14 / 194
第一章 悪魔の科学者
第十四話 変態オヤジ
しおりを挟む
「ほう、私が誰なのか分かるのか。この世界最高の科学者たるアルドが」
「何が世界最高の科学者よ。あんな無粋な研究をしていたなんて、単なる変態オヤジでしょう」
「へ、変態オヤジだと? クソ生意気な小娘が」
「あんたに言われたくはないわよ。この変態オヤジ」
ギュスト━━いや、アルドの顔が怒りに歪む。
「おい、あいつ随分と怒ってるぞ。でも、どうなってんだよ? アルドって、お前が言っていたマッド・サイエンティストだろう。そのアルドは暗殺されたって今聞いたばかりだし、そもそも、あれってさっきの魔獣召喚士だろう」
「私にも分からないわよ。何がどうなってるのか」
アルドは鼻で笑う。
「凡人には理解出来ないだろうな。お前達にも分かるように教えてやろう。まず、元より私は少なからず人に恨まれているのは分かっておったのでな」
「少なからずね」
フラムは苦笑いする。
「それに、私の魔導具を狙う者も多い。そこで、命を狙われた時の事を考えて、私は魔導具に仕掛けを施しておいたのだ。魔導具が魔力を蓄えた時、身に着けた者の体を魔導具に仕込んだ私の思念がその人間の体を奪えるようにな。その一つがこの指輪だ」
「人の体に自分の思念って、正に変態オヤジだわ」
「変態オヤジでヤンス」
「かもな」
アルドの歯軋りする音が聞こえて来る。
「貴様ら天才の私に何と━━ん? 待て待て。今、その魔獣、喋ったな。これは珍妙な。それにそこに居るのはフラントではないか。小娘にしてはなかなかの魔力があると見える」
「あんたに褒められても嬉しかないわよ」
「いやいや、そうではなく、私の魔導具を求める者はどうしても魔力をそうは持たぬ者になってしまう。お前のような者であれば、より強力な魔獣を召喚出来ると言うもの。そこで提案だ。この指輪を嵌めて自分でも召喚出来ない魔獣を呼んでみないか?」
「冗談はよしてよ。あんたみたいな変態オヤジに体を乗っ取られるなんて、考えるだけでおぞましい」
フラムは震え出した自分の体を抱き締める。
「先程から何度も何度も人を変態オヤジ呼ばわりしおって。生意気な小娘が」
「生意気って言うのは当たってるかもな」
「でヤンスね」
「あんた達ね!」
フリードには鳩尾にフラムの肘鉄が、パルには拳骨がおみまいされる。
「そうやってじゃれてられるのも今の内だ。私の提案を断った以上、このまま生きて帰れると思うなよ」
「何言ってんのよ。こっちはフラントをもう召喚してんのよ。あんたには召喚する間も与えずにもう一回死んで貰うわよ」
「召喚? そんな必要はない」
アルドは近くにある壁に手を触れた。すると、触れている一部分の壁が少し奥に押し込まれた刹那、天井に空いている無数の穴から鉄の棒が落ちて来て、アルドとフラム達とを遮った。
「ここは私の研究室だ。ちゃんと防御策はしてあるに決まっておるだろう」
「防御策? それじゃああんたの方が檻の中に入っちゃってるみたいだけど」
研究室は突き当りで、鉄の柵の向こう側に居るアルドは、檻の中で囚われの身になっているとしか見えない。しかし、余裕の笑みを見せるアルドが、少し横の壁を押すと、ドアのように人一人が通れる部分が開いた。
「だから言っておるだろう。ここは私の研究所だと━━ん? そこのお前」
アルドの目が、村長に向けられる。
「先程から何処かで見たと思っていおったが。そうか、今は老けておるからなかなか思い出せなかったが、バルバゴに居たあの威勢のいい若造か。そうそう、あの町にもちゃんと仕返しをしてやらないとな」
村長は慌てて駆け出し、鉄の柵を掴む。
「待ってくれ。村には手を出すな」
「村? そうか、人口が減って村となったか」
「全てはお前のせいだ。仕返しというのは筋違いだろう」
「私のせいだと? おいおい、私の実験台となったのだ。光栄に思って欲しいがな。安心しろ。直ぐにあの世で会わせてやるぞ。先に行って待ってるがいい」
アルドが近くの壁を押し込むと、入口の方から轟音が聞こえて来ると共に振動が伝わって来て、それが徐々に近付いて来る。
「何あれ?」
「入口の方からこの研究所が崩れて行っておるのだ。もう直ぐお前たちは生き埋めになるのだよ。生きて帰れると思うなと言ったであろう」
アルドは高笑いを残しつつ開かれたドアの中に消えて行った。
「子憎たらしい変態オヤジよね」
「でも、どうすんだよ。このままだとあいつの言う通り生き埋めになってしまうぞ」
「まだフラントが居るわよ。村長さん、こっちに戻って」
村長はフラム達の方に戻る。
「フラント、あの鉄の柵をお願い」
フラントは咆哮を上げると、勢い良く駆け出し、鉄の柵に激突した。当たった辺りの鉄の柵は大きく曲がったが、さほどびくともしていない。
「大丈夫か?」
「黙って見てなさい。少し熱くなるわよ」
フラントの体を包んでいる炎が大きく揺らめき、その熱さがフラム達にも伝わって来て束の間、フラントの触れている鉄の柵が真っ赤になり、ドロドロと溶け出した。
鉄の柵に大きな穴が開いた所でフラントの炎も静まった。
「へ~、やるな」
「当然」
「やったのはフラントでヤンスけどね」
「うるさいわね。それぐらい分かってるわよ。こんなこと言ってる場合じゃないでしょう。さあ、早く行きましょう」
研究所が崩壊して行く音がかなり近付き、フラム達はフラントが開けた穴から中に入り、アルドの後を追った。
「何が世界最高の科学者よ。あんな無粋な研究をしていたなんて、単なる変態オヤジでしょう」
「へ、変態オヤジだと? クソ生意気な小娘が」
「あんたに言われたくはないわよ。この変態オヤジ」
ギュスト━━いや、アルドの顔が怒りに歪む。
「おい、あいつ随分と怒ってるぞ。でも、どうなってんだよ? アルドって、お前が言っていたマッド・サイエンティストだろう。そのアルドは暗殺されたって今聞いたばかりだし、そもそも、あれってさっきの魔獣召喚士だろう」
「私にも分からないわよ。何がどうなってるのか」
アルドは鼻で笑う。
「凡人には理解出来ないだろうな。お前達にも分かるように教えてやろう。まず、元より私は少なからず人に恨まれているのは分かっておったのでな」
「少なからずね」
フラムは苦笑いする。
「それに、私の魔導具を狙う者も多い。そこで、命を狙われた時の事を考えて、私は魔導具に仕掛けを施しておいたのだ。魔導具が魔力を蓄えた時、身に着けた者の体を魔導具に仕込んだ私の思念がその人間の体を奪えるようにな。その一つがこの指輪だ」
「人の体に自分の思念って、正に変態オヤジだわ」
「変態オヤジでヤンス」
「かもな」
アルドの歯軋りする音が聞こえて来る。
「貴様ら天才の私に何と━━ん? 待て待て。今、その魔獣、喋ったな。これは珍妙な。それにそこに居るのはフラントではないか。小娘にしてはなかなかの魔力があると見える」
「あんたに褒められても嬉しかないわよ」
「いやいや、そうではなく、私の魔導具を求める者はどうしても魔力をそうは持たぬ者になってしまう。お前のような者であれば、より強力な魔獣を召喚出来ると言うもの。そこで提案だ。この指輪を嵌めて自分でも召喚出来ない魔獣を呼んでみないか?」
「冗談はよしてよ。あんたみたいな変態オヤジに体を乗っ取られるなんて、考えるだけでおぞましい」
フラムは震え出した自分の体を抱き締める。
「先程から何度も何度も人を変態オヤジ呼ばわりしおって。生意気な小娘が」
「生意気って言うのは当たってるかもな」
「でヤンスね」
「あんた達ね!」
フリードには鳩尾にフラムの肘鉄が、パルには拳骨がおみまいされる。
「そうやってじゃれてられるのも今の内だ。私の提案を断った以上、このまま生きて帰れると思うなよ」
「何言ってんのよ。こっちはフラントをもう召喚してんのよ。あんたには召喚する間も与えずにもう一回死んで貰うわよ」
「召喚? そんな必要はない」
アルドは近くにある壁に手を触れた。すると、触れている一部分の壁が少し奥に押し込まれた刹那、天井に空いている無数の穴から鉄の棒が落ちて来て、アルドとフラム達とを遮った。
「ここは私の研究室だ。ちゃんと防御策はしてあるに決まっておるだろう」
「防御策? それじゃああんたの方が檻の中に入っちゃってるみたいだけど」
研究室は突き当りで、鉄の柵の向こう側に居るアルドは、檻の中で囚われの身になっているとしか見えない。しかし、余裕の笑みを見せるアルドが、少し横の壁を押すと、ドアのように人一人が通れる部分が開いた。
「だから言っておるだろう。ここは私の研究所だと━━ん? そこのお前」
アルドの目が、村長に向けられる。
「先程から何処かで見たと思っていおったが。そうか、今は老けておるからなかなか思い出せなかったが、バルバゴに居たあの威勢のいい若造か。そうそう、あの町にもちゃんと仕返しをしてやらないとな」
村長は慌てて駆け出し、鉄の柵を掴む。
「待ってくれ。村には手を出すな」
「村? そうか、人口が減って村となったか」
「全てはお前のせいだ。仕返しというのは筋違いだろう」
「私のせいだと? おいおい、私の実験台となったのだ。光栄に思って欲しいがな。安心しろ。直ぐにあの世で会わせてやるぞ。先に行って待ってるがいい」
アルドが近くの壁を押し込むと、入口の方から轟音が聞こえて来ると共に振動が伝わって来て、それが徐々に近付いて来る。
「何あれ?」
「入口の方からこの研究所が崩れて行っておるのだ。もう直ぐお前たちは生き埋めになるのだよ。生きて帰れると思うなと言ったであろう」
アルドは高笑いを残しつつ開かれたドアの中に消えて行った。
「子憎たらしい変態オヤジよね」
「でも、どうすんだよ。このままだとあいつの言う通り生き埋めになってしまうぞ」
「まだフラントが居るわよ。村長さん、こっちに戻って」
村長はフラム達の方に戻る。
「フラント、あの鉄の柵をお願い」
フラントは咆哮を上げると、勢い良く駆け出し、鉄の柵に激突した。当たった辺りの鉄の柵は大きく曲がったが、さほどびくともしていない。
「大丈夫か?」
「黙って見てなさい。少し熱くなるわよ」
フラントの体を包んでいる炎が大きく揺らめき、その熱さがフラム達にも伝わって来て束の間、フラントの触れている鉄の柵が真っ赤になり、ドロドロと溶け出した。
鉄の柵に大きな穴が開いた所でフラントの炎も静まった。
「へ~、やるな」
「当然」
「やったのはフラントでヤンスけどね」
「うるさいわね。それぐらい分かってるわよ。こんなこと言ってる場合じゃないでしょう。さあ、早く行きましょう」
研究所が崩壊して行く音がかなり近付き、フラム達はフラントが開けた穴から中に入り、アルドの後を追った。
1
あなたにおすすめの小説
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?
サクラ近衛将監
ファンタジー
神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。
転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。
「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。
これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。
原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる