百合好き転生令嬢は、黒髪に生まれたことで親族たちから疎まれていますが、念願通り百合に囲まれ今日も幸せです

tataku

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第30話 私のお嫁さん?

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 メリエーヌ様からお怒り? のお言葉が出たため、私たちは別塔から出ていくことになった。

「でも、なんで私に魔法を教えてくれるんですかね?」

 やはり、私にはとんでもない魔法の才能があるから? (てへっ)
 
「きっと、レナ様には重要な任務が与えられるのですよ。羨ましいです!」

 いや、羨ましくはないでしょ。

 重要な任務――実に、嫌な響きである。

 なんせ、私の夢はスローライフ生活ですからね!

「その時は、是非ともこのわたくしに手伝わせてください。必ずや、ご期待に添えるよう頑張らさせていてだきますから!」

 いやいや、一国のお姫様に手伝わせるわけにはいかないでしょ。いくらお友達とはいえ――私はそのへん、気を使える女ですからね!

「レナ様には、使命がありますのじゃ」
「使命?」

 それも、すっげぇー嫌な響き。

「レナ様の右手には、それを表す印があり、それはもう、レナ様おひとりのものではありませんぞ。そしてそれは、ラナ様も同じこと」

 私とラナは、お互い自分の右手に浮かび上がる印を眺めた。

 アリシア様も、自分の右手に視線を向ける。手は黒い手袋と白いガントレット? があるため、印は見えない。

 何だろ? 一瞬――アリシア様は寂しげに笑った気がする。本当に、それはほんの一瞬だったため、私の気のせいかもしれないけど。

「それは、親から子へと引き継がれていくもの。ラナ様にはそれがありますが、レナ様にはそれがありませんのじゃ」

 ……そう言われると、何だか物凄く疎外感を感じてしまう。

「だからこそ、メリエーヌ様は親の代わりになるつもりなんじゃろうなぁ」
「え?」

 何それ、めちゃくちゃ良い話じゃん。

 だけどそんな話を、お母様が聞いたらめちゃくちゃキレそうだけどもね!

「本人に、その自覚はないと思いますがのう」
「なるほど。師匠は、優しい人なんですね」

 私がそう言うと、メリナさんはイタズラっぽく笑った。

「分かりにくいがのぅ」
「確かに」

 顔を見合わせ、笑い合う。

「レナ様はきっと、素晴らしい領主になられますぞ。儂が保証しますのじゃ」
「え?」

 私が――領主?

「期待しておりますぞ、レナ様。早く素敵なお嫁さんを貰い、元気な子をバンバン産んでくだされ」
 
 そう言って、メリナさんはニヤリと笑った。

「それでは、儂は明日の準備に向かいますので」

 軽く会釈をした後、メリナさんはいそいそと何処かに向かって素早く歩き出し、直ぐにその背中は見えなくなった。

 
 ……。


 ん?

 お嫁さん?


 つまり――女の人と、私が?
 

 いやいや、ありえませんから!


 ……。


 うん。


 ありえない――よね?


 ……。


 あ、やば。


 鼻血――出てきた。


 なにゆえ?



 * * *



 アリシア様が、屋敷まで私たち姉妹をエスコートしてくれた。

 屋敷の門の前で待機していたバーバラが、私たちの姿を確認すると、わざわざ走って私たちを出迎えてくれる。

 バーバラはアリシア様にめちゃくちゃ恐縮しており、何度も頭を下げた。そんな彼女に対し、アリシア様は上手く対応し、和やかな雰囲気となる。

 アリシア様は後をバーバラに任せると言い、お城の方へと帰っていった。

 門を潜り、屋敷の前でバーバラが足を止めると、私たちに対し頭を下げた。

「バーバラ、ちゃんと休めた?」
「ええ、ちゃんと休めましたよ」

 と、笑顔で言った。

「……バーバラは、まだお仕事頑張るの?」

 私は、尋ねる。

「ええ、それが私の生きがいですから」

 笑顔で――そう、言われてしまうと、何も言えなくなる。

 それにしても――この人は一体、いつ休んでいるのだろうか? そのことについて質問しても、いつだってはぐらかされる。

 お母様はもう少し、バーバラに気を使うべきだと思う。まぁ、私もよく迷惑をかけているわけだから、人のことは何も言えないんだけども。

「バーバラ、いつもありがとう」

 と、ラナは彼女に感謝の言葉を伝えた。

「ありがとう御座います。ラナ様」

 バーバラは、嬉しそうに笑みを浮かべる。

「わ、私だって、感謝しまくりだからね!」
「分かっていますよ、レナ様」

 と、まるで小さな子供に語りかけるよう、バーバラは言葉にした。

 し、失礼なぁ! 身体は子供でも、心は大人の女性なんだぞぉ。

 あ、我が愛しの妹が姉である私を見て、何故かやれやれと言った感じで視線を向けてくるぅ!

 本当――ラナは、どんな表情でも可愛いなぁ、こんちくしょう☆


 
 バーバラとお別れし、私はお屋敷のドアノブを掴む。そして、開ける前にラナの方へと視線を向ける。

 妹が頷くのを確認してから、私はドアを開けた。

 嫌な予感が、まさに的中。

 お母様が待ち構えるかのように、腕を組み――目の前に佇んでいた。まさに、ラスボス的存在感!

「遅かったわね」
「そ、そんなことは、ないと思うよ? だって、まだ日は傾いてはいないからね!」

 お母様が、じっと――私たちを眺める。

 こ、この視線――メリエーヌ様並みのプレッシャーではないか!

 い、妹が、少しだけ後退ると、私の服を掴んだ。

「今日はもう、大人しくしてなさい」

 と、お母様は言った。

 そして、私たちから背を向けると自分の部屋の方へと向かった。



 * * *



 メイドたちはまだ、帰ってきていない。

 私が借りた部屋で、ラナとしばらくお話していた。部屋の真ん中には、長机と向かい合わせのソファ。そこに座って、可愛いラナの顔を眺めながら、私は至福の時間を過ごしている。

 突然、ドアが開いた。

 そして、勢い良くふたりのメイドが中へと入ってくる。目が血走っている気がして――何だか、怖いんですけど?

「レナ様、どういうことですか!?」
「ラナお嬢様、どういうおつもりなんですの!?」

 カトレア、マーガレットのふたりは、それぞれの主人に詰め寄り、そんな訳の分からないことを叫んだ。

 私は困惑した。

 それは多分、妹のほうだって――そうだろう。

 本当、一体なんなんだ!?
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