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19 語られなかった世界観③
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「俺のほうが多かったけど、俺とジュストはタイプが違うだろ? ジュストのミステリアスな黒髪と赤い瞳が一部の女子にはぐっと来るらしい」
新入生の中でステファンとジュストが女子生徒の人気を二分しているらしい。
小説でのジュストは闇を抱えていて、女子生徒には嫌煙されていた。
なのに今回はその闇がない分、近寄りやすいのだろう。
「なのにこいつは、愛想笑いのひとつもしない。それが返っていいとかいう子もいて…」
「ステファン、余計なことを言うな、ギャレットが真に受ける」
「どうして? すごいことじゃない。兄上の魅力は隠そうとしても隠しきれないんだよ」
キラキラと羨望の眼差しでジュストを見上げる。
レーヌのことばかり気にしていたけど、もしかしたら他の女性とのロマンスだってあり得る。
「特進はエリートコースだから、それだけでも注目の的なのに、この容姿とクールな態度がいいそうだ」
「すごいな~」
「そ、そんなことはない」
尊敬の眼差しで見上げるとジュストは少し顔を赤らめる。
それもまた色気増しな佇まいだ。
この顔面偏差値と頭の良さ、ミステリアスな雰囲気というのも頷ける。
僕も女だったらきっと好きになっていただろう。
「僕も女だったら絶対ステファンより兄上がいいよ」
男なのが残念、というと、ジュストが驚いて目を見開いた。
「も、もちろん、女だったらの話だよ」
あくまでジュストに対して抱いている気持ちは、家族としてだと、言い添える。
家族愛を通り越して、薔薇の道へ行くつもりはない。
「まあ、ジュストにそんな顔をさせられるのはギャレットだけだな」
「もうそのくらいにしろ、ほらさっさと行くぞ」
照れてステファンの背中をジュストはぐいぐい押す。
「また来週帰ってくる」
「い、行ってらっしゃい」
先にステファンを馬車に押し込んで、少し迷った後でジュストがこちらへと駆け寄ってきた。
「?」
何だろうと思っていると、ジュストがギュッと抱きしめてきた。
「兄上?」
「俺の一番は、ギャレットだから」
「え?」
それから抱擁を溶いて肩に手を乗せ、顔を覗き込む。
「俺にとってギャレットより大事な存在はない。俺の心を救ってくれたのはお前だ。お前の一番は俺じゃなくても、それだけは覚えておいてくれ」
そしてこちらが何か言う前に馬車に乗って行ってしまった。
「ジュストが、僕を一番大事だと思っている?」
馬車が完全に見えなくなるまでその場に佇みながら、先程聞いた言葉を反芻する。
これはもう、フラグは完全に折れて、再発もないと言うことだろうか。
もちろん、意中の女性が出来れば、すぐにその座から転げ落ちるだろうが、殺意を抱かれることはないと言うことだ。
最初、殺されないことだけを願い、虐めたりせず褒め称えることに徹していたが、お世辞でもなんでもなく、ジュストは褒めれば伸びる子だった。
容姿の素晴らしさもさることながら、頭もいいし、運動神経もいい。
学んだことは砂が水を吸うように覚え、剣も乗馬もすぐに基礎を体得していた。
お陰で随分早いうちから、捻り出さなくてもジュストの素晴らしさについて褒めることが出来ていた。
「それにしても、羨ましい…モテモテか」
小説ではレーヌだけがジュストの闇を理解してくれると思い、レーヌだけに執着にも似た愛情を注いでいた。
自分が彼女を追い詰めるのは良くても、他人が彼女を傷つけるのは赦さない。
そんな歪んだ性癖の末に、次第に正気を失っていったジュスト。
ステファンの陽気さが更に彼を追い詰めていく。
「小説は改変したと思っていいのかな」
レーヌでなくてもいい。この世界ではジュストが心の底から愛する人と、末永く幸せになってくれたらと、暮れゆく空を仰いで願った。
新入生の中でステファンとジュストが女子生徒の人気を二分しているらしい。
小説でのジュストは闇を抱えていて、女子生徒には嫌煙されていた。
なのに今回はその闇がない分、近寄りやすいのだろう。
「なのにこいつは、愛想笑いのひとつもしない。それが返っていいとかいう子もいて…」
「ステファン、余計なことを言うな、ギャレットが真に受ける」
「どうして? すごいことじゃない。兄上の魅力は隠そうとしても隠しきれないんだよ」
キラキラと羨望の眼差しでジュストを見上げる。
レーヌのことばかり気にしていたけど、もしかしたら他の女性とのロマンスだってあり得る。
「特進はエリートコースだから、それだけでも注目の的なのに、この容姿とクールな態度がいいそうだ」
「すごいな~」
「そ、そんなことはない」
尊敬の眼差しで見上げるとジュストは少し顔を赤らめる。
それもまた色気増しな佇まいだ。
この顔面偏差値と頭の良さ、ミステリアスな雰囲気というのも頷ける。
僕も女だったらきっと好きになっていただろう。
「僕も女だったら絶対ステファンより兄上がいいよ」
男なのが残念、というと、ジュストが驚いて目を見開いた。
「も、もちろん、女だったらの話だよ」
あくまでジュストに対して抱いている気持ちは、家族としてだと、言い添える。
家族愛を通り越して、薔薇の道へ行くつもりはない。
「まあ、ジュストにそんな顔をさせられるのはギャレットだけだな」
「もうそのくらいにしろ、ほらさっさと行くぞ」
照れてステファンの背中をジュストはぐいぐい押す。
「また来週帰ってくる」
「い、行ってらっしゃい」
先にステファンを馬車に押し込んで、少し迷った後でジュストがこちらへと駆け寄ってきた。
「?」
何だろうと思っていると、ジュストがギュッと抱きしめてきた。
「兄上?」
「俺の一番は、ギャレットだから」
「え?」
それから抱擁を溶いて肩に手を乗せ、顔を覗き込む。
「俺にとってギャレットより大事な存在はない。俺の心を救ってくれたのはお前だ。お前の一番は俺じゃなくても、それだけは覚えておいてくれ」
そしてこちらが何か言う前に馬車に乗って行ってしまった。
「ジュストが、僕を一番大事だと思っている?」
馬車が完全に見えなくなるまでその場に佇みながら、先程聞いた言葉を反芻する。
これはもう、フラグは完全に折れて、再発もないと言うことだろうか。
もちろん、意中の女性が出来れば、すぐにその座から転げ落ちるだろうが、殺意を抱かれることはないと言うことだ。
最初、殺されないことだけを願い、虐めたりせず褒め称えることに徹していたが、お世辞でもなんでもなく、ジュストは褒めれば伸びる子だった。
容姿の素晴らしさもさることながら、頭もいいし、運動神経もいい。
学んだことは砂が水を吸うように覚え、剣も乗馬もすぐに基礎を体得していた。
お陰で随分早いうちから、捻り出さなくてもジュストの素晴らしさについて褒めることが出来ていた。
「それにしても、羨ましい…モテモテか」
小説ではレーヌだけがジュストの闇を理解してくれると思い、レーヌだけに執着にも似た愛情を注いでいた。
自分が彼女を追い詰めるのは良くても、他人が彼女を傷つけるのは赦さない。
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