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第三章
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仮にも貴族の奥方となったからには、こういったお誘いがあるのは当たり前だ。
逆に結婚して半年近く経つのに今までなかったのが不思議なくらいだ。
私が社交界デビュー以来、どこの夜会にも出席していなくて名前が知られていないこともあるし、ルイスレーン様との結婚事態があまり表に出ていなかったこともある。
普通、貴族が結婚するとなると国王陛下に報告して公に告示する。
しかし私たちの結婚がそもそも国王から持ち出した話だし、戦争中ということもあり慶事はあまり表沙汰にされなかった。
それにルイスレーン様自体が夜会に顔を出すタイプでなかったことも要因のひとつだ。
夜会の予定がある日は積極的に王宮警備の夜勤に勤しみ、必要最低限の出席に留めていたようだ。
今回の茶会は皇太子妃と第二皇子妃が、夫が戦争に行っていて寂しい思いをしている妻たちを慰めるためのものだった。
「断るわけには……」
日付はちょうど三週間後。ちょうどニコラス医師との約束の1ヶ月目の日だった。
「何をバカなことをおっしゃっているのですか!熱が出ていたって出席しなくては」
「でも、この日はニコラス先生との約束の日だし、その日に行かなくては意味が……」
「王宮の茶会ですよ!三週間後なんて時間がありませんわ。今から注文してドレスが間に合うかしら」
マリアンナは私の話を無視して仕度のことで頭がいっぱいだ。
行かない選択肢はあり得ない。
それから茶会までの間は目まぐるしい忙しさだった。
まず一旦休んでいたマナーレッスンが再開された。
次いでお茶会に来ていく衣装の仮縫い。
お茶会に招待される方々の経歴についての勉強。
お茶会で話題になりそうな最近流行のお店などの情報収集。
そして毎日のお肌のお手入れも追加された。
その合間に診療所へ通い、息つく暇もなかった。
そんなこんなで忙しくしたが、お陰でルイスレーン様への手紙に書く内容ができたのが幸いだ。
『親愛なるルイスレーン様
その後お変わりありませんか?
私は今度王宮のお茶会に出席することになりました。
初めの王宮でのお茶会に出席するため、その準備に追われております。
お茶会に出るための衣装を新しく設えました。
私は今あるものでと思いましたが、ダレクもマリアンナも侯爵夫人として初めての公式の招待だからとドレスを新調いたしました。
私は控えめにと主張したのですが、旦那様のお金を少し使ってしまいました。
事後報告で申し訳ありません。
それと、フォルトナー先生のお知り合いのニコラス・ベイルさんというお医者様を紹介していただき、診察していただきました。
その方は王室の主治医を勤めた方ですが、やはりその方でもすぐに私の記憶喪失を治す方法はないとおっしゃいました。
お礼に先生が新しく始めたという診療所の運営に私も少し運営のお手伝いをしたいと思い、お金を使います。
ごめんなさい。
こちらはもう春も終わりです。
北の春は遅いと聞いていますが、春はもう来ていますか?風邪などひかれませんように。
クリスティアーヌ 』
おかしなところはないか読み返す。
必要経費とは言え夫の財産を使うことに些かの抵抗があった。
ダレクさんはこれくらいの出費で侯爵家の財政はびくともしないと言うが、以前の夫は細かく毎月の支払いをチェックし、誰のお陰でこんな贅沢ができるのかと恩着せがましく言っていた。
留守中の邸のことはダレクさんに一任されていると言うが、ルイスレーン様が妻の浪費に異を唱えるタイプだったら後で怒られるのはダレクさんだ。
これはいつ買ったのかと後で文句を言われる前にこちらから申告しておく方がいい。
後の問題は茶会の日に休ませてもらうことをニコラス先生に伝えることだ。
茶会まで後一週間。そろそろ話をしないといけないと思いながら、私は書いた手紙を折り畳み封筒に入れると、ひと仕事終えたようにほっとして眠りについた。
逆に結婚して半年近く経つのに今までなかったのが不思議なくらいだ。
私が社交界デビュー以来、どこの夜会にも出席していなくて名前が知られていないこともあるし、ルイスレーン様との結婚事態があまり表に出ていなかったこともある。
普通、貴族が結婚するとなると国王陛下に報告して公に告示する。
しかし私たちの結婚がそもそも国王から持ち出した話だし、戦争中ということもあり慶事はあまり表沙汰にされなかった。
それにルイスレーン様自体が夜会に顔を出すタイプでなかったことも要因のひとつだ。
夜会の予定がある日は積極的に王宮警備の夜勤に勤しみ、必要最低限の出席に留めていたようだ。
今回の茶会は皇太子妃と第二皇子妃が、夫が戦争に行っていて寂しい思いをしている妻たちを慰めるためのものだった。
「断るわけには……」
日付はちょうど三週間後。ちょうどニコラス医師との約束の1ヶ月目の日だった。
「何をバカなことをおっしゃっているのですか!熱が出ていたって出席しなくては」
「でも、この日はニコラス先生との約束の日だし、その日に行かなくては意味が……」
「王宮の茶会ですよ!三週間後なんて時間がありませんわ。今から注文してドレスが間に合うかしら」
マリアンナは私の話を無視して仕度のことで頭がいっぱいだ。
行かない選択肢はあり得ない。
それから茶会までの間は目まぐるしい忙しさだった。
まず一旦休んでいたマナーレッスンが再開された。
次いでお茶会に来ていく衣装の仮縫い。
お茶会に招待される方々の経歴についての勉強。
お茶会で話題になりそうな最近流行のお店などの情報収集。
そして毎日のお肌のお手入れも追加された。
その合間に診療所へ通い、息つく暇もなかった。
そんなこんなで忙しくしたが、お陰でルイスレーン様への手紙に書く内容ができたのが幸いだ。
『親愛なるルイスレーン様
その後お変わりありませんか?
私は今度王宮のお茶会に出席することになりました。
初めの王宮でのお茶会に出席するため、その準備に追われております。
お茶会に出るための衣装を新しく設えました。
私は今あるものでと思いましたが、ダレクもマリアンナも侯爵夫人として初めての公式の招待だからとドレスを新調いたしました。
私は控えめにと主張したのですが、旦那様のお金を少し使ってしまいました。
事後報告で申し訳ありません。
それと、フォルトナー先生のお知り合いのニコラス・ベイルさんというお医者様を紹介していただき、診察していただきました。
その方は王室の主治医を勤めた方ですが、やはりその方でもすぐに私の記憶喪失を治す方法はないとおっしゃいました。
お礼に先生が新しく始めたという診療所の運営に私も少し運営のお手伝いをしたいと思い、お金を使います。
ごめんなさい。
こちらはもう春も終わりです。
北の春は遅いと聞いていますが、春はもう来ていますか?風邪などひかれませんように。
クリスティアーヌ 』
おかしなところはないか読み返す。
必要経費とは言え夫の財産を使うことに些かの抵抗があった。
ダレクさんはこれくらいの出費で侯爵家の財政はびくともしないと言うが、以前の夫は細かく毎月の支払いをチェックし、誰のお陰でこんな贅沢ができるのかと恩着せがましく言っていた。
留守中の邸のことはダレクさんに一任されていると言うが、ルイスレーン様が妻の浪費に異を唱えるタイプだったら後で怒られるのはダレクさんだ。
これはいつ買ったのかと後で文句を言われる前にこちらから申告しておく方がいい。
後の問題は茶会の日に休ませてもらうことをニコラス先生に伝えることだ。
茶会まで後一週間。そろそろ話をしないといけないと思いながら、私は書いた手紙を折り畳み封筒に入れると、ひと仕事終えたようにほっとして眠りについた。
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