転生して要人警護やってます

七夜かなた

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177 占い師の正体

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襲撃犯たちはただ金で雇われただけで、どんなに拷問しても何の情報も得られなかった。

それを思えば今回の三人は、彼らよりフィリップ司祭たちの近くいて、これまで得られなかった事実が次々と明るみになり、事態はかなり進展したと言える。

「デリヒの娘についても、やはり彼らの仕業か?」

ウィリアムさんが訊ねる。

「昨夜捕らえた中にレベロという名の人物がいます。彼は古くからフィリップ司祭たちの側に居たようです。同じように彼らの側にマヤと言う女がいるそうです。レベロが白状したところによると、その女が消えたメイというメイドだと」

「では、そのメイドが手引きしてデリヒの娘に引き合わせた占い師については?」

メイというメイドが彼らの仲間の一人と言うなら、アネット嬢が言う占い師も実際に存在した可能性が高い。

「それが……」

クリスさんとレイさんが顔を見合せ、笑いをこらえたように口許を歪める。

「何だ?何かあるのか?」

「取り調べでアネット嬢は占い師について男か女かも覚えていないと言っていましたが、それはあながち嘘ではありませんでした」

クリスさんが先に口を開き、隣でレイさんが堪えきれず笑い声をクスクス洩らす。

「占い師は女装したレベロ自身だそうです。目から下をベールで被って裏声で話しただけなので、完璧とは言えなかったそうですが、自分が興味のないことには全く注意を払わないアネット嬢にはそれで十分だったみたいです」

「それは………」

レベロの変装がどの程度のものだったか想像するしかないが、それで騙されるアネット嬢もかなりのものだ。
皆が苦笑混じりに互いを見合う。

「彼女は、父親の死を知っているのか?」

殿下の問いにまたもや二人は顔を見合せ、今度はレイさんが答える。

「はい……引き取ったデリヒの遺体を確認した使用人が彼女に面会した際に話をしました。奥方は知らせを聞いてその場で倒れたと。遺体の確認にやって来た家令が申しておりました」

「かなり取り乱したでしょうね」

同じように父を亡くした私は彼女の気持ちに、自分の気持ちを重ねる。
ジャックさんたちを送り出してから詰所に行っていたクリスさんたちは、私の事情を知らない。
私の言葉は身内を亡くした者に対する単なる同情に聞こえたかも知れない。
けれど、私が同じように父を殺された事情を聞いていた殿下たちは、私の言葉に込められた感情に気づいたようだ。

「まあ、かなり取り乱しはしたみたい……だな」

歯切れの悪いクリスさんの言い方が予想とは違ったことに違和感を覚えた。

「取り乱しはした。だが、それは父親が殺されたからではない。ただ自分のこれからの身を愁いてのことだ」

「俺たちが行った時もまだ喚いていた。殿下に会わせろと。もはや殿下に対する礼儀もない」

「あれは完全に育て方を間違えたな」

父の死を悲しむでもなく、それを受け止める度量もない。ただ我が身の境遇にしか関心がないアネットに対し、クリスさんたちからは侮蔑の表情しか見えない。

「なかなか……おもしろいお嬢さんのようですね。余程大切に育てられたのでしょう」

彼女を直接知らないアリアーデ先生以外は、クリスさんたちの話を聞いて皮肉を込めた言い方をした。



「ところで、メイというメイドのことも、占い師のことも一応は彼女の言うとおりでした。もう彼女に対する取り調べは不要でしょう。しかし踊らされていたとは言え、殿下に薬を飲ませたことは事実です。彼女の処罰についてはいかがなされますか?」

「厳罰は免れません。毒ではないにしろ王族に薬を盛った事実は事実」

王都の公爵邸で忍び込んだ者たちは環境の厳しい監獄に送られた。
農場の視察の際に襲ってきた者たちも拷問を受けた後どうしたかは聞いていないが、既にこの地にはいない。同じ所に送られたか、同等の罰を受けたに違いない。

王族に手を出した。アネット嬢だけでは成し得なかった。フィリップ司祭たちにいいように使われただけ。
例え計略によりそう仕向けられたとは言え、その罪が消えるわけではない。

女と言えど情状酌量の余地はない。
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