を始める頃
休む間もなく第二次攻撃隊が、空母の飛行甲板から次々と発艦を開始していたのだ。
この第二次攻撃隊は、第一次攻撃隊のジェット機とは異なり、
プロペラ推進の航空機が主体だった。
だが、彼らは決して旧式ではなかった。日本の航空技術の粋を集めて
開発された烈風二一型甲163機と、艦上攻撃機流星二二型200機
合わせて合計363機の大編隊が、次なる破壊の波となって真珠湾へと向かっていた。
空母「赤城」の飛行甲板では
山口多聞中将が、双眼鏡を構え、次々と大空へ舞い上がっていく
自国の航空機群を見つめていた。彼の表情は依然として冷静沈着だったが
その瞳の奥には、確信にも似た光が宿っていた。
「第二波、発艦開始。全機、予定通り。」
彼は静かに呟いた。第一次攻撃で与えた混乱と破壊は
第二次攻撃をより効果的なものにするだろう。
第二次攻撃隊の先頭を飛ぶのは、制空戦闘機、烈風隊だった。
そのうちの半数、約80機は、機関砲だけでなく
対地攻撃用の噴進弾を装備していた。彼らの任務は
真珠湾の飛行場を完全に無力化し、米軍機の反撃の芽を摘み取ることだった。
真珠湾の飛行場では、第一次攻撃の混乱から、
ようやく立ち直ろうとする米軍の姿があった。
格納庫から引っ張り出されたF8FベアキャットやF7Fタイガーキャットといった
最新鋭のレシプロ戦闘機が、整備兵たちの必死の努力で給油・武装を急いでいた。
パイロットたちは、焦燥感に駆られながら、コックピットへと飛び乗り、
エンジンの始動を試みる。彼らは飛行場が分散配置されていたため、
まだ自軍の航空戦力が生き残っていると信じていた。
しかし、その希望は、あっけなく打ち砕かれる。
上空から、烈風隊が猛烈な勢いで降下してきたのだ。
彼らは、既に第一次攻撃隊が与えた通信妨害と混乱によって、
米軍のレーダーと対空網が機能不全に陥っていることを知っていた。
「目標、飛行場滑走路!噴進弾、発射用意!」
烈風の機首から、甲高い噴射音と共に噴進弾が放たれた。
それは、小型のロケット弾であり、滑走路や駐機中の航空機に直撃した。
滑走路上では、まさに離陸しようとしていたF8Fが、轟音と共に爆発炎上した。
噴進弾は、アスファルトを抉り、駐機中の機体をも破壊する。
次々と着弾する噴進弾により、格納庫は崩れ落ち、燃料貯蔵庫が爆発し、
飛行場全体が地獄のような光景へと変貌していった。
「くそっ、上がれない!上がれないぞ!」
あるF7Fのパイロットが叫んだ。彼の機体は、
まさに滑走を開始しようとした瞬間、至近距離に落ちた噴進弾の爆風で横転し、炎に包まれた。
烈風隊は、すでに高度を取っていたため、米軍機は圧倒的に不利だった。
なんとか滑走を開始できた機体も、十分な速度を得る前に、
上空から猛スピードで降下してくる烈風の機銃掃射に晒される。
20㎜機銃弾が機体に突き刺さり
いくらグラマン鉄工所製といえども耐えきれずに
即座に叩き落とされ 離陸できた機体は、一機もいなかった。
烈風隊が飛行場の無力化に成功する中、
その後方からは、攻撃機流星隊が真珠湾へと侵入してきた。
彼らの視界には、第一次攻撃隊によって黒煙を上げ、
今や湾の中央で無残な姿をさらしている戦艦群が映し出されていた。
しかし、彼らの目標は、その炎上する戦艦群ではなかった。
流星隊は、湾の中央を横目に、パールハーバーエントランス
すなわち湾の入り口へと針路を取った。
彼らの狙いは、この地獄から離脱しようとする、
あるいは反撃態勢を整えようとする巡洋艦部隊だった。
中でも、その巨大な艦容を誇る重巡洋艦ボルチモアが、
彼らの第一標的として捉えられていた。ボルチモアは、
湾の中央から離脱しようと、必死に航行速度を上げていた。
「目標、ボルチモア!各隊、攻撃態勢に入れ!」
流星隊の編隊長の声が、各機の通信機から響き渡る。
流星隊は、その装備によって役割が分かれていた。
一番隊24機、二番隊26機、三番隊24機、四番隊26機は
第一次攻撃隊の「橘花改」が使用した無線誘導弾「迅雷」の改良型を装備していた。
これらは、従来の爆弾とは異なり、目標に対してより正確な誘導が可能だった。
五番隊23機、六番隊27機は、三号小型爆弾12発を機体下面に懸架していた。
これは、船体上部や甲板、対空兵器を破壊することに特化したクラスター爆弾のようなものだった。
そして、残る七番隊30機、八番隊20機は、魚雷を装備していた。
彼らの任務は、巡洋艦の喫水下を狙い、その行動能力を完全に奪うことだった。
ボルチモアは、全速力で湾口へと向かっていた。
艦橋では、艦長が必死に指示を叫んでいた。
「対空砲火、全砲門開け!右舷、左舷、全て撃ちまくれ!」
艦の対空砲が、激しく火を噴き始めた。機関砲や機銃が
空へと無数の弾丸をばらまき、黒煙と爆煙が入り混じる空をさらに混乱させた。
しかし、彼らの対空砲火は、第一次攻撃隊のジェット機に比べれば遅いとはいえ
それでも十分な速度を持つ流星機を捕らえきれない。
流星隊は、巧みな連携を見せた。
まず、一番隊が、ボルチモアのはるか高高度から、
まるで雨あられとばかりに「迅雷」を投下した。
高高度からの投下でも、無線誘導によって「迅雷」は
正確にボルチモアの甲板や構造物を狙う。
これに対する対空砲火は、高高度からの攻撃のため、散漫にならざるを得なかった。
その隙を突き、七番隊が右舷側から、八番隊が左舷側から、
それぞれ低空で魚雷を装備して突入を開始した。
彼らは、ボルチモアの激しい対空砲火を、
一番隊の「迅雷」攻撃によって分散させることで、被弾率を下げる戦術を取ったのだ。
流星機の操縦士たちは、自らの機体に集中し、
対空砲火の弾幕をすり抜けていく。機体のあちこちで被弾の衝撃が走るが、彼らは怯まない。
「魚雷、発射!」
次々と、流星機の機体下部から魚雷が切り離され、
海面へと滑り落ちた。魚雷は、白く泡立つ航跡を残しながら、
ボルチモアの喫水下へと向かっていく。
ボルチモアの乗組員たちは、左右からの同時攻撃にパニックに陥った。
対空砲は混乱し、どちらの方向を優先して撃つべきか判断できない。
魚雷警報がけたたましく鳴り響く中、艦体が激しく揺れた。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
連続して、魚雷がボルチモアの右舷と左舷の喫水下に命中した。
鋼鉄が引き裂かれるような鈍い音と共に、水柱が大きく上がる。
機関部や弾薬庫に浸水し、船体は急速に傾斜を始めた。
「機関停止!艦体、右舷に傾斜!」
艦長が絶望的な叫び声を上げた。ボルチモアは、
その巨体を制御できなくなり、湾口へと向かう航路から逸れ、
海底へと深く船底を突き刺した。
合計9本の魚雷、そして高高度から投下された8発の
「迅雷」がボルチモアに命中した結果、この重巡洋艦は、
わずかな時間で完全に航行不能となり、湾口を塞ぐようにして即座に座礁した。
この第二次攻撃において、流星隊の被撃墜機は
わずか6機に抑えられた。この低い損失率は、
日本機の性能と、周到な連携、そして米軍の混乱がいかに大きかったかを物語っていた。
ボルチモアの座礁は、真珠湾に壊滅的な影響を与えた。
湾口が塞がれたことで、湾内に残された太平洋艦隊の生き残った艦船は、
数週間にわたって外洋に出ることができなくなったのだ。
戦艦は既に無力化され、巡洋艦や駆逐艦の一部は損傷し、
残された艦船も湾に閉じ込められた。
真珠湾は、もはや要塞ではなかった。それは、炎と黒煙に包まれた、
巨大な艦船の墓場と化していた。空からは、
烈風隊が、基地の生き残った構造物へと噴進弾を投下し続けていた。
地上では、米兵たちが、爆発と混乱の中で、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
ニミッツ提督は、ウィスコンシンの艦橋から、
その惨状を目の当たりにしていた。彼の目には、
絶望と怒り、そして何よりも、未来への深い不安が宿っていた。
日本軍の攻撃は、単なる奇襲ではなかった。
それは、これまでの戦争の常識を全て打ち砕く、
「新しい戦争」の始まりだった。
彼らは、敵の技術力と戦略の深さを完全に読み違えていたのだ。
遥か彼方の「赤城」艦橋では、黒田剛大佐が
流星隊最高指揮官機の友永少佐機からの電報の戦果報告を聞いていた。
「敵重巡各坐。真珠湾は完全に封鎖されました。
生き残った艦艇も、数週間の間、身動きが取れません。」
黒田は、満足げに頷いた。彼の計画は、完璧に実行された。
「これで、太平洋の主導権は我々のものとなった。」
彼の冷徹な言葉は、真珠湾の地獄絵図とは対照的に
静かに、しかし確かな勝利の響きを帯びていた。
この真珠湾攻撃は、単なる軍事的な勝利ではなかった。
それは、旧時代の巨艦巨砲主義の終焉と
ジェット機、誘導兵器、電子戦といった新技術が戦争の主役となる、
「新しい戦争」の幕開けを世界に告げる、決定的な出来事となったのである。
日本機動艦隊は容赦のない追撃を仕掛けた。
第一次強襲攻撃隊の「橘花改」が帰投を始める頃
休む間もなく第二次攻撃隊が、空母の飛行甲板から次々と発艦を開始していたのだ。
この第二次攻撃隊は、第一次攻撃隊のジェット機とは異なり、
プロペラ推進の航空機が主体だった。
だが、彼らは決して旧式ではなかった。日本の航空技術の粋を集めて
開発された烈風二一型甲163機と、艦上攻撃機流星二二型200機
合わせて合計363機の大編隊が、次なる破壊の波となって真珠湾へと向かっていた。
空母「赤城」の飛行甲板では
山口多聞中将が、双眼鏡を構え、次々と大空へ舞い上がっていく
自国の航空機群を見つめていた。彼の表情は依然として冷静沈着だったが
その瞳の奥には、確信にも似た光が宿っていた。
「第二波、発艦開始。全機、予定通り。」
彼は静かに呟いた。第一次攻撃で与えた混乱と破壊は
第二次攻撃をより効果的なものにするだろう。
第二次攻撃隊の先頭を飛ぶのは、制空戦闘機、烈風隊だった。
そのうちの半数、約80機は、機関砲だけでなく
対地攻撃用の噴進弾を装備していた。彼らの任務は
真珠湾の飛行場を完全に無力化し、米軍機の反撃の芽を摘み取ることだった。
真珠湾の飛行場では、第一次攻撃の混乱から、
ようやく立ち直ろうとする米軍の姿があった。
格納庫から引っ張り出されたF8FベアキャットやF7Fタイガーキャットといった
最新鋭のレシプロ戦闘機が、整備兵たちの必死の努力で給油・武装を急いでいた。
パイロットたちは、焦燥感に駆られながら、コックピットへと飛び乗り、
エンジンの始動を試みる。彼らは飛行場が分散配置されていたため、
まだ自軍の航空戦力が生き残っていると信じていた。
しかし、その希望は、あっけなく打ち砕かれる。
上空から、烈風隊が猛烈な勢いで降下してきたのだ。
彼らは、既に第一次攻撃隊が与えた通信妨害と混乱によって、
米軍のレーダーと対空網が機能不全に陥っていることを知っていた。
「目標、飛行場滑走路!噴進弾、発射用意!」
烈風の機首から、甲高い噴射音と共に噴進弾が放たれた。
それは、小型のロケット弾であり、滑走路や駐機中の航空機に直撃した。
滑走路上では、まさに離陸しようとしていたF8Fが、轟音と共に爆発炎上した。
噴進弾は、アスファルトを抉り、駐機中の機体をも破壊する。
次々と着弾する噴進弾により、格納庫は崩れ落ち、燃料貯蔵庫が爆発し、
飛行場全体が地獄のような光景へと変貌していった。
「くそっ、上がれない!上がれないぞ!」
あるF7Fのパイロットが叫んだ。彼の機体は、
まさに滑走を開始しようとした瞬間、至近距離に落ちた噴進弾の爆風で横転し、炎に包まれた。
烈風隊は、すでに高度を取っていたため、米軍機は圧倒的に不利だった。
なんとか滑走を開始できた機体も、十分な速度を得る前に、
上空から猛スピードで降下してくる烈風の機銃掃射に晒される。
20㎜機銃弾が機体に突き刺さり
いくらグラマン鉄工所製といえども耐えきれずに
即座に叩き落とされ 離陸できた機体は、一機もいなかった。
烈風隊が飛行場の無力化に成功する中、
その後方からは、攻撃機流星隊が真珠湾へと侵入してきた。
彼らの視界には、第一次攻撃隊によって黒煙を上げ、
今や湾の中央で無残な姿をさらしている戦艦群が映し出されていた。
しかし、彼らの目標は、その炎上する戦艦群ではなかった。
流星隊は、湾の中央を横目に、パールハーバーエントランス
すなわち湾の入り口へと針路を取った。
彼らの狙いは、この地獄から離脱しようとする、
あるいは反撃態勢を整えようとする巡洋艦部隊だった。
中でも、その巨大な艦容を誇る重巡洋艦ボルチモアが、
彼らの第一標的として捉えられていた。ボルチモアは、
湾の中央から離脱しようと、必死に航行速度を上げていた。
「目標、ボルチモア!各隊、攻撃態勢に入れ!」
流星隊の編隊長の声が、各機の通信機から響き渡る。
流星隊は、その装備によって役割が分かれていた。
一番隊24機、二番隊26機、三番隊24機、四番隊26機は
第一次攻撃隊の「橘花改」が使用した無線誘導弾「迅雷」の改良型を装備していた。
これらは、従来の爆弾とは異なり、目標に対してより正確な誘導が可能だった。
五番隊23機、六番隊27機は、三号小型爆弾12発を機体下面に懸架していた。
これは、船体上部や甲板、対空兵器を破壊することに特化したクラスター爆弾のようなものだった。
そして、残る七番隊30機、八番隊20機は、魚雷を装備していた。
彼らの任務は、巡洋艦の喫水下を狙い、その行動能力を完全に奪うことだった。
ボルチモアは、全速力で湾口へと向かっていた。
艦橋では、艦長が必死に指示を叫んでいた。
「対空砲火、全砲門開け!右舷、左舷、全て撃ちまくれ!」
艦の対空砲が、激しく火を噴き始めた。機関砲や機銃が
空へと無数の弾丸をばらまき、黒煙と爆煙が入り混じる空をさらに混乱させた。
しかし、彼らの対空砲火は、第一次攻撃隊のジェット機に比べれば遅いとはいえ
それでも十分な速度を持つ流星機を捕らえきれない。
流星隊は、巧みな連携を見せた。
まず、一番隊が、ボルチモアのはるか高高度から、
まるで雨あられとばかりに「迅雷」を投下した。
高高度からの投下でも、無線誘導によって「迅雷」は
正確にボルチモアの甲板や構造物を狙う。
これに対する対空砲火は、高高度からの攻撃のため、散漫にならざるを得なかった。
その隙を突き、七番隊が右舷側から、八番隊が左舷側から、
それぞれ低空で魚雷を装備して突入を開始した。
彼らは、ボルチモアの激しい対空砲火を、
一番隊の「迅雷」攻撃によって分散させることで、被弾率を下げる戦術を取ったのだ。
流星機の操縦士たちは、自らの機体に集中し、
対空砲火の弾幕をすり抜けていく。機体のあちこちで被弾の衝撃が走るが、彼らは怯まない。
「魚雷、発射!」
次々と、流星機の機体下部から魚雷が切り離され、
海面へと滑り落ちた。魚雷は、白く泡立つ航跡を残しながら、
ボルチモアの喫水下へと向かっていく。
ボルチモアの乗組員たちは、左右からの同時攻撃にパニックに陥った。
対空砲は混乱し、どちらの方向を優先して撃つべきか判断できない。
魚雷警報がけたたましく鳴り響く中、艦体が激しく揺れた。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
連続して、魚雷がボルチモアの右舷と左舷の喫水下に命中した。
鋼鉄が引き裂かれるような鈍い音と共に、水柱が大きく上がる。
機関部や弾薬庫に浸水し、船体は急速に傾斜を始めた。
「機関停止!艦体、右舷に傾斜!」
艦長が絶望的な叫び声を上げた。ボルチモアは、
その巨体を制御できなくなり、湾口へと向かう航路から逸れ、
海底へと深く船底を突き刺した。
合計9本の魚雷、そして高高度から投下された8発の
「迅雷」がボルチモアに命中した結果、この重巡洋艦は、
わずかな時間で完全に航行不能となり、湾口を塞ぐようにして即座に座礁した。
この第二次攻撃において、流星隊の被撃墜機は
わずか6機に抑えられた。この低い損失率は、
日本機の性能と、周到な連携、そして米軍の混乱がいかに大きかったかを物語っていた。
ボルチモアの座礁は、真珠湾に壊滅的な影響を与えた。
湾口が塞がれたことで、湾内に残された太平洋艦隊の生き残った艦船は、
数週間にわたって外洋に出ることができなくなったのだ。
戦艦は既に無力化され、巡洋艦や駆逐艦の一部は損傷し、
残された艦船も湾に閉じ込められた。
真珠湾は、もはや要塞ではなかった。それは、炎と黒煙に包まれた、
巨大な艦船の墓場と化していた。空からは、
烈風隊が、基地の生き残った構造物へと噴進弾を投下し続けていた。
地上では、米兵たちが、爆発と混乱の中で、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
ニミッツ提督は、ウィスコンシンの艦橋から、
その惨状を目の当たりにしていた。彼の目には、
絶望と怒り、そして何よりも、未来への深い不安が宿っていた。
日本軍の攻撃は、単なる奇襲ではなかった。
それは、これまでの戦争の常識を全て打ち砕く、
「新しい戦争」の始まりだった。
彼らは、敵の技術力と戦略の深さを完全に読み違えていたのだ。
遥か彼方の「赤城」艦橋では、黒田剛大佐が
流星隊最高指揮官機の友永少佐機からの電報の戦果報告を聞いていた。
「敵重巡各坐。真珠湾は完全に封鎖されました。
生き残った艦艇も、数週間の間、身動きが取れません。」
黒田は、満足げに頷いた。彼の計画は、完璧に実行された。
「これで、太平洋の主導権は我々のものとなった。」
彼の冷徹な言葉は、真珠湾の地獄絵図とは対照的に
静かに、しかし確かな勝利の響きを帯びていた。
この真珠湾攻撃は、単なる軍事的な勝利ではなかった。
それは、旧時代の巨艦巨砲主義の終焉と
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