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第四章 動き出す歯車
第四話 エントリー
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ようやく人ごみの中から出て、人の手を引いて歩いているフラムは、まだまだ怒りが収まらない様子で。
「まったく、あいつのせいでエライ目に遭ったわよ」
「フラム」
「今度会った時はただじゃおかないんだから」
「フラム」
「突然現れたと思ったら、消えるのも突然なんだから」
「フラム」
「さっきから何なのよ!」
肩の上から何度も呼び掛けるパルに、フラムの怒りの目が向けられる。
「手を引いてる人物をよく見るでヤンスよ」
「手を引いてるって、シャルロアでしょう……!?」
フラムが手を引いている人物は、全く知らない女性だった。
慌てて手を放し、頭を下げる。
「いつから?」
「人だかりを抜ける前からずっとでヤンスよ」
「もっと早く言ってよ」
「ずっと呼んでたでヤンス。でも、フリードの不満ばかり言って聞かなかったでヤンスよ」
そう言われては、返す言葉もない。
「困ったわね。ドゥーブで探そうにも、シャルロアの匂いがする物はないし。こんな広い街をどう探したら……」
「手分けして探すしかないでヤンスね」
「そうも言ってられないのよ。先に参加手続きを終わらせておかないと、時間がないの」
「じゃあ、どうするでヤンス?」
「……シャルロア、ゴメン」
謝りつつ、フラムは王位継承戦の参加申し込みが行われているオルタニア城の前へと移動した。
城前には、参加者と思われる大勢の人の列が何本も出来ていた。
「やっぱり早く来て正解だったわ。シャルロアには悪いけど、並んでいる内に締め切られでもしたら堪ったものじゃないもの」
そそくさと一本の列に並ぼうとした時、
「フラムさん! パルさん!」
聞き覚えがある声と共に、列の前の方からシャルロアが駆け寄って来た。
「シャルロア! こんな所に居たの。心配したのよ」
「よく言うでヤンスよ。シャルロアを探すより先に、参加手続きをしに来たでヤンス」
「参加手続き?」
直ぐにフラムの拳がパルの顎をグリグリする。
「あなたにもしもの事があったら、アインベルク様にどんな事をされるやら、考えただけで恐ろしいわ」
「それは確かに、でヤンス」
「お母様なら遣り兼ねませんね」
「でも、どうしてこんな所に?」
「それが、人ごみに押されてそのまま歩いて来たら、知らない間に列の後ろに並んでいて」
「そうか、王位継承戦に参加する人の波に押されちゃったのね━━って、シャルロア、まさかこの先の紙に名前を書いてないでしょうね?」
「書きましたけど、何か?」
「ええ~~~~~~~~!?」
満面の笑みで答えるシャルロアに、思わず出したフラムとパルの大声で、周りの注目を浴びる。
「どうして書いちゃったのよ?」
「いえ、行列の先に待っていた方に、ここに名前を書いて下さいと言われたので書いたのですが、何か問題でもあるのですか?」
「あるも何も、大ありよ。あんたが書いたのは王位継承戦の参加者名簿よ」
「そうですか、参加者名簿ですか……ええ~~~~~~~~!?」
今度はシャルロアの大声で注目を浴びる。
「参加者名簿って事は、私も参加するって事ですか?」
フラムとパルが揃って頷く。
「どうしましょう! どうしましょう!」
オロオロするシャルロアを見て、フラムとパルは揃って深い溜息を吐く。
「今更慌てても遅いわよ。厳粛な行事だし、一度参加を決めたら辞める訳にもいかないでしょうし、まして当日に姿を見せなかった者は、罪人としてお尋ね者になるとも聞くし」
「そんな……」
「とりあえず私は名前を書かなきゃいけないし、話は宿を取ってからそこでしましょう」
フラムが列に並んでいる間、また逸れない様にシャルロアは傍についていたが、その顔はずっと泣きそうな面持ちをしていた。
何とか時間には間に合い、ついでに一度参加名簿に書き込んでからの不参加が可能かを係りの者に尋ねてみたが、駄目だと言う事だった。
「まったく、あいつのせいでエライ目に遭ったわよ」
「フラム」
「今度会った時はただじゃおかないんだから」
「フラム」
「突然現れたと思ったら、消えるのも突然なんだから」
「フラム」
「さっきから何なのよ!」
肩の上から何度も呼び掛けるパルに、フラムの怒りの目が向けられる。
「手を引いてる人物をよく見るでヤンスよ」
「手を引いてるって、シャルロアでしょう……!?」
フラムが手を引いている人物は、全く知らない女性だった。
慌てて手を放し、頭を下げる。
「いつから?」
「人だかりを抜ける前からずっとでヤンスよ」
「もっと早く言ってよ」
「ずっと呼んでたでヤンス。でも、フリードの不満ばかり言って聞かなかったでヤンスよ」
そう言われては、返す言葉もない。
「困ったわね。ドゥーブで探そうにも、シャルロアの匂いがする物はないし。こんな広い街をどう探したら……」
「手分けして探すしかないでヤンスね」
「そうも言ってられないのよ。先に参加手続きを終わらせておかないと、時間がないの」
「じゃあ、どうするでヤンス?」
「……シャルロア、ゴメン」
謝りつつ、フラムは王位継承戦の参加申し込みが行われているオルタニア城の前へと移動した。
城前には、参加者と思われる大勢の人の列が何本も出来ていた。
「やっぱり早く来て正解だったわ。シャルロアには悪いけど、並んでいる内に締め切られでもしたら堪ったものじゃないもの」
そそくさと一本の列に並ぼうとした時、
「フラムさん! パルさん!」
聞き覚えがある声と共に、列の前の方からシャルロアが駆け寄って来た。
「シャルロア! こんな所に居たの。心配したのよ」
「よく言うでヤンスよ。シャルロアを探すより先に、参加手続きをしに来たでヤンス」
「参加手続き?」
直ぐにフラムの拳がパルの顎をグリグリする。
「あなたにもしもの事があったら、アインベルク様にどんな事をされるやら、考えただけで恐ろしいわ」
「それは確かに、でヤンス」
「お母様なら遣り兼ねませんね」
「でも、どうしてこんな所に?」
「それが、人ごみに押されてそのまま歩いて来たら、知らない間に列の後ろに並んでいて」
「そうか、王位継承戦に参加する人の波に押されちゃったのね━━って、シャルロア、まさかこの先の紙に名前を書いてないでしょうね?」
「書きましたけど、何か?」
「ええ~~~~~~~~!?」
満面の笑みで答えるシャルロアに、思わず出したフラムとパルの大声で、周りの注目を浴びる。
「どうして書いちゃったのよ?」
「いえ、行列の先に待っていた方に、ここに名前を書いて下さいと言われたので書いたのですが、何か問題でもあるのですか?」
「あるも何も、大ありよ。あんたが書いたのは王位継承戦の参加者名簿よ」
「そうですか、参加者名簿ですか……ええ~~~~~~~~!?」
今度はシャルロアの大声で注目を浴びる。
「参加者名簿って事は、私も参加するって事ですか?」
フラムとパルが揃って頷く。
「どうしましょう! どうしましょう!」
オロオロするシャルロアを見て、フラムとパルは揃って深い溜息を吐く。
「今更慌てても遅いわよ。厳粛な行事だし、一度参加を決めたら辞める訳にもいかないでしょうし、まして当日に姿を見せなかった者は、罪人としてお尋ね者になるとも聞くし」
「そんな……」
「とりあえず私は名前を書かなきゃいけないし、話は宿を取ってからそこでしましょう」
フラムが列に並んでいる間、また逸れない様にシャルロアは傍についていたが、その顔はずっと泣きそうな面持ちをしていた。
何とか時間には間に合い、ついでに一度参加名簿に書き込んでからの不参加が可能かを係りの者に尋ねてみたが、駄目だと言う事だった。
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