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第76話 さてと、初期設定です。正直面倒です;;

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 箱の中にあったスイッチを押して、眠りに落ちた後、目を覚ますと見慣れない景色が広がっていた。転生したときは床の部分がしっかりしていたので、どうにか落ち着くことができたけど、ここは床の部分も透明になっているようで正直落ち着かない。とはいえ、焦っても仕方がないので大人しく待っているとしようか。


 と、腹をくくろうとしていたら、すぐさま何かが出現していた。浮かんでいる五右衛門風呂のようなものに人のようなキャラが入っており、こちらの姿を確認している。いわゆる案内役といったところだろうか。


「こちらの世界にようこそ! ここはブループラネットオンラインというゲームの世界です!! この世界について説明する前に、キャラクター登録を行いましょう!」


 まずは名前ですか。どうせ今の世界だと私達しかプレイしないだろうから本名でいいか。いや、逆に以前いた世界の名前を使うのもありかな。さて、どうしようか、、、。


 いろいろ考えたが、結局この世界での名前であるアイス、ではなくフロストの方を使うことにした。


「お名前は『フロスト』様ですね? お名前の登録完了です。次にフロスト様に種族を選んでもらいます、って、申し訳ありません。フロスト様は人族以外に選べないようです。ということで人族に決定です。」


 ありゃ、選択肢はないのね、まあ、こちらもいろいろと条件を出したからなあ。まあ、人族でよかったよ。これがゾンビとかスケルトンとかだったら泣くに泣けないからねえ。


「種族が決まりましたので、外見を設定しますが、大きさは基本的にはあまり大きくは変えられませんのでご注意願います。ただ、髪型や髪の色や目の色、その他にも髭などの有無については変更可能です。」


 ほう、そっちは変更可能ですか。では、じじいキャラで決定。髪型をロン毛にして、髭を着けて、と。髭は日本海海戦の英雄と同じ型で、色は灰色、と。これで決定、と。マーブル達も分かってくれるでしょう。どうやって合流するのかわからないけど、、、。外見はこれでいいか念押しされたので、『はい』を選ぶ。って、これ、そう考えているだけで選べるってどれだけ高性能なのか。今の私達の世界の住民では考えられないだろうな。私ですら驚いているのだから、、、。


「はい、外見についてはこれで決定しました。変更したい場合には実費にて受け付けておりますが、フロスト様においては課金アイテムの使用ができませんので、事実上これで固定となります。」


 まあ、そうだよね。何せ住んでいる世界が違っているからね。課金したくてもできないし、、、。


「では、次に職業を決めてもらいます。ブループラネットオンラインでは、戦闘職と生産職がそれぞれ存在しておりまして、これらの中から選んでもらいます。あ、フロスト様は戦闘職は『ていまー』以外選ぶことはできません。生産職についてはこれらの中から選んでください。」


 戦闘職が固定か、って『ていまー』? いや、そこは普通カタカナで『テイマー』だろう? 何でひらがななんだよ、、、。恐らく、マーブル達と一緒に冒険する条件としてだろう。表記詐欺でもいいから、普通にテイマーにして欲しかったが、わざと、ひらがなにするほどのごり押しだったのだろうか、、、。まあ、システムの根本から外れるようなことしてるんだから当然か。いや、こっちはこのゲームをやりたくてお願いしたわけでもないから、そこまで意地悪されてもどうにもならないんだけど、、、。


 微妙に落ち込んだが、気を取り直して生産職を選ぶことにする。どれ、どんな職があるかな、、、。ざっと見ていくと、武器職人、防具職人、革職人、木工職人、調合師、錬金術師、農夫、細工師とあるな。さて、どれにしようか、、、。


 いろいろ悩んだ挙げ句、調合師にした。話を聞くと、戦闘職にしろ生産職にしろ、それに対応したスキルが育ちやすいだけらしく、転職も可能なのだとか。ただ、私の場合はていまー以外にはなれず、上級職に転職できるのが関の山だそうだ。何かテイマーはともかく、ていまーについては、上級職すら存在しない気がしてならない。気のせいならいいんだけど。


「職業の次は、ステータスとスキルについてです。このゲームでは、ステータスPとスキルPというポイントがございまして、それぞれ割り振る必要があります。ステータスPがどれだけ残っていてもスキルPには割り振ることができません。逆も同じです。また、このゲームでは、基本レベルと職業レベルが個別に存在しております。最初に基本レベルについてですが、基本レベルが上がりますと、ステータスが種族ごとの基本値として増える他、ステータスPが増えます。ステータスPで好みの能力値を増やしてください。」


 なるほど、ステータスPで腕力系極振りにしても、基本レベルが上がれば、他のステータスも少しは上がる、ということか。どんな能力値があるかは気になるけど、とりあえず説明の続きを聞くとしますか。


「次にスキルPです。これは、職業レベルが上がると増えます。スキルPですが、スキルの取得や成長に必要ですが、スキルの成長については、そのスキルを使うことでも上昇します。ですから、手に入れたスキルはPを使って早く上げるのか、地道にスキルを使い続けてじっくり上げるかは皆様の判断にお任せします。また、スキルですが、スキルごとに取得や成長に必要なPが異なります。当然、使い続けて成長させることも同様です。尚、種族ごとにスキルでも得意不得意が存在します。言うまでもなく得意なスキルでは取得に必要なPも成長に必要なPも比較的少なくなりますが、不得意ですと逆に多く必要とします。そのことを踏まえつつ、後悔のないように慎重に選びましょう。あ、言い忘れましたが、それぞれのPはここで使い切らない場合でも、後で振り分けることができます。それと、フロスト様のステータスですが、一部において制限があるそうなのでご了承ください。では、実際に割り振ってみましょうか!」


 まずはステータスだ。ステータスについてだけど、一応こんな説明が入っていた。


 腕 力 ・・・ 物理攻撃力や可能所持重量、張力を左右する。

 体 力 ・・・ 物理防御力や生命耐久力を左右する。

 器 用 ・・・ 攻撃全般の命中率や罠解除などについて左右する。弓の攻撃力も影響。

 速 力 ・・・ 移動や回避関連を左右する。

 魔 力 ・・・ 魔法攻撃力や防御力など魔法全般において影響を与える。

 幸 運 ・・・ 高いと何かいいことあるかも?


 なるほど、こっちの世界とあまり変わらないな。ちなみに生命力や魔法力は数値化されていないようだ。ちなみに、人族は一律初期値が10であり、他の種族については増減があるようだ。


 ちなみに、与えられた初期ステータスPは18だった。予想通りというか何というか、やはりここでもこうなったかと思うと悲しくなった。結局こんな感じにした。


 筋 力 ・・・ 10 → 14

 体 力 ・・・ 10 → 14

 器 用 ・・・ 10 → 14

 速 力 ・・・ 10 → 10

 魔 力 ・・・  0 → 増減不可により0のまま。

 幸 運 ・・・ 10 → 16


 悔しかったから、どうせ使えないであろう魔力に全振りしようと思ったら拒否というか、魔力の項目だけ暗くなっており、ステ振りしようがなかった。ってか、魔力がない分、他のステに加算されててもいいと思うのだけど、、、。


 気を取り直して、スキルを取得していこう。ちなみにスキルPは6Pだった。攻撃系だけど、弓を中心に扱っていく予定だ。あっちでは取得しているにも関わらず一度も使ったことないからね。せめてここではガンガン使っていこうと思う。あっちでも応用が利くようであれば、その練習だ。余裕があったら大剣スキルも欲しいかな、グラム使ってみたいしね。といったわけで、こちらも悩んだ挙げ句結局こうなった。


 [初期技能]従魔会話 ★、調合 1、植物採取 1、植物鑑定 1

 [追加技能]弓術 1、気配探知 1、アイテム鑑定 1


 追加したものはどれもスキルPが2ずつだった。他にも欲しいものがあったけど、6しかないしね、、、。

ちなみに、各種魔法も取得可能だったが、必要ポイントがどれも1000000だったのは驚いた。かなり後発組だろうし、少なくともこんなにスキルPが手に入るとは思えない、、、。やはりここでも魔法は諦めるほかない。


「ステータスとスキルの設定は完了しましたね。それでは、簡単にこの世界のルールについて説明します。」


 案内人が言うには、この世界の住人、つまりNPCにも感情というものがあるそうで、とった行動によって態度がかわるようだ。お金に関してはMという単位で共通なのだそうだ。ちなみにMというのはマネーの頭文字からとったらしい、安直だね、その分わかりやすいといえばわかりやすいけど。その他では、通常のNPCに対して犯罪行為を取った場合は犯罪者扱いされて、その罪の重さに比例するようにペナルティがあるそうだが、NPCでも盗賊などの犯罪者に対しては殺しても何しても問題ないらしい。あとはプレイヤー間の争いについてはPKも決闘も両方存在するそうだ。ちなみにPKは犯罪、決闘については両者間の合意に基づいているため犯罪にはならないらしいが、決闘は決められた場所でのみ行われるらしい。PKについては、街中では出来ない仕様だそうだ。ちなみにPKを倒しても罪にはならないそうだ。それに関連して名前は頭の上に表示されるそうだが、通常プレイヤーは青、魔物など敵対的行動をするものは赤、通常NPCは黄色で表示されるが、犯罪プレイヤーの場合は、名前の部分が枠で囲まれる表示らしく、軽度の犯罪者は黄色、罪が重くなるにつれ赤枠に色が近づいていくらしい。覚えていたのはその程度である。全部なんて覚えていられない。


「これで一通りの説明が終わりました。キャラクターの作成はこれでよろしいですか?」


 また作り直すのも面倒なのでもちろん『はい』を選んだ。


「では、思う存分ブループラネットの世界をお楽しみください! 余計なお節介かも知れませんが、ゲームの世界に降り立ったら、まずは自分の状況を確認してみてください。『ステータス』と念じたり、言葉を発したりすれば自分の能力やスキルを確認できます。また、得たスキルについては簡単な説明もありますので、気になったら参照してくださいね。では、よき旅を!!」


 そう言われて、再び周りの景色がブラックアウトした。といっても、ほとんど真っ暗だったけどね、、、。
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