毎日、閉店セールをする店

天の惹

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毎日、閉店セールをする店

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 俺は時々、会社からの帰りに、いつものではない道を使って家に帰る。その道を通ることで、何か、いつもと違った面白い物が見つかればいいかなーと思い、こんな事を続けている。

 だってそうでしょう。毎日、職場ではいつも同じ作業の繰り返し。言ってみれば、全く変化がない退屈な日々の連続だ。このありきたりな日々に、簡単でしかも余計なコストをかけずに、どうやってスパイスを付け加えればいいのか? この疑問に、俺には帰り道のルートを3、4つ増やす事ぐらいしか思いつかなかった。

 午後7時頃、俺はいつも通り会社を出ると、俺は週1回くらいしか使ってない道を進むことにした。そして途中、一軒の店が目に入った。あの店、また閉店セールしてねー。

 俺はこの道を通るたびに、いつも疑問に思っていた。あの店がいつも閉店セールをしている事に。それは、最初の発見からもう3ヶ月以上も続いた。

 これ、おかしいくない? いつまで閉店セールをしているのだよー。閉店セールなんて、普通、続いても1週間くらいだろう。どうなっているだよー、この店は。俺は吸い込まれるようにふらりと店内へ入っていった。

 店に入り、店内を見渡すと、閉店セールとか言っている割には商品の値段が安くなっていないではないか。半額とかの割引ステッカーが付いている商品は全くなかった。なるほど。そういうことか。この店、ケチりすぎて商品が売れないから、泣く泣く閉店セールを3ヶ月以上、続けているということか。

 俺は店長らしき人を見つけると、近づいて話しかけた。
「こんばんは、いつも閉店セールしていますね。何か、見た感じ、全然安くなっていない気がするんですが」
「そうですかね~。安くなっていると思いますよ。中には3割引の商品もちょくちょくありますし」
「閉店セールにはしては3割引とか。割引率、ちょっと低くない? もっとガンガン割り引いたらもっと商品をさばけますよ」
俺が少し強引にダメ出しをすると店長は不思議そうに俺を見た。なんとなく、店長は「誰だ、コイツ」と言っているようにも見えなくもない。
「すみませんが、どちら様でしょうか? お顔を一度も拝見したことがないのですが。もしかしたら、本部の方でしょうか?」

 俺は「本部の方でしょうか」と言われて、アレっと思った。何、言っているんだ、コイツ。俺は彼等が毎日、閉店セールをしているから、ただ、嫌味を言いに来ただけなのに。俺はそこらに屯しているモンスター・クレーマーではない。ただの関心のある善良な市民の一人だ。我々善良な市民には誇大広告に対して一言二言、言う権利が当然ある。

「え~とですねー。私はただの通りすがりの者です。私は時々、この店の前の道を通るのですが、ここ3ヶ月、あなたの店が閉店セールを毎日しているが目に入りました」
「ありがとうございます。これからも当店をご贔屓にしてくださいね」
「え~とですねー。そういう事を言っているんではないんです。私が言いたいのは、なぜ、3ヶ月も閉店セールをしているのか、という事です。商品が売れないなら、もっと割引して商品をさばいて、さっさと閉店すればいいではありませんか」
店長はう~んと唸りながら少し考えると、ゆっくりと口を開いた。
「当店では創業以来、毎日、閉店セールをしていますよ」
「はぁ~」
これ、完全にアウトなやつ。誇大広告にも程がある。店長は俺のリアクションを見ると、俺が喋る前に店の営業時間を説明した。
「当店の営業時間は朝10時から夜8時迄です。だいたい7時頃から毎日、閉店セールをしていますよ」
やっぱり、完全にアウトなやつ。これは説教が必要だな。俺、モンスター・クレーマーではないのだが。
「あのね~。それ、完全にダメでしょう。完全に嘘の閉店セールではないか。あなたみたいな人がいるから、世の中、どんどん悪くなるのですよ。あなた、その事、本当に理解しているの?」
店長はなぜ俺が怒っているのかイマイチ理解していないよう見えた。が、しばらくすると、店長はクスッと笑って俺に丁寧に告げた。
「困るんですよねー。そういう事を言われると。当店は24時間営業ではないんですよ。24時間では。わかりますか? 当店は毎日、午後8時に閉店しているんです」
「だから?」
店長は溜息をつくと面倒くさそうに述べた。
「当店は、ま・い・に・ち・午後8時に閉店しています。ま・い・に・ち・ですよ」
「アッ!」
そういう事だったのか!てか、紛らわしいんだよー。コノヤロー!
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