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第2章
第26話
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藤宮と一緒に店内を回る。
色んな衣装があり、彼女には色んな服に着せ替えたい欲望が沸々と湧いてきた。
私は、藤宮の全身を眺める。
「な、なんなのよ、一体」
視線に気づいたためか、妙に警戒心を持たれてしまったようだ。
「大したことじゃないんだけどさ、その私服――本当に似合ってると思ってさ」
何せ、私好みだ。
何を着ても似合うんだろうが、この服のままで一度撮ってみたいと思う。
でも、それでは藤宮にとって何のメリットもない。
「……あんまり、見ないで欲しいのだけど」
藤宮は顔を赤くし、そっぽ向く。
「ああ、ごめん。つい」
流石に、ガン見するのは失礼だと反省する。
「藤宮はどんな服が着たいとかある?」
「別に、ないわ。そんなもの」
「じゃあ、私が勝手に何点か選ぶってことでいい?」
「……まともなものなら、別に構わないけれど」
「へー、そうなんだ。じゃあ、藤宮に似合うものを探すから。まぁ、私の好みで選ばさせてもらうけどね」
「……自分の、服は選ばないの?」
「全くもって、探すつもりはないかな」
正直、どうでもいい。
「では、私が数点選ぶけど――構わない?」
「……まぁ、いいけど」
「そう、なら決まりね」
藤宮が私の服を決める? 全くどんなものを選ぶのか、想像ができない。
「では、二十分後――そこの更衣室前集合で構わないわよね?」
私は承諾する。
お互いに服のサイズを伝えた後、藤宮は近くにあるカゴを持って何処かに向かった。
何を選ぶかは、後のお楽しみってことか?
もしかして、結構――楽しんでる?
意外な積極性に、私はしばらく戸惑っていたが、直ぐに気持ちを切り替えた。
私は一人で、藤宮の服を探す。
たまに、これは深雪に似合いそうだなーと、思考に横槍が入ったりはするものの順調に探し当てていく。
私はクールなお嬢様キャラが大好物だ。
実に素晴らしいと思う。
しかし、それと同じぐらい――気高き王女様も素晴らしい。
私が好きになるキャラは大体そんな感じだ。
私が密かに恋い焦がれてきた彼女達を思い浮かべ、彼女達が着ていた衣装が頭の中に蘇る。
私が愛してきた強い心を持つ彼女達――是非とも私が蕩けさせたい。だが、表情は強気なままが理想である。後、強がりを言ってくれれば最高だ。
そして、私は言うのだ。
体はこんなにも正直なのに――と。
私の言葉に――彼女達はきっと、恥ずかしげに身をよじってくれる筈。
きっと誰もが、このような夢想をするものだと私は考えている。
だから、私は別におかしくない。これは――普通のことである。
しかし、このような妄想を他人に垂れ流すつもりは一切ないが。
二十分後。
約束通り、更衣室前で集合する。
広い店内のためか、深雪の姿は見当たらない。
「まともなものを選んだんでしょうね」
疑いの眼差しをむけられる。
とても、失礼な話だと思う。
「問題ないかな。藤宮に似合うものしか選んでいないから。正直、あんたに似合わないものなんてないとは思うけど」
「……本当、馬鹿ね」
藤宮はそっぽ向く。
「因みにだけど、そっちはどんなものを選んだの?」
藤宮が不安なように、私も正直心配だ。
「何って――別に普通だと思うけれど」
そう言って、カゴの中から出した服に私は驚いた。
彼女の手にはメイド服。
フリフリではなく、落ち着いたクラシカルなメイド服。
頭につけるカチャーシュもある。
「な、なんでそれ?」
「なんで?」
藤宮は不思議そうな顔をした。
「――そうね、あなたにはうちでメイドとして働いて貰いたいと思ったからかしら?」
彼女の家は豪邸である。メイドが何人働いていても何も不思議ではない。であるならば、彼女にとっては日常にありふれたものなのだろう。私にとっては、とてもメルヘンであり、とても私に似合うとは思えない。
それにしても――同級生を家で働かせたいなど、何か恨みでもあるのか?
「これは――嫌かもしれないけれど」
そう言って、超フリフリなメイド服が数点出てきた。
うん、ありえない。
確かに、一番初めの服がいかにましかが実感できる。
「あなたは、どんなものを選んだの?」
「私? 私は――藤宮に比べたら普通だけどね」
そう言って、私は服を手に持った。
1枚目は、プリキラにもでてきたプリンセスのドレス。
紫を基調とした衣装で、華やかである。
「ふ、普通? これが?」
「そう、普通だと思うけど?」
「じゃあ、あなたはそれを着られるの?」
「私が? 私が着られる訳ないじゃん」
「それなのに、これが普通だと?」
「私が着たら変だけど、藤宮なら普通だからね」
「どう言う意味よ、それ」
「藤宮なら普通に似合うってこと」
「……」
「そんなことより、藤宮が着た所、早く見たいんだけど」
「……他のは?」
私は2枚目、3枚目と取り出す。
基本的には、お姫様やお嬢様が着るようなドレスばかりだ。少々安っぽい感じはあるが、藤宮ならそれを気づかせないぐらい、きっと似合うことだろう。
「……正直、どれも似たりよったりじゃない」
全くもって、そんなことはない。意外と見る目がないのだと、私は残念に思った。
「どれを着るかはあなたが決めて。その代わり、この衣装――着なさいよ」
そう言って、藤宮はクラシカルなメイド服を手に取った。
それなら――まあ、いいかな。絶対に似合わないとは思うけど。
「で、私は何を着ればいいのかしら?」
私は一番最初に見せた、プリンセスのドレスを手に取った。
藤宮は実に、嫌そうな顔をする。
色んな衣装があり、彼女には色んな服に着せ替えたい欲望が沸々と湧いてきた。
私は、藤宮の全身を眺める。
「な、なんなのよ、一体」
視線に気づいたためか、妙に警戒心を持たれてしまったようだ。
「大したことじゃないんだけどさ、その私服――本当に似合ってると思ってさ」
何せ、私好みだ。
何を着ても似合うんだろうが、この服のままで一度撮ってみたいと思う。
でも、それでは藤宮にとって何のメリットもない。
「……あんまり、見ないで欲しいのだけど」
藤宮は顔を赤くし、そっぽ向く。
「ああ、ごめん。つい」
流石に、ガン見するのは失礼だと反省する。
「藤宮はどんな服が着たいとかある?」
「別に、ないわ。そんなもの」
「じゃあ、私が勝手に何点か選ぶってことでいい?」
「……まともなものなら、別に構わないけれど」
「へー、そうなんだ。じゃあ、藤宮に似合うものを探すから。まぁ、私の好みで選ばさせてもらうけどね」
「……自分の、服は選ばないの?」
「全くもって、探すつもりはないかな」
正直、どうでもいい。
「では、私が数点選ぶけど――構わない?」
「……まぁ、いいけど」
「そう、なら決まりね」
藤宮が私の服を決める? 全くどんなものを選ぶのか、想像ができない。
「では、二十分後――そこの更衣室前集合で構わないわよね?」
私は承諾する。
お互いに服のサイズを伝えた後、藤宮は近くにあるカゴを持って何処かに向かった。
何を選ぶかは、後のお楽しみってことか?
もしかして、結構――楽しんでる?
意外な積極性に、私はしばらく戸惑っていたが、直ぐに気持ちを切り替えた。
私は一人で、藤宮の服を探す。
たまに、これは深雪に似合いそうだなーと、思考に横槍が入ったりはするものの順調に探し当てていく。
私はクールなお嬢様キャラが大好物だ。
実に素晴らしいと思う。
しかし、それと同じぐらい――気高き王女様も素晴らしい。
私が好きになるキャラは大体そんな感じだ。
私が密かに恋い焦がれてきた彼女達を思い浮かべ、彼女達が着ていた衣装が頭の中に蘇る。
私が愛してきた強い心を持つ彼女達――是非とも私が蕩けさせたい。だが、表情は強気なままが理想である。後、強がりを言ってくれれば最高だ。
そして、私は言うのだ。
体はこんなにも正直なのに――と。
私の言葉に――彼女達はきっと、恥ずかしげに身をよじってくれる筈。
きっと誰もが、このような夢想をするものだと私は考えている。
だから、私は別におかしくない。これは――普通のことである。
しかし、このような妄想を他人に垂れ流すつもりは一切ないが。
二十分後。
約束通り、更衣室前で集合する。
広い店内のためか、深雪の姿は見当たらない。
「まともなものを選んだんでしょうね」
疑いの眼差しをむけられる。
とても、失礼な話だと思う。
「問題ないかな。藤宮に似合うものしか選んでいないから。正直、あんたに似合わないものなんてないとは思うけど」
「……本当、馬鹿ね」
藤宮はそっぽ向く。
「因みにだけど、そっちはどんなものを選んだの?」
藤宮が不安なように、私も正直心配だ。
「何って――別に普通だと思うけれど」
そう言って、カゴの中から出した服に私は驚いた。
彼女の手にはメイド服。
フリフリではなく、落ち着いたクラシカルなメイド服。
頭につけるカチャーシュもある。
「な、なんでそれ?」
「なんで?」
藤宮は不思議そうな顔をした。
「――そうね、あなたにはうちでメイドとして働いて貰いたいと思ったからかしら?」
彼女の家は豪邸である。メイドが何人働いていても何も不思議ではない。であるならば、彼女にとっては日常にありふれたものなのだろう。私にとっては、とてもメルヘンであり、とても私に似合うとは思えない。
それにしても――同級生を家で働かせたいなど、何か恨みでもあるのか?
「これは――嫌かもしれないけれど」
そう言って、超フリフリなメイド服が数点出てきた。
うん、ありえない。
確かに、一番初めの服がいかにましかが実感できる。
「あなたは、どんなものを選んだの?」
「私? 私は――藤宮に比べたら普通だけどね」
そう言って、私は服を手に持った。
1枚目は、プリキラにもでてきたプリンセスのドレス。
紫を基調とした衣装で、華やかである。
「ふ、普通? これが?」
「そう、普通だと思うけど?」
「じゃあ、あなたはそれを着られるの?」
「私が? 私が着られる訳ないじゃん」
「それなのに、これが普通だと?」
「私が着たら変だけど、藤宮なら普通だからね」
「どう言う意味よ、それ」
「藤宮なら普通に似合うってこと」
「……」
「そんなことより、藤宮が着た所、早く見たいんだけど」
「……他のは?」
私は2枚目、3枚目と取り出す。
基本的には、お姫様やお嬢様が着るようなドレスばかりだ。少々安っぽい感じはあるが、藤宮ならそれを気づかせないぐらい、きっと似合うことだろう。
「……正直、どれも似たりよったりじゃない」
全くもって、そんなことはない。意外と見る目がないのだと、私は残念に思った。
「どれを着るかはあなたが決めて。その代わり、この衣装――着なさいよ」
そう言って、藤宮はクラシカルなメイド服を手に取った。
それなら――まあ、いいかな。絶対に似合わないとは思うけど。
「で、私は何を着ればいいのかしら?」
私は一番最初に見せた、プリンセスのドレスを手に取った。
藤宮は実に、嫌そうな顔をする。
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