【本編完結】政略結婚から逃げたいのに旦那様から逃げられません

七夜かなた

文字の大きさ
159 / 266
第十一章

13【*】

しおりを挟む
がっしりとした肩に口を寄せると、筋肉がぴくりと動いた。

彼が愛しくて堪らない。

「本当に…私でいいの?私自身、自分がアイリなのかクリスティアーヌなのかわからなくなる時があるの。あなたにはどっちに見える?どっちが……いい?」

少しずつ甦るクリスティアーヌの記憶と、クリスティアーヌさえ知らなかった真実。そのひとつひとつを紐解いていった先に、はたして何が待ち構えているのか不安でしかたない。この世界ではクリスティアーヌが現実に存在していて、彼女をこの世に生み出した父や母がいて、身内がいる。クリスティアーヌを心配してくれる人はいても、アイリを心配してくれる人はいない。愛理としての存在は自分の記憶だけで、今こうしてルイスレーンを愛おしく思い、彼の与えてくれる刺激に喘ぎ、感じているのが愛理なのかクリスティアーヌなのかわからない。

「どっち?」

彼の肩に顔を埋め、背中を抱える。彼の手が片方が私の肩をもう片方が腰を抱く。

「どっちもだ」

彼の落ち着いた低い声が耳を掠める。肩に顔を預ける私を少し引き離し、顔を覗き込まれる。不思議な緑と橙色の虹彩をした瞳に私の顔が映っている。

「私は欲張りだ。クリスティアーヌだけでもアイリだけでもない。どちらかを選べと言われても無理だ。クリスティアーヌの境遇を知り護りたいと思った。そんな彼女に心を奪われ妻にするならこの人だと思った。そしてたどたどしい文字で手紙をくれ、お菓子をつくり、子どもたちの世話をし、夫や子どもを失った女性たちを元気づけようとする、そんな優しさと強さを持つ君に更に引かれた。どちらが欠けても今の君にはならない。それに……」

「あ……」

彼の掌が潤っていく私の秘所を覆い、親指で花芽を押し潰す。その刺激に腰が動いた。

「私しか知らない妻の一面があるなど刺激的ではないか。こうして私が触れて潤っていくのも、その時どんな顔をするのか、どんな声で喘ぐのか」

「あ……そこは……ん、ああ……」

人差し指が中に差し込まれ長い指がくねくねと中を泳ぎ回る。

「アイリ……私だけが君をこんな風に抱き、名を呼ぶと、誰も踏みいることのできない領域に入ることを許された特別な存在になったような気になる」

「あん……あ……そこ……あん」

指が増やされ膣壁が広げられる。中から溢れてくる液がじゅぶじゅぶと音を立てる。

「私が受け止める。どこまでできるかわからないが、クリスティアーヌもアイリも……だから頼って欲しい」

「あ…」

指が抜かれ代わりに入り口に彼の先端が当たり、ゆっくりと奥まで分けいってきて、指とは違う刺激を与えられる。

「ルイスレーンは……どっちが好き?大きい方?それとも……」

彼のものを全て受け入れた私の胸を彼の手が包んだが、クリスティアーヌの胸は大きくて指の間から肉がはみ出している。

「なぜそんなことを?」
「アイリは……アイリの時はそんなに大きくなくて……ルイスレーンの手ならすっぽりと隠れてしまったかも…大きい胸が憧れだったから……あなたにそんな風に触ってもらうと、ちょっと嬉しいかも」
「そんなものか……」

私の顔と自分が手に触れる胸を交互にみつめ、彼がどうしてそんなことを気にするのか不思議そうな顔をする。

「確かに………女性の胸の大きさに拘る男はいるが」

それから手を離して自分の手を見て、大きさを想像しているのがわかった。

「あの……もういいですから」
「ちょっと待ってくれ」

彼の想像を打ち払おうと手を払い除けようとすると、それを避けて手を動かすので勢い余って彼の胸に倒れ込む。角度が変わって私の中にいる彼の先端の当たるところが変わり、びくりとなる。

「これも私はどちらとも言えないな。手に余る程であれ納まる程であれ、こうやって刺激を与えて感じてくれるなら、それでいい」

私の反応を見て、彼の口角があがる。

「大きさなら男もそうだろ。体格に比例して普通よりは大きいとは思うが、そこに拘る者もいる」

私の中にいる彼が少し大きくなる。

「あなたはどっちだ?」

「他の人を知りませんから……でも、私もどっちでも……いい……あ」

ぐいっと腰を打ち付けられ頭が快感でチカチカして思考が定まらない。

「もっと……大きくても……小さくても……ルイスレーン……だから……はあ……ああん」

びくびくと中が痙攣して自然と締め付ける。

「アイリ……そんなに締め付けるな」
「む、無理……あん……ルイスレーンも……そんなに大きく……ならないで」
「気持ち良すぎて……もう……イッていいか」

こくこくと頷くと、腰を掴まれ仰向けにさせられた。そこから彼が激しく腰を動かし、額から汗が飛び散る。

最後に再奥まで打ち付けられると、その瞬間中に熱いものが注がれ、互いに抱き締めあいながら眠りについた。



しおりを挟む
感想 139

あなたにおすすめの小説

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...