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第六章 邂逅(かいこう)
第十話 合流
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翌朝、ケンシルトの港に、大型の定期客船が到着した。
大勢の人々が下船してくる中、フリードの姿もあった。
「いや~、ようやく着いたな。さすがに海の上を走って来る訳にもいかないからな。さてと、フラムは、と……」
下船して来る客を多くの出迎えをする人々の姿があったが、フラムの姿が見当たらない。
「おいおい、まさか俺の方から探せってか」
困り顔でもう少し隈なく探してみると、建物の陰から肩にパルを乗せたフラムが手招きする姿があった。
「お、居た! 居た! でも、何であんな所から手招きをしてるんだ? お~い、フラム!」
大きく手を振るフリードに、フラムは慌てた様子で人差し指を立てて静かにするように合図するが、時既に遅かったようだ。
「あ、フリード!!」
聞き覚えがあるその声に、フリードの背中を強烈な悪寒が走る。
「あの声……まさか!」
引き攣った顔を向けたその視線の先に、嬉々として人ごみの中を何とか縫いながら向かって来るエレーナの姿を認めた。
「何してんの! 早く、逃げるわよ!」
思わず立ち尽くしていたフリードは、フラムの声に反応して一目散に逃げ出した。
物凄い速さでフラムの所まで達すると、スピード落とさずにその横を駆け抜けてしまった。
「バカ、私を置いてってどうすんのよ!」
フラムも慌てて後を追う。
フリードの足は自他ともに認める程かなりのもので、何度となくフラムも撒かれそうになるも何とか付いて行き、途中で気付いたフリードがフラムに合わせ、何とかエレーナを撒く事に成功する。
とは言え、フリードは少し、フラムはかなり息を弾ませていた。
「一人で突っ走ってどうすんのよ。もう少しでこっちまで撒かれる所だったわよ」
「悪い。あいつに追っかけられるとつい体が勝手に逃走モードになっちまってさ。でも、何でエレーナがここに居るんだ?」
「偶然でヤンス」
「そう、たまたま居合わせちゃったのよ。そもそもあんたのせいで私まで突っ掛かられる羽目になったのよ。どうしてくれんのよ」
「どうしてって言われてもな。あれは成り行きというか、そうでもないと言うか……」
「何ブツブツ言ってんのよ。まあいいわ。とりあえず詳しい事は朝食を取りながらにしましょう。あんたもまだでしょう」
「ああ、そう言えばまだだったな」
「やっと朝メシでヤンス」
「あんたは動いてないでしょうに。置いてかれそうになったのも、あんたが肩に乗っていたからでしょう。せめて飛びなさいよね」
「堅い事言わないでヤンスよ」
「まったくもう……」
と言う訳で、近くにあった食事が出来る店に入り、フラムとフリードは席に着き、そしてパルはテーブルの上で、テーブルを囲んで朝食を取る事になった。
「それは随分と大変だったな」
食事の合間にフリードが言う。
「まあ、大変なのはいつもの事だから別にいいのよ。もっと大変な事も色々経験して来たし。それよりも、報酬の件よ。法外な報酬だから、町じゃなく国が出したのは分かってたけど、城が燃えちゃったせいで修繕費にお金がかかるから報酬が貰えなくなっちゃって、そっちの方が問題よ」
「元々レガラントはライオが仕留めたでヤンスよ」
「あんな想いまでして召喚魔獣に出来なかったばかりか報酬もなしなんて、最悪だわ」
「聞いてないでヤンス……」
「そのライオって、王位継承戦に出てた奴だよな。手強い特異種のレガラント仕留めちまうし、パンタシア城は半日掛からずに落としちまうなんて相当な腕だよな」
「まあ、剣の腕だけならあんたが勝つかもしれないけど、ライオは魔獣召喚士だから、戦い方によってはライオの方が強いかも」
「おいおい、俺は魔獣がいたって関係ないぜ」
「おや、妬いてるでヤンスか?」
「そんなんじゃあ……」
「大丈夫でヤンスよ。だってライオは━━」
フラムが慌ててパルの口を塞ぎ、耳打ちする。
「ライオと私の関係を言っちゃダメよ」
「何ででヤンス?」
「ルディア様の孫だってバレたら事でしょう。フリードだけならいいけど、周りにバレたら面倒な事になり兼ねないし、あいつだったら何かの拍子にポロっと言っちゃいそうでしょう」
「フリードならそれはありそうでヤンス」
「おいおい、さっきから何をひそひそ話してんだよ」
「何でもないわよ。それより今度は何処に行けばいいの? 早くあんたの師匠に会って修行して貰わないと」
「そうだな。ここからだと、ケーレが一番近いかな」
「ちょっと待ってよ。その言い方だと、はっきりした居場所は分からないってこと?」
「まあな。ある程度の場所は分かるんだけど、先生は余り一ヵ所に腰を据えない人でさ。だからアインベルク様も案内人がいるって言ったんだろう」
「なるほどでヤンス」
「なるほどじゃないわよ。はっきりしたい居場所が分からないなんて、弟子も弟子なら師匠も師匠よね」
「そう言うなって。何処かには必ず━━伏せろ!」
突然のフリードがテーブルの下に身を隠し、フラムも思わずテーブルの下に身を伏せる。
まだ食事をしているパルも、フリードが掴んで慌ててテーブルの下に下ろす。
「急に何なのよ?」
「あっち」
小声でフリードが店の入り口を指さす。
そこには店の中を見渡すエレーナの姿があった。
「まったく、しつっこいわね」
「裏口から逃げるぞ」
「まだ食べ終わってないでヤンス」
「じゃあ、あんただけ置いてくわよ」
「それはないでヤンスよ……」
パルはがっくりと肩を落とした。
大勢の人々が下船してくる中、フリードの姿もあった。
「いや~、ようやく着いたな。さすがに海の上を走って来る訳にもいかないからな。さてと、フラムは、と……」
下船して来る客を多くの出迎えをする人々の姿があったが、フラムの姿が見当たらない。
「おいおい、まさか俺の方から探せってか」
困り顔でもう少し隈なく探してみると、建物の陰から肩にパルを乗せたフラムが手招きする姿があった。
「お、居た! 居た! でも、何であんな所から手招きをしてるんだ? お~い、フラム!」
大きく手を振るフリードに、フラムは慌てた様子で人差し指を立てて静かにするように合図するが、時既に遅かったようだ。
「あ、フリード!!」
聞き覚えがあるその声に、フリードの背中を強烈な悪寒が走る。
「あの声……まさか!」
引き攣った顔を向けたその視線の先に、嬉々として人ごみの中を何とか縫いながら向かって来るエレーナの姿を認めた。
「何してんの! 早く、逃げるわよ!」
思わず立ち尽くしていたフリードは、フラムの声に反応して一目散に逃げ出した。
物凄い速さでフラムの所まで達すると、スピード落とさずにその横を駆け抜けてしまった。
「バカ、私を置いてってどうすんのよ!」
フラムも慌てて後を追う。
フリードの足は自他ともに認める程かなりのもので、何度となくフラムも撒かれそうになるも何とか付いて行き、途中で気付いたフリードがフラムに合わせ、何とかエレーナを撒く事に成功する。
とは言え、フリードは少し、フラムはかなり息を弾ませていた。
「一人で突っ走ってどうすんのよ。もう少しでこっちまで撒かれる所だったわよ」
「悪い。あいつに追っかけられるとつい体が勝手に逃走モードになっちまってさ。でも、何でエレーナがここに居るんだ?」
「偶然でヤンス」
「そう、たまたま居合わせちゃったのよ。そもそもあんたのせいで私まで突っ掛かられる羽目になったのよ。どうしてくれんのよ」
「どうしてって言われてもな。あれは成り行きというか、そうでもないと言うか……」
「何ブツブツ言ってんのよ。まあいいわ。とりあえず詳しい事は朝食を取りながらにしましょう。あんたもまだでしょう」
「ああ、そう言えばまだだったな」
「やっと朝メシでヤンス」
「あんたは動いてないでしょうに。置いてかれそうになったのも、あんたが肩に乗っていたからでしょう。せめて飛びなさいよね」
「堅い事言わないでヤンスよ」
「まったくもう……」
と言う訳で、近くにあった食事が出来る店に入り、フラムとフリードは席に着き、そしてパルはテーブルの上で、テーブルを囲んで朝食を取る事になった。
「それは随分と大変だったな」
食事の合間にフリードが言う。
「まあ、大変なのはいつもの事だから別にいいのよ。もっと大変な事も色々経験して来たし。それよりも、報酬の件よ。法外な報酬だから、町じゃなく国が出したのは分かってたけど、城が燃えちゃったせいで修繕費にお金がかかるから報酬が貰えなくなっちゃって、そっちの方が問題よ」
「元々レガラントはライオが仕留めたでヤンスよ」
「あんな想いまでして召喚魔獣に出来なかったばかりか報酬もなしなんて、最悪だわ」
「聞いてないでヤンス……」
「そのライオって、王位継承戦に出てた奴だよな。手強い特異種のレガラント仕留めちまうし、パンタシア城は半日掛からずに落としちまうなんて相当な腕だよな」
「まあ、剣の腕だけならあんたが勝つかもしれないけど、ライオは魔獣召喚士だから、戦い方によってはライオの方が強いかも」
「おいおい、俺は魔獣がいたって関係ないぜ」
「おや、妬いてるでヤンスか?」
「そんなんじゃあ……」
「大丈夫でヤンスよ。だってライオは━━」
フラムが慌ててパルの口を塞ぎ、耳打ちする。
「ライオと私の関係を言っちゃダメよ」
「何ででヤンス?」
「ルディア様の孫だってバレたら事でしょう。フリードだけならいいけど、周りにバレたら面倒な事になり兼ねないし、あいつだったら何かの拍子にポロっと言っちゃいそうでしょう」
「フリードならそれはありそうでヤンス」
「おいおい、さっきから何をひそひそ話してんだよ」
「何でもないわよ。それより今度は何処に行けばいいの? 早くあんたの師匠に会って修行して貰わないと」
「そうだな。ここからだと、ケーレが一番近いかな」
「ちょっと待ってよ。その言い方だと、はっきりした居場所は分からないってこと?」
「まあな。ある程度の場所は分かるんだけど、先生は余り一ヵ所に腰を据えない人でさ。だからアインベルク様も案内人がいるって言ったんだろう」
「なるほどでヤンス」
「なるほどじゃないわよ。はっきりしたい居場所が分からないなんて、弟子も弟子なら師匠も師匠よね」
「そう言うなって。何処かには必ず━━伏せろ!」
突然のフリードがテーブルの下に身を隠し、フラムも思わずテーブルの下に身を伏せる。
まだ食事をしているパルも、フリードが掴んで慌ててテーブルの下に下ろす。
「急に何なのよ?」
「あっち」
小声でフリードが店の入り口を指さす。
そこには店の中を見渡すエレーナの姿があった。
「まったく、しつっこいわね」
「裏口から逃げるぞ」
「まだ食べ終わってないでヤンス」
「じゃあ、あんただけ置いてくわよ」
「それはないでヤンスよ……」
パルはがっくりと肩を落とした。
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