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第2章 とりあえず「恋人」
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その後一瞬受付はフェルの発言に騒然となったが、ギルド長がすぐに今は仕事中だから、そういうことは控えるようにと注意した。
「この薬草はあなたが貰っておきなさい。必要なら薬にしてもいいし、魔法でこのままの状態を維持しておくこともできますよ」
「えっと、私が決めていいの?」
マリベルがフェルに問いかけると、フェルはコクリと頷いた。
「じゃあ、薬にします。私が一人で鑑賞するよりその薬で助かる人がいるならその方が有益です」
それでいいかとマリベルが尋ねると、フェルも再び頷く。
「では、それは私が預かろう」
ギルド長に薬草の束を渡す。
「しかし、これ程の薬草を集められのにC級とは、もっと上を目指せるのではないか?」
そうギルド長に言われたが、フェルは興味がなさそうだ。
「興味ない。俺は冒険者としていられればランクは何でもいい」
「冒険者ならランクが上がるのを喜ぶものだろう」
「そうじゃない者もいる」
「まあ冒険者一本で稼いでいない者の中には、そういう者もいるな」
「ギルド長、そんな変わり者放っておきましょう。おいお前、もう二度と騒ぎを起こすな。今度何かあったらギルドを出禁にするぞ」
フェルはイクリに悪い意味で印象を与えてしまったようだ。
過去にイクリに嫌われてネチネチとイビられた冒険者は結構いる。
受付の者たちはそれを知っているので心配そうにフェルとマリベルを見ていた。
「副ギルド長、確かに騒ぎを起こすのはよくないが、そこまでは言い過ぎだ。それは職権濫用だ。冒険者は荒事に対応するのだから、どうしても乱暴な言動をすることもあるが、今回のことはエミリオが上級冒険者として自覚が足りなかった。しかし、君も今後は気をつけないと、マリベルさんが困ることになる。意味はわかるね」
副ギルド長の行き過ぎた言い方を窘めつつ、ルヴォリはフェルにも釘を刺す。
「お、仰るとおりです。さすがギルド長、冒険者のことをよくわかっていらっしゃいます」
苦々しく引き攣った笑いを浮かべイクリが腰を低くしてごまを擦る。
「皆さん、お騒がせしてすみませんでした」
受付にいた皆に詫びを告げて、ギルド長たちは部屋へと引き上げていった。
戻る際にギルド長はもう一度フェルの方をチラリと見た。
「ごめんなさい、せっかく持ってきてくれた薬草…」
「君にあげたものだ。別に構わない」
「あの、フェルさん」
マリベルはフェルに近づくよう手招きする。
「あ、あの、さっきのことですけど、その、『恋人』の話」
顔を近づけたフェルの耳に小さな声で言う。
「恋人」の話は一度なかったことにしてほしいと言ったのに、結局彼に「恋人」の振りをさせてしまった。
ここまで大勢に知られたからにはこれからどうするか話し合わなくてはいけない。
「マリベル、今は仕事中でしょ、恋人との会話は仕事の後にしてね」
ミランダが注意してきたので、その場でそれ以上話をすることが出来なかった。
「あ、じゃあ…仕事の後で、話したいので、時間ありますか?」
「大丈夫だ。俺もこの後用がある。後で君の家に行く」
「え、家に?」
「そうしてください。じゃあ、そういうことだから、それでマリベル、この依頼のことだけど」
「え、あ、はい」
すぐに仕事のことでミランダに話しかけられたので、気がつくとフェルはその場からいなくなっていた。
(家って、私はもう別の場所に引っ越したの、フェルさん知らないのかな)
以前はギルド長に斡旋された家に住んでいたが、そこは今はルヴォリとその家族が住んでいる。
フェルはそれを知らないのではないだろうか。
本当に「恋人」なら知っていて当然だが、彼とマリベルは違う。
(どうしよう、クロステルに行った方がいいかな)
彼が泊まっているホテル・クロステルに急いで行けばいいか。
「この薬草はあなたが貰っておきなさい。必要なら薬にしてもいいし、魔法でこのままの状態を維持しておくこともできますよ」
「えっと、私が決めていいの?」
マリベルがフェルに問いかけると、フェルはコクリと頷いた。
「じゃあ、薬にします。私が一人で鑑賞するよりその薬で助かる人がいるならその方が有益です」
それでいいかとマリベルが尋ねると、フェルも再び頷く。
「では、それは私が預かろう」
ギルド長に薬草の束を渡す。
「しかし、これ程の薬草を集められのにC級とは、もっと上を目指せるのではないか?」
そうギルド長に言われたが、フェルは興味がなさそうだ。
「興味ない。俺は冒険者としていられればランクは何でもいい」
「冒険者ならランクが上がるのを喜ぶものだろう」
「そうじゃない者もいる」
「まあ冒険者一本で稼いでいない者の中には、そういう者もいるな」
「ギルド長、そんな変わり者放っておきましょう。おいお前、もう二度と騒ぎを起こすな。今度何かあったらギルドを出禁にするぞ」
フェルはイクリに悪い意味で印象を与えてしまったようだ。
過去にイクリに嫌われてネチネチとイビられた冒険者は結構いる。
受付の者たちはそれを知っているので心配そうにフェルとマリベルを見ていた。
「副ギルド長、確かに騒ぎを起こすのはよくないが、そこまでは言い過ぎだ。それは職権濫用だ。冒険者は荒事に対応するのだから、どうしても乱暴な言動をすることもあるが、今回のことはエミリオが上級冒険者として自覚が足りなかった。しかし、君も今後は気をつけないと、マリベルさんが困ることになる。意味はわかるね」
副ギルド長の行き過ぎた言い方を窘めつつ、ルヴォリはフェルにも釘を刺す。
「お、仰るとおりです。さすがギルド長、冒険者のことをよくわかっていらっしゃいます」
苦々しく引き攣った笑いを浮かべイクリが腰を低くしてごまを擦る。
「皆さん、お騒がせしてすみませんでした」
受付にいた皆に詫びを告げて、ギルド長たちは部屋へと引き上げていった。
戻る際にギルド長はもう一度フェルの方をチラリと見た。
「ごめんなさい、せっかく持ってきてくれた薬草…」
「君にあげたものだ。別に構わない」
「あの、フェルさん」
マリベルはフェルに近づくよう手招きする。
「あ、あの、さっきのことですけど、その、『恋人』の話」
顔を近づけたフェルの耳に小さな声で言う。
「恋人」の話は一度なかったことにしてほしいと言ったのに、結局彼に「恋人」の振りをさせてしまった。
ここまで大勢に知られたからにはこれからどうするか話し合わなくてはいけない。
「マリベル、今は仕事中でしょ、恋人との会話は仕事の後にしてね」
ミランダが注意してきたので、その場でそれ以上話をすることが出来なかった。
「あ、じゃあ…仕事の後で、話したいので、時間ありますか?」
「大丈夫だ。俺もこの後用がある。後で君の家に行く」
「え、家に?」
「そうしてください。じゃあ、そういうことだから、それでマリベル、この依頼のことだけど」
「え、あ、はい」
すぐに仕事のことでミランダに話しかけられたので、気がつくとフェルはその場からいなくなっていた。
(家って、私はもう別の場所に引っ越したの、フェルさん知らないのかな)
以前はギルド長に斡旋された家に住んでいたが、そこは今はルヴォリとその家族が住んでいる。
フェルはそれを知らないのではないだろうか。
本当に「恋人」なら知っていて当然だが、彼とマリベルは違う。
(どうしよう、クロステルに行った方がいいかな)
彼が泊まっているホテル・クロステルに急いで行けばいいか。
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