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第72話 さてと、ようやく準備が始められますね、くっ。
ダンジョンのガイド任務を終えて、アマデウス教会から領主館へと戻った私達は、夕食はどうしようかと少し考えた。いつも通りの食事もいいものだが、折角数多の戦利品を手に入れたのだから、それを使わない手もないかな、と。
いざ実際に確認してみると、増えたのは酢の種類と山羊や羊の毛、あとは山羊や羊や牛の乳など、思っていた以上にレパートリーが増やせない、、、。特に酢の種類が増えても私には知識がないからどう使えばいいのかさっぱりと思い浮かばない。いや、米酢だけなら、いくつかありますよ、そりゃ。でもね、バルサミコ酢とか一体何に使えば良いのか? 野菜などの種類が少ない、というか、いつもごちゃ混ぜ状態なので、ほとんど把握出来ていないのが現状だ。
それでも何か出来るものはないかと倉庫に保存してある植物を確認してみると、何やらキャベツっぽいものと、これはニラか、あとは、生姜にニンニクもあるのか? そういえば、ニンニクについては、手に入れたはいいけど、匂いがキツいうえに辛いからと、領民の誰もが欲しがらなかったからなあ、、、。火を通せば美味いものに早変わりするんだけどね。あ、これらがあるのなら、こいつが作れるな。よし、今日の夕食はこれにしますか、ということで、調理開始だ。
今日の夕食で作るのは、ブタの生姜焼きである。豚肉はタップリ用意できているし、生姜のストックも十二分にある。醤油もバッチリあるし、スガーで味を調えれば大丈夫。本当は隠し味としてリンゴも欲しいところではあるが、残念ながら領内にはリンゴは存在しない。
ベリーラビット達にも頭にイチゴやニンジンやレモンなどを乗せている子はいるが、生憎リンゴを乗せている子はいないので、今後に期待だ。話によるとベリーラビット達のおかげで、頭に乗っている種類の植物については順調に育っており、あとは収穫を待つばかりだそうだ。農業班のテンションも凄いものがあり、張り切って畑の拡張なども行っているようだ。水の魔導具足りなくなるかな? という勢いだそうで、ラヒラスも暇を見ては水の魔導具を追加で作っているらしい。
私が生姜焼きを仕込んでいる様子を見て、マーブル達はその新作が気になるらしく、ちょくちょく進捗を確認しに来ていた。うんうん、この猫達は何をしても可愛いね。ほっこりとする。
生姜焼きの漬け込みが終わり、焼きに入ると、マーブルもジェミニもライムも待ちきれないらしく、鉄板に釘付けだ。そっちに夢中になって火力がいきなり強くなったときにはビックリしたが、何とか良い感じで完成したのでホッとした。
ただ、マーブル達が生姜焼きに夢中になっていたせいで、付け合わせのキャベツの千切りが完成していなかったという微妙によろしくない事態も発生したが、まあ、今回は仕方がないだろう。熱いうちに食べておきたかったので、味噌汁についてはキャベツの味噌汁に変更して、付け合わせの千切りキャベツは当初の予定よりも少ない状態での完成だ。もちろん、押し麦ご飯は用意してありますよ。
マーブル達と「頂きます」をしてから生姜焼きを食べてみる。なかなかの出来に満足はしているが、こうして食べてみると、オーク肉の方が向いている気がした。ダンジョン産のブタさんでも十分美味しかったが、実際に食べてみると、オークの肉もかなり高級食材ではないかと思った。まあ、ダンジョン産の肉のおかげで魔物の数を気にすることなく肉が手に入ってくれるのはありがたい。一応こちらでも以前の世界で食べていたものを紹介できるだけはしていくつもりだが、領民達からもいろいろと新しい料理を作り出してくれると嬉しいかな、と思った。あ、マーブル達は生姜焼きを夢中で食べてくれていたので成功といえば成功ではないかと思う。
夕食も済んだら、少しやらなきゃいけないことがあったので、領主館の入り口に「いないよ」という文字を書いた札を置いて、ねぐらへと転送する。ちなみに、今日の当番はカムドさんだったけど、今日はこれ以上することは無さそうだったので、自分の家に戻ってもらっていた。
ねぐらへと移動して、先に風呂と洗濯を済ませておく。今日ねぐらへと来たのは、ダンジョンで頂いた山羊や羊の毛を洗浄する作業があったから。領主館には風呂場こそあるけど、洗濯場は領民達と共通の場所で洗濯しているので、流石にそこでは遅い時間とはいえ独占するのはよろしくない、という理由だから。ライムにキレイにしてもらうことも考えたけど、あれだけの量の毛だと溶かしてしまわないか不安だし、何よりあれだけ細かいものを一々やってもらうのは却って申し訳ない気持ちになったからだ。
そんなわけで、風呂と洗濯が終了したので、一旦、風呂場と洗濯場の水を無くして、改めて毛の洗浄作業に入る。最初はグレイトカシミール、つまり山羊の毛から。それぞれの穴に半分くらいの毛を入れる。毛を入れたら湧き水を水術で移動させてあなの8分目くらいまで入れる。すると、毛が浮いて穴から出てしまったものがあったが、構わずに水の温度を上げてお湯にして洗濯と同じように水を回転させると、はみ出た毛がそれに巻き込まれるように吸い込まれていったのを見て、少し笑った。もちろん巻き込まれない毛もあったので、そういったものはこちらからお湯に入れてやる。
しばらくそうやって洗浄していると、やはりダンジョン産とはいえ結構水が汚れたので、もう少し洗浄してこれ以上汚くならないところまで回転させてからお湯を飛ばす。お湯を飛ばしたら、もう一度穴に水を入れてからお湯にしてもう一度洗浄する。2回目の洗浄ではあまり汚くならなかったので、これで洗浄作業は終了だ。穴のお湯を飛ばしてから、マーブルの風魔法と火魔法も加えて毛を乾燥させる。感想が終わった山羊の毛はほのかに黄金色をして非常にキレイだった。これがカシミアか、と密かに感動した。
ちなみに思っていたよりも大量に毛が手に入っていたのでその一度では終わるはずもなく何度もやる羽目になってしまった。当初の予定だと、1つの群れにつき1体分で考えていたけど、同行したメンバーが面白がってこっちの手伝いをしてくれたからなあ。
そんなこんなで、6回くらい同じ事をしたと思う。ようやく山羊の毛の洗浄と乾燥が終わった、、、。この山羊の毛を使った製品はこの世界でも高級品として珍重されるだろうことは間違いない。とはいえ、毛の洗浄と乾燥の手順については、私は素人だから、これが正解かはわからない。実際、高温→低温→高温のコンボで洗浄したものだから、毛にダメージがあるかもしれないし、あるいは無いかもしれない。その辺はわからないので、これからの報告に期待だ。
次は羊の毛だな。山羊でもあれだけの量だったけど、羊はそれ以上の量なのだ。
羊の毛も同じようにやったのだけど、いやあ、非常に疲れましたねえ。何より同じ事の繰り返しだから飽きること飽きること、、、。なんとか終わってうんざりしていたので、気分転換にねぐらの外に生えているスガープラントの引っこ抜き作業を行って、補充と共同作業を楽しんだ。もう真っ暗だったけどね。あと、結局引き抜くことはできなかったけど、引っこ抜く作業を楽しむのが目的だったから、引き抜けなくても特に問題はない。まあ実際掘れば手に入るからね。
でも、そんなことをしたため、もう一度風呂と洗濯を余儀なくされたことに気付いたときは少し悲しかったが、マーブル達は楽しんでいたのでいいか。
ねぐらから領主館へと戻り、少しマーブル達とモフモフタイムを堪能してから寝た。ダンジョンに潜った上に、洗浄作業までしてしまったので、みんな寝付きはよかった。いつもならモフモフに囲まれていの一番に私が睡魔に負けるのだが、今日は3人の方があっさりと睡魔に負けていた。とはいえ、私もそのあとすぐに睡魔に負けていたようだけど。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン、いつもの朝起こしだが、やはりコカトリスが交じっていた。何かマーブル達が珍しくグッスリ眠っていた+突っつきたかったのでいつもより早く行動開始したようで、進入に成功、現在に至る、という感じだそうだ。何か得意げにしていたコカトリスと、次は負けない、という表情でコカトリスを見ていたマーブル達の違いが面白かった。コカトリス達は今日の分だよ、と言わんばかりに卵を置いていってくれた。毎日ありがとうね。
朝食を終えて、少しまったりとしてから、フェラー族長が来たので、挨拶を交わしてから少し出ることを伝えて、造成班の元へと行く。造成班はゴブリン達がここに移り住んでからは紡績関係の部署もここに合流することになったからだ。
「おお、アイスさん、お早いですね。昨日ユミールが話してくれた、ダンジョンで手に入れた山羊と羊の毛についてですな?」
「お、もう耳にしたんだね。その通り。これで何か作ってくれないかな?」
そう言って、山羊と羊の毛を取り出して渡す。その毛の色と質感に受け取ったゴブリンだけでなく、その場にいた領民達も驚きの声を上げていた。
「こ、こんな色と質感の毛は初めてです、、、。これがダンジョンで手に入れたものですか。羊の毛も凄いですが、特にこの山羊の毛はそれ以上ですね、、、。話に聞いていた以上ですよ、これは。」
「ああ、これは手に入れた毛を洗浄して乾燥させたやつだからね。ダンジョン産とはいえ、最初は少し汚れているから、洗ってから乾燥させないとこうならないんだよね。」
「なるほど。ですが、これだけの上質な毛を扱えるのは職人冥利に尽きます。とはいえ、他にもいろいろと作らなければならないものもありますので、こいつにかかりっきりとはいきませんが、、、。」
「その辺は大丈夫。ゆっくりやってくれて構わないから。あと、これだけ手に入ったからいろいろと考えてノンビリと試行錯誤してよ。」
そういって、準備した分を全て空間収納から取り出す。その量にそこにいた全員が唖然とする。
「こ、これだけの量があるのですか。とりあえずみんなで相談してから取りかかります。」
「うん、そうして。さっきも言ったようにゆっくりやってくれればいいから。あ、そうだ。頼んだ口金は完成しているかな?」
そう、ここに来た目的は、毛を届けるためだけではなく、羊やブタの腸に合った口金を作ってもらうように頼んでおいたので、それが完成しているか確認しに来たのだ。
「はい、そちらの方はいくつか完成しております。こちらも魔樹を使っておりまして、下手に鉄などで作ったやつよりも頑丈ですよ。」
そう言って、完成した口金を受け取り、硬さなどを確認する。念のため鑑定するが、以前いた世界の口金よりも頑丈で耐久性もあるようだ、ということは、一般家庭で使う分にはほぼ一生使えるということだ。とはいえ、恐らく大量生産するだろうから、一生使うのは無理だろうけど、それでも良いものを作ってもらったかな。これで、アレが作れる。
「ありがとう、予想以上にいいできだね。これで、良いものが作れるから楽しみにしてて。」
「フロスト様がそうおっしゃるのなら、恐らく美味しい食べ物でしょうかね。そりゃ、期待できますな。」
「な、なぜ食べ物だと、、、? いや、その通りなんだけどさ。」
「そりゃ、フロスト様が嬉しそうな顔をして話すのは、マーブルちゃんたちのことか、食べ物のことばかりですからね。私達でもわかりますよ。」
「そんなにわかりやすいの?」
「はい、こんなにわかりやすいのも珍しいですよ。更に名高い戦姫の3人がこちらに来たときですら、こんなに嬉しそうな表情はだしてませんでしたからねえ。」
「あれま。」
そんなに違うのか、、、。
「まあ、いいか。そういうことで、楽しみにしててね。」
「「「はい!!」」」
そう言って、この場を後にする。次に向かう先はラヒラスの所だ。ラヒラスを含めてウルヴとアイン達は領主館から少し離れたところに今は住んでいる。出かけてないといいんだけど。
「ラヒラスいるかな?」
「あれ、アイス様、珍しいね。呼んでくれればこっちから行くのに。」
「いや、ちょっと造成班に用があったから、その戻りで来ただけだから。」
「用件は例のアレだよね。出来ているよ。確認する?」
「ああ、頼むよ。」
そう言って、ラヒラスは円柱がいくつも重なったような形の魔導具が置いてあるところに案内した。
「これが、頼まれてた粉にする魔導具ね。上から粉にしたいものを入れて、この部分に魔力を流せば作動するから。ただ、魔力はさほど必要ないけど、魔力を流し続ける必要があるから、その点だけ注意して。とは言っても、アイス様は魔力ないから、マーブル君かジェミニ君、あるいはライム君あたりかな、しっかりと覚えておいてね。」
「ミャア!」
「キュウ(ワタシにお任せです!)!」
「ボク、がんばるよ!」
「あれ? ライム君って話せたっけ?」
あ、しまった。ラヒラスは知らなかったんだっけ。まあ、いいか。
「ああ、言ってなかったね。ライムは人語とか話せるんだよ。秘密にしておきたかったから話せないフリしてたけど。アインとウルヴには言ってもいいけど、それ以上はこの件は秘密ね。」
「・・・他に誰がこの事知ってるの?」
「ライムが話せるのを知っているのは、ゴブリンのみんなと戦姫の3人かな。」
「なるほど、昔なじみの面々ね。まあ、このことは秘密にしておくよ。知られると後々面倒になりそうだしね。」
「話がわかって助かるよ。それはさておき、早速これを使わせてもらうから、夕飯は楽しみにしてて。」
「おお、新作なんだね! 作った甲斐があったよ。じゃあ、期待して待ってるから。」
ラヒラスが作った魔導具を空間収納にしまって、領主館へと戻った。
領主館へと戻り、倉庫へ行き、先程の魔導具を設置する。さてと、これで準備は整った。では、早速始めるとしますかね。
いざ実際に確認してみると、増えたのは酢の種類と山羊や羊の毛、あとは山羊や羊や牛の乳など、思っていた以上にレパートリーが増やせない、、、。特に酢の種類が増えても私には知識がないからどう使えばいいのかさっぱりと思い浮かばない。いや、米酢だけなら、いくつかありますよ、そりゃ。でもね、バルサミコ酢とか一体何に使えば良いのか? 野菜などの種類が少ない、というか、いつもごちゃ混ぜ状態なので、ほとんど把握出来ていないのが現状だ。
それでも何か出来るものはないかと倉庫に保存してある植物を確認してみると、何やらキャベツっぽいものと、これはニラか、あとは、生姜にニンニクもあるのか? そういえば、ニンニクについては、手に入れたはいいけど、匂いがキツいうえに辛いからと、領民の誰もが欲しがらなかったからなあ、、、。火を通せば美味いものに早変わりするんだけどね。あ、これらがあるのなら、こいつが作れるな。よし、今日の夕食はこれにしますか、ということで、調理開始だ。
今日の夕食で作るのは、ブタの生姜焼きである。豚肉はタップリ用意できているし、生姜のストックも十二分にある。醤油もバッチリあるし、スガーで味を調えれば大丈夫。本当は隠し味としてリンゴも欲しいところではあるが、残念ながら領内にはリンゴは存在しない。
ベリーラビット達にも頭にイチゴやニンジンやレモンなどを乗せている子はいるが、生憎リンゴを乗せている子はいないので、今後に期待だ。話によるとベリーラビット達のおかげで、頭に乗っている種類の植物については順調に育っており、あとは収穫を待つばかりだそうだ。農業班のテンションも凄いものがあり、張り切って畑の拡張なども行っているようだ。水の魔導具足りなくなるかな? という勢いだそうで、ラヒラスも暇を見ては水の魔導具を追加で作っているらしい。
私が生姜焼きを仕込んでいる様子を見て、マーブル達はその新作が気になるらしく、ちょくちょく進捗を確認しに来ていた。うんうん、この猫達は何をしても可愛いね。ほっこりとする。
生姜焼きの漬け込みが終わり、焼きに入ると、マーブルもジェミニもライムも待ちきれないらしく、鉄板に釘付けだ。そっちに夢中になって火力がいきなり強くなったときにはビックリしたが、何とか良い感じで完成したのでホッとした。
ただ、マーブル達が生姜焼きに夢中になっていたせいで、付け合わせのキャベツの千切りが完成していなかったという微妙によろしくない事態も発生したが、まあ、今回は仕方がないだろう。熱いうちに食べておきたかったので、味噌汁についてはキャベツの味噌汁に変更して、付け合わせの千切りキャベツは当初の予定よりも少ない状態での完成だ。もちろん、押し麦ご飯は用意してありますよ。
マーブル達と「頂きます」をしてから生姜焼きを食べてみる。なかなかの出来に満足はしているが、こうして食べてみると、オーク肉の方が向いている気がした。ダンジョン産のブタさんでも十分美味しかったが、実際に食べてみると、オークの肉もかなり高級食材ではないかと思った。まあ、ダンジョン産の肉のおかげで魔物の数を気にすることなく肉が手に入ってくれるのはありがたい。一応こちらでも以前の世界で食べていたものを紹介できるだけはしていくつもりだが、領民達からもいろいろと新しい料理を作り出してくれると嬉しいかな、と思った。あ、マーブル達は生姜焼きを夢中で食べてくれていたので成功といえば成功ではないかと思う。
夕食も済んだら、少しやらなきゃいけないことがあったので、領主館の入り口に「いないよ」という文字を書いた札を置いて、ねぐらへと転送する。ちなみに、今日の当番はカムドさんだったけど、今日はこれ以上することは無さそうだったので、自分の家に戻ってもらっていた。
ねぐらへと移動して、先に風呂と洗濯を済ませておく。今日ねぐらへと来たのは、ダンジョンで頂いた山羊や羊の毛を洗浄する作業があったから。領主館には風呂場こそあるけど、洗濯場は領民達と共通の場所で洗濯しているので、流石にそこでは遅い時間とはいえ独占するのはよろしくない、という理由だから。ライムにキレイにしてもらうことも考えたけど、あれだけの量の毛だと溶かしてしまわないか不安だし、何よりあれだけ細かいものを一々やってもらうのは却って申し訳ない気持ちになったからだ。
そんなわけで、風呂と洗濯が終了したので、一旦、風呂場と洗濯場の水を無くして、改めて毛の洗浄作業に入る。最初はグレイトカシミール、つまり山羊の毛から。それぞれの穴に半分くらいの毛を入れる。毛を入れたら湧き水を水術で移動させてあなの8分目くらいまで入れる。すると、毛が浮いて穴から出てしまったものがあったが、構わずに水の温度を上げてお湯にして洗濯と同じように水を回転させると、はみ出た毛がそれに巻き込まれるように吸い込まれていったのを見て、少し笑った。もちろん巻き込まれない毛もあったので、そういったものはこちらからお湯に入れてやる。
しばらくそうやって洗浄していると、やはりダンジョン産とはいえ結構水が汚れたので、もう少し洗浄してこれ以上汚くならないところまで回転させてからお湯を飛ばす。お湯を飛ばしたら、もう一度穴に水を入れてからお湯にしてもう一度洗浄する。2回目の洗浄ではあまり汚くならなかったので、これで洗浄作業は終了だ。穴のお湯を飛ばしてから、マーブルの風魔法と火魔法も加えて毛を乾燥させる。感想が終わった山羊の毛はほのかに黄金色をして非常にキレイだった。これがカシミアか、と密かに感動した。
ちなみに思っていたよりも大量に毛が手に入っていたのでその一度では終わるはずもなく何度もやる羽目になってしまった。当初の予定だと、1つの群れにつき1体分で考えていたけど、同行したメンバーが面白がってこっちの手伝いをしてくれたからなあ。
そんなこんなで、6回くらい同じ事をしたと思う。ようやく山羊の毛の洗浄と乾燥が終わった、、、。この山羊の毛を使った製品はこの世界でも高級品として珍重されるだろうことは間違いない。とはいえ、毛の洗浄と乾燥の手順については、私は素人だから、これが正解かはわからない。実際、高温→低温→高温のコンボで洗浄したものだから、毛にダメージがあるかもしれないし、あるいは無いかもしれない。その辺はわからないので、これからの報告に期待だ。
次は羊の毛だな。山羊でもあれだけの量だったけど、羊はそれ以上の量なのだ。
羊の毛も同じようにやったのだけど、いやあ、非常に疲れましたねえ。何より同じ事の繰り返しだから飽きること飽きること、、、。なんとか終わってうんざりしていたので、気分転換にねぐらの外に生えているスガープラントの引っこ抜き作業を行って、補充と共同作業を楽しんだ。もう真っ暗だったけどね。あと、結局引き抜くことはできなかったけど、引っこ抜く作業を楽しむのが目的だったから、引き抜けなくても特に問題はない。まあ実際掘れば手に入るからね。
でも、そんなことをしたため、もう一度風呂と洗濯を余儀なくされたことに気付いたときは少し悲しかったが、マーブル達は楽しんでいたのでいいか。
ねぐらから領主館へと戻り、少しマーブル達とモフモフタイムを堪能してから寝た。ダンジョンに潜った上に、洗浄作業までしてしまったので、みんな寝付きはよかった。いつもならモフモフに囲まれていの一番に私が睡魔に負けるのだが、今日は3人の方があっさりと睡魔に負けていた。とはいえ、私もそのあとすぐに睡魔に負けていたようだけど。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン、いつもの朝起こしだが、やはりコカトリスが交じっていた。何かマーブル達が珍しくグッスリ眠っていた+突っつきたかったのでいつもより早く行動開始したようで、進入に成功、現在に至る、という感じだそうだ。何か得意げにしていたコカトリスと、次は負けない、という表情でコカトリスを見ていたマーブル達の違いが面白かった。コカトリス達は今日の分だよ、と言わんばかりに卵を置いていってくれた。毎日ありがとうね。
朝食を終えて、少しまったりとしてから、フェラー族長が来たので、挨拶を交わしてから少し出ることを伝えて、造成班の元へと行く。造成班はゴブリン達がここに移り住んでからは紡績関係の部署もここに合流することになったからだ。
「おお、アイスさん、お早いですね。昨日ユミールが話してくれた、ダンジョンで手に入れた山羊と羊の毛についてですな?」
「お、もう耳にしたんだね。その通り。これで何か作ってくれないかな?」
そう言って、山羊と羊の毛を取り出して渡す。その毛の色と質感に受け取ったゴブリンだけでなく、その場にいた領民達も驚きの声を上げていた。
「こ、こんな色と質感の毛は初めてです、、、。これがダンジョンで手に入れたものですか。羊の毛も凄いですが、特にこの山羊の毛はそれ以上ですね、、、。話に聞いていた以上ですよ、これは。」
「ああ、これは手に入れた毛を洗浄して乾燥させたやつだからね。ダンジョン産とはいえ、最初は少し汚れているから、洗ってから乾燥させないとこうならないんだよね。」
「なるほど。ですが、これだけの上質な毛を扱えるのは職人冥利に尽きます。とはいえ、他にもいろいろと作らなければならないものもありますので、こいつにかかりっきりとはいきませんが、、、。」
「その辺は大丈夫。ゆっくりやってくれて構わないから。あと、これだけ手に入ったからいろいろと考えてノンビリと試行錯誤してよ。」
そういって、準備した分を全て空間収納から取り出す。その量にそこにいた全員が唖然とする。
「こ、これだけの量があるのですか。とりあえずみんなで相談してから取りかかります。」
「うん、そうして。さっきも言ったようにゆっくりやってくれればいいから。あ、そうだ。頼んだ口金は完成しているかな?」
そう、ここに来た目的は、毛を届けるためだけではなく、羊やブタの腸に合った口金を作ってもらうように頼んでおいたので、それが完成しているか確認しに来たのだ。
「はい、そちらの方はいくつか完成しております。こちらも魔樹を使っておりまして、下手に鉄などで作ったやつよりも頑丈ですよ。」
そう言って、完成した口金を受け取り、硬さなどを確認する。念のため鑑定するが、以前いた世界の口金よりも頑丈で耐久性もあるようだ、ということは、一般家庭で使う分にはほぼ一生使えるということだ。とはいえ、恐らく大量生産するだろうから、一生使うのは無理だろうけど、それでも良いものを作ってもらったかな。これで、アレが作れる。
「ありがとう、予想以上にいいできだね。これで、良いものが作れるから楽しみにしてて。」
「フロスト様がそうおっしゃるのなら、恐らく美味しい食べ物でしょうかね。そりゃ、期待できますな。」
「な、なぜ食べ物だと、、、? いや、その通りなんだけどさ。」
「そりゃ、フロスト様が嬉しそうな顔をして話すのは、マーブルちゃんたちのことか、食べ物のことばかりですからね。私達でもわかりますよ。」
「そんなにわかりやすいの?」
「はい、こんなにわかりやすいのも珍しいですよ。更に名高い戦姫の3人がこちらに来たときですら、こんなに嬉しそうな表情はだしてませんでしたからねえ。」
「あれま。」
そんなに違うのか、、、。
「まあ、いいか。そういうことで、楽しみにしててね。」
「「「はい!!」」」
そう言って、この場を後にする。次に向かう先はラヒラスの所だ。ラヒラスを含めてウルヴとアイン達は領主館から少し離れたところに今は住んでいる。出かけてないといいんだけど。
「ラヒラスいるかな?」
「あれ、アイス様、珍しいね。呼んでくれればこっちから行くのに。」
「いや、ちょっと造成班に用があったから、その戻りで来ただけだから。」
「用件は例のアレだよね。出来ているよ。確認する?」
「ああ、頼むよ。」
そう言って、ラヒラスは円柱がいくつも重なったような形の魔導具が置いてあるところに案内した。
「これが、頼まれてた粉にする魔導具ね。上から粉にしたいものを入れて、この部分に魔力を流せば作動するから。ただ、魔力はさほど必要ないけど、魔力を流し続ける必要があるから、その点だけ注意して。とは言っても、アイス様は魔力ないから、マーブル君かジェミニ君、あるいはライム君あたりかな、しっかりと覚えておいてね。」
「ミャア!」
「キュウ(ワタシにお任せです!)!」
「ボク、がんばるよ!」
「あれ? ライム君って話せたっけ?」
あ、しまった。ラヒラスは知らなかったんだっけ。まあ、いいか。
「ああ、言ってなかったね。ライムは人語とか話せるんだよ。秘密にしておきたかったから話せないフリしてたけど。アインとウルヴには言ってもいいけど、それ以上はこの件は秘密ね。」
「・・・他に誰がこの事知ってるの?」
「ライムが話せるのを知っているのは、ゴブリンのみんなと戦姫の3人かな。」
「なるほど、昔なじみの面々ね。まあ、このことは秘密にしておくよ。知られると後々面倒になりそうだしね。」
「話がわかって助かるよ。それはさておき、早速これを使わせてもらうから、夕飯は楽しみにしてて。」
「おお、新作なんだね! 作った甲斐があったよ。じゃあ、期待して待ってるから。」
ラヒラスが作った魔導具を空間収納にしまって、領主館へと戻った。
領主館へと戻り、倉庫へ行き、先程の魔導具を設置する。さてと、これで準備は整った。では、早速始めるとしますかね。
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