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第139話 さてと、うどんが食べたいです。
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前回のあらすじ:ミード完成。喜んでくれて何よりでした。
ミードは無事完成し、昨日はそれのお試しということで、飲み会だった。それにしても、アンジェリカさんが、あそこまで酒が強いとは思わなかった。冒険者達の間でも、実力はかなわなくてもせめて酒の強さだけはと思っていた者も少なからずいたそうで、その酒の強さでも、圧倒的な差を痛感したらしく、戦闘力の差以上のショックを受けていたようだ。まあ、気持ちはわかる、、、。
今日はといえば、マーブル達と戦姫と一緒に恵みの洞窟へと向かっている。目的は完成したミードのお裾分けである。1つだけ残しておいたミードの入った壺を2つの別の容器へと移し替えてあり、それぞれ蜂達と蜘蛛達へと渡せるように準備はしておいた。あとは、この味を気に入ってくれるかどうかだ。
入り口へと到着。地下1階へと移動し、豆柴達の歓待を受ける。この子達にもお裾分けをしたかったけど、今回はいつも通り骨と少しの肉だけだ、ゴメンね。ある程度量が作れるようになったらあげるからね。
しばらくモフモフを堪能しつつ、マーブル達と遊ぶ様子に癒やされてから、次の階層へと移動する。
地下2階へと移動すると、いつもならハニービー達のモフモフ突撃が待っているのだが、今回は様子が違っていた。何とヴィエネッタも一緒に出迎えていたのだ。ハニービー達はクイーンのシロップとその親衛隊数体が、蜘蛛達は、アラクネのヴィエネッタと親衛隊とおぼしき強そうなシルクスパイダー数体がそれぞれ出迎えてくれていた。
「みんな、お出迎えありがとう。君たちが用意してくれたもののおかげで、これが完成したよ。」
私はそう言って、ミードの入った容器をそれぞれ渡す。
「マスター、これは、ひょっとして?」
「ああ、そうだよ。シロップ達ハニービーが集めてくれた美味しいハチミツで作ったお酒だよ。」
「ご主人、私達にもくれるのかい?」
「ああ、そういう約束だっただろう? それに、ヴィエネッタ達が作ってくれた網がなければ、完成しなかったから。ということで、ここで構わないから、試しに飲んでみて。できれば感想が欲しいかな。」
そう言うと、シロップもヴィエネッタもそれぞれ蓋を開けて中を覗く。
「! き、きれい、、、。」
「!! これが酒、、、?」
2人とも驚いているようだ。しばらく驚いていたが、意を決したかのようにそれぞれミードを口にした。
「こ、これが、、、。・・・美味しい、、、。」
「え? これ、何なの? こんな酒初めてだけど、、、。」
喜んでいるように見えるが、本当に美味しいのか不安だ、、、。
「アイスさん、大丈夫ですわよ。ワタクシ達も初めて口にしたとき、あんな感じでしたから。」
アンジェリカさんがそう言うと、セイラさん、ルカさんもその通りと言わんばかりに頷いた。マーブル達の反応とは真逆だったからわからなかったけど、どちらにせよ喜んでくれたのなら、作った甲斐もあったな。催促されて渋々作ったとはいえね、、、。
改めて、シロップとヴィエネッタのいる方へ視線を向けると、2人とも一緒にいる仲間に分けており、それを飲んでみたハニービーもシルクスパイダーも喜びの舞なのか、嬉しそうに飛び回ったり跳ね回ったりしていた。
しばらく仲間内で喜びを分かち合っていたシロップとヴィエネッタだが、ある程度落ち着いたようで、突進してくるかのようにこちらに来た。何やら興奮している様子。
「マスター、これ、本当に私達が用意したハチミツで作ったもの?」
「そうだよ。シロップ達が頑張って集めてくれたハチミツのおかげで、これができたんだよ。」
「う、嬉しい、、、。マスター、私達、ハチミツたくさん集める。だから、これもっと欲しい!!」
「ははっ、わかったよ。でも、無理はしすぎないでね。」
「大丈夫!!」
シロップが迫るような勢いでそう言ってきた。嬉しいけど、少しは落ち着きなさいって。その後すかさずヴィエネッタが私に聞いてきた。
「ご主人、本当に私達が、このお酒を作るのに役立ったの?」
「本当だよ。ヴィエネッタ達が作ってくれた網がなければ、最後の漉す作業ができなかったからね。」
「漉す作業?」
「うん、どれだけ良い材料を使ったとしても、最終的にはどうしても濁りが出てしまうんだよね。その濁りを取り除くために、網が必要なんだよね。で、その網が良いものであればあるほど、濁りも雑味も取り除けるんだよ。ヴィエネッタ達が作った網でなければ、あそこまで澄んだ色合いと良い味は出なかっただろうね。もちろん、シロップ達がくれた最高のハチミツがあればこそだけど。」
「なるほど。仕上げであの網が役立ったというわけかい! 納得したよ。じゃあ、これよりも良い網を作っておくから期待してて欲しい!!」
ヴィエネッタ、お前もかい、、、。感謝してくれるのは嬉しいけど、少しは落ち着け。
しばらく蜂達と蜘蛛達の歓待を受けた後、私達はフロストの町へと戻ることなくさらに下の階へと進んでいた。もう一つ目的があったからだ。それは、味噌と醤油の補充だ。
というのも、我が領では小麦の収穫が始まったらしく、少しずつではあるが、年貢というわけではないけども、領民達が小麦をたくさんくれたので、以前から作りたかったモノが作れるようになったからだ。
今回作りたいモノはズバリ、うどんである。我が領で収穫している小麦を粉にすると、薄力粉になるのか強力粉になるのかはわからないし、区別もつかないので、実際にどうなるかはわからないけど、とにかくうどんが作りたいのだ。
正直ラーメンにも手を出したいけど、まだ無理だろうから、まずは作り方を知っているうどんからだ。手打ちのうどんは、以前の世界でも作っていたから作り方は理解している。今まで作らなかったのは出汁がなかったからだ。しかし今は『しるけん』があるので、最低限のものは作れるのだ。最近は面倒ごとが多く、作る余裕が全くなかったけど、ようやく作れるようになったのだから、作らない手はない。
とはいえ、現段階で作れるのは、素うどん、ぶっかけ、かまたま、具の少ない味噌煮込みといったところかな、いや、ぶっかけも具があまりないか、、、。とりあえず作ってからそういったものは考えようか。領民達も何かしらアレンジして美味いものを作り出すに違いない。私は基本的な作り方だけを教えればいいだけのことだ。
そういったわけで、今回は、醤油と豚肉をメインに集めて、お猿さん達とたくさん遊んでストレスを解消しつつ、味噌、特に今回は赤味噌かな、を分けてもらうべくダンジョンを進んでいた。
みんなも、私の新作ということで、張り切って狩り採集をしてくれたおかげで、予想以上に集めることができた、というより、こんなん使い切れるか!! という量を集めてくれた、、、。どれだけ私をこき使う気なんだろうかと不安になったけど、口には出すまい、、、。
恵みのダンジョンからフロストの町へと戻ったので、早速うどん作りの準備を始めることにした。
言うまでもなく、最初は小麦を粉にする作業からである。領民達からもらった量は、15kg程入りそうな袋20袋ほど、そのうちの1袋をとりあえず臼の魔道具へと投入。ちなみに、投入担当はジェミニだ。いつの間にかジェミニが専属になっていたけどいいのか? まあ、当人達が納得しているから問題ないのかもしれないけどね。
投入が終わると、ライムがボタンを押す。ガーと小麦が粉になっている音を聞きながら、擂り終わるのを待つ。待っている間に、私はビールの様子を確認していたが、まだ完成にはほど遠い感じかな。本当の意味で最初だから酵素の数も少ないわけだから、これは仕方がない。
擂り始めてから気づいたのだが、小麦の乾燥作業を忘れた! と思っていたが杞憂に終わった。というのも、我が領内では基本、小麦粉にしてから加工するのが当たり前なので、こちらに届く小麦については乾燥作業が済んでいるのが当然だったっけ。
擂る音が聞こえなくなった。作業完了なのだろう。では、次は殻と実の部分を分ける作業が必要だけど、どうしようかな、と考えていたら、すでに擂る段階でその作業は完了しているようで、最下段から取り出した小麦粉はキレイな白色の小麦粉だった。殻や白くない部分はどうなったかというと、しっかりと別の所へと移されていたようだ。この魔道具、そういう作業もできるのね、、、。まあ、楽になったからいいけど。
完成した小麦粉はマーブルの風魔法でそれぞれの器へと配分されていった。その様子を驚きながら眺めている戦姫の3人。
「流石はマーブルちゃんですわね。」
「うん、流石ですね。」
「・・・私でも、ここまでは無理、、、。」
いや、ルカさん、ある程度までならできるんかい、、、。あんたも十分凄ぇよ、、、。
それぞれの器に配分したのは、もちろん戦姫の3人にも手伝ってもらうから。というのも、是非手伝いたいと志願してきたから。流石に断れないし、平たく言うと、私も楽になるから。
用意した器と同じ数の水差しも用意して、水と少量の岩塩を投入。一旦温度を上げつつかき混ぜながら岩塩をしっかりと溶かしてから温度を下げてぬるくして準備が完了。
「では、みなさん、この水差しを使って、やさしく回すように小麦粉に水を掛けてください。回すのは1周か2周でかまいません。」
そう言いながら手本を示す。
「水を掛けましたら、手は熊手のようにこんな感じにして軽くかき混ぜましょう。遅くてもかまいません。焦って早くかき混ぜても小麦粉が器から飛び出てしまうだけです。大事なのは早くやることではなく、小麦粉を外に出さずにしっかりと水に馴染ませることです。」
戦姫の3人は不慣れなせいもあり、おそるおそるという感じだったが、もちろん、それで問題はない。15kgの小麦のうち、小麦粉として出てきたのは大体11kgくらい。戦姫の3人は1kgずつ、1kgは打ち粉用に、残りが私といった感じで分けられていたが、最初から1kgというのも大変だとは思う。
「ある程度かき混ぜたら、また水を同じように優しく回しかけましょう。1周か2周かけたら、またゆっくりとかき混ぜてください。それを水がなくなるまで繰り返しましょう。とにかくゆっくりでかまいませんからね。」
水を掛けーの、かき混ぜ-のを繰り返し、一通り水に馴染んでいるのを確認できた。3人とも初めてにしてはかなり上手にできていた。私が初めてやったときってこんなに上手くできなかったんだけどね、、、。
「アイスさん、凄いですわね。私達は少しこぼしてしまっておりますが、アイスさんは一切こぼしてない。」
「3人とも、初めてにして、これだけの量をやったのに、少ししかこぼれてませんよ。ちなみに言っておきますけど、私が初めてこれやったときって、もっとこぼしてましたからね、、、。」
「では、次の作業です。次はこれをこねる作業です。こうして体重を乗せて押さえつける感じでやってみてください。最初は水が足りないんじゃないかと不安になりますが、やっていけばそのうちまとまりますので。」
こねる作業を手本でやってみせた後、戦姫の3人もこねる作業を始めた。流石は戦姫の3人。しっかりと体重を乗せてこねていた。一応別の袋を用意して足で踏む作業に切り替えようかと考えていたけど、その必要はなさそうだね。
しばらくこね続けると、しっかりとまとまってきた。戦姫の方を見てみると、そちらの方もキレイにまとまっているのを確認できた。
「アイスさん、この作業は非常に楽しいですわ!」
アンジェリカさんがそう言うと、セイラさん、ルカさんも頷いていた。うん、楽しんでくれて何よりですよ。
「次ですが、しばらくこの生地は休ませる必要がありますので、休憩もかねて放っておきましょう。」
そう言って、休憩に入ったのだけど、この時点で大事なモノを用意していなかったことに気づいたときには正直どうしようかと思ってしまった。
-------------------------
ルカ「・・・アイスさん、顔青ざめてた、、、。」
セイラ「あの顔は、何か忘れてたって顔だよね?」
アンジェリカ「まあ、いつものことですわ。」
セイラ、ルカ「「(うんうん)」」
ミードは無事完成し、昨日はそれのお試しということで、飲み会だった。それにしても、アンジェリカさんが、あそこまで酒が強いとは思わなかった。冒険者達の間でも、実力はかなわなくてもせめて酒の強さだけはと思っていた者も少なからずいたそうで、その酒の強さでも、圧倒的な差を痛感したらしく、戦闘力の差以上のショックを受けていたようだ。まあ、気持ちはわかる、、、。
今日はといえば、マーブル達と戦姫と一緒に恵みの洞窟へと向かっている。目的は完成したミードのお裾分けである。1つだけ残しておいたミードの入った壺を2つの別の容器へと移し替えてあり、それぞれ蜂達と蜘蛛達へと渡せるように準備はしておいた。あとは、この味を気に入ってくれるかどうかだ。
入り口へと到着。地下1階へと移動し、豆柴達の歓待を受ける。この子達にもお裾分けをしたかったけど、今回はいつも通り骨と少しの肉だけだ、ゴメンね。ある程度量が作れるようになったらあげるからね。
しばらくモフモフを堪能しつつ、マーブル達と遊ぶ様子に癒やされてから、次の階層へと移動する。
地下2階へと移動すると、いつもならハニービー達のモフモフ突撃が待っているのだが、今回は様子が違っていた。何とヴィエネッタも一緒に出迎えていたのだ。ハニービー達はクイーンのシロップとその親衛隊数体が、蜘蛛達は、アラクネのヴィエネッタと親衛隊とおぼしき強そうなシルクスパイダー数体がそれぞれ出迎えてくれていた。
「みんな、お出迎えありがとう。君たちが用意してくれたもののおかげで、これが完成したよ。」
私はそう言って、ミードの入った容器をそれぞれ渡す。
「マスター、これは、ひょっとして?」
「ああ、そうだよ。シロップ達ハニービーが集めてくれた美味しいハチミツで作ったお酒だよ。」
「ご主人、私達にもくれるのかい?」
「ああ、そういう約束だっただろう? それに、ヴィエネッタ達が作ってくれた網がなければ、完成しなかったから。ということで、ここで構わないから、試しに飲んでみて。できれば感想が欲しいかな。」
そう言うと、シロップもヴィエネッタもそれぞれ蓋を開けて中を覗く。
「! き、きれい、、、。」
「!! これが酒、、、?」
2人とも驚いているようだ。しばらく驚いていたが、意を決したかのようにそれぞれミードを口にした。
「こ、これが、、、。・・・美味しい、、、。」
「え? これ、何なの? こんな酒初めてだけど、、、。」
喜んでいるように見えるが、本当に美味しいのか不安だ、、、。
「アイスさん、大丈夫ですわよ。ワタクシ達も初めて口にしたとき、あんな感じでしたから。」
アンジェリカさんがそう言うと、セイラさん、ルカさんもその通りと言わんばかりに頷いた。マーブル達の反応とは真逆だったからわからなかったけど、どちらにせよ喜んでくれたのなら、作った甲斐もあったな。催促されて渋々作ったとはいえね、、、。
改めて、シロップとヴィエネッタのいる方へ視線を向けると、2人とも一緒にいる仲間に分けており、それを飲んでみたハニービーもシルクスパイダーも喜びの舞なのか、嬉しそうに飛び回ったり跳ね回ったりしていた。
しばらく仲間内で喜びを分かち合っていたシロップとヴィエネッタだが、ある程度落ち着いたようで、突進してくるかのようにこちらに来た。何やら興奮している様子。
「マスター、これ、本当に私達が用意したハチミツで作ったもの?」
「そうだよ。シロップ達が頑張って集めてくれたハチミツのおかげで、これができたんだよ。」
「う、嬉しい、、、。マスター、私達、ハチミツたくさん集める。だから、これもっと欲しい!!」
「ははっ、わかったよ。でも、無理はしすぎないでね。」
「大丈夫!!」
シロップが迫るような勢いでそう言ってきた。嬉しいけど、少しは落ち着きなさいって。その後すかさずヴィエネッタが私に聞いてきた。
「ご主人、本当に私達が、このお酒を作るのに役立ったの?」
「本当だよ。ヴィエネッタ達が作ってくれた網がなければ、最後の漉す作業ができなかったからね。」
「漉す作業?」
「うん、どれだけ良い材料を使ったとしても、最終的にはどうしても濁りが出てしまうんだよね。その濁りを取り除くために、網が必要なんだよね。で、その網が良いものであればあるほど、濁りも雑味も取り除けるんだよ。ヴィエネッタ達が作った網でなければ、あそこまで澄んだ色合いと良い味は出なかっただろうね。もちろん、シロップ達がくれた最高のハチミツがあればこそだけど。」
「なるほど。仕上げであの網が役立ったというわけかい! 納得したよ。じゃあ、これよりも良い網を作っておくから期待してて欲しい!!」
ヴィエネッタ、お前もかい、、、。感謝してくれるのは嬉しいけど、少しは落ち着け。
しばらく蜂達と蜘蛛達の歓待を受けた後、私達はフロストの町へと戻ることなくさらに下の階へと進んでいた。もう一つ目的があったからだ。それは、味噌と醤油の補充だ。
というのも、我が領では小麦の収穫が始まったらしく、少しずつではあるが、年貢というわけではないけども、領民達が小麦をたくさんくれたので、以前から作りたかったモノが作れるようになったからだ。
今回作りたいモノはズバリ、うどんである。我が領で収穫している小麦を粉にすると、薄力粉になるのか強力粉になるのかはわからないし、区別もつかないので、実際にどうなるかはわからないけど、とにかくうどんが作りたいのだ。
正直ラーメンにも手を出したいけど、まだ無理だろうから、まずは作り方を知っているうどんからだ。手打ちのうどんは、以前の世界でも作っていたから作り方は理解している。今まで作らなかったのは出汁がなかったからだ。しかし今は『しるけん』があるので、最低限のものは作れるのだ。最近は面倒ごとが多く、作る余裕が全くなかったけど、ようやく作れるようになったのだから、作らない手はない。
とはいえ、現段階で作れるのは、素うどん、ぶっかけ、かまたま、具の少ない味噌煮込みといったところかな、いや、ぶっかけも具があまりないか、、、。とりあえず作ってからそういったものは考えようか。領民達も何かしらアレンジして美味いものを作り出すに違いない。私は基本的な作り方だけを教えればいいだけのことだ。
そういったわけで、今回は、醤油と豚肉をメインに集めて、お猿さん達とたくさん遊んでストレスを解消しつつ、味噌、特に今回は赤味噌かな、を分けてもらうべくダンジョンを進んでいた。
みんなも、私の新作ということで、張り切って狩り採集をしてくれたおかげで、予想以上に集めることができた、というより、こんなん使い切れるか!! という量を集めてくれた、、、。どれだけ私をこき使う気なんだろうかと不安になったけど、口には出すまい、、、。
恵みのダンジョンからフロストの町へと戻ったので、早速うどん作りの準備を始めることにした。
言うまでもなく、最初は小麦を粉にする作業からである。領民達からもらった量は、15kg程入りそうな袋20袋ほど、そのうちの1袋をとりあえず臼の魔道具へと投入。ちなみに、投入担当はジェミニだ。いつの間にかジェミニが専属になっていたけどいいのか? まあ、当人達が納得しているから問題ないのかもしれないけどね。
投入が終わると、ライムがボタンを押す。ガーと小麦が粉になっている音を聞きながら、擂り終わるのを待つ。待っている間に、私はビールの様子を確認していたが、まだ完成にはほど遠い感じかな。本当の意味で最初だから酵素の数も少ないわけだから、これは仕方がない。
擂り始めてから気づいたのだが、小麦の乾燥作業を忘れた! と思っていたが杞憂に終わった。というのも、我が領内では基本、小麦粉にしてから加工するのが当たり前なので、こちらに届く小麦については乾燥作業が済んでいるのが当然だったっけ。
擂る音が聞こえなくなった。作業完了なのだろう。では、次は殻と実の部分を分ける作業が必要だけど、どうしようかな、と考えていたら、すでに擂る段階でその作業は完了しているようで、最下段から取り出した小麦粉はキレイな白色の小麦粉だった。殻や白くない部分はどうなったかというと、しっかりと別の所へと移されていたようだ。この魔道具、そういう作業もできるのね、、、。まあ、楽になったからいいけど。
完成した小麦粉はマーブルの風魔法でそれぞれの器へと配分されていった。その様子を驚きながら眺めている戦姫の3人。
「流石はマーブルちゃんですわね。」
「うん、流石ですね。」
「・・・私でも、ここまでは無理、、、。」
いや、ルカさん、ある程度までならできるんかい、、、。あんたも十分凄ぇよ、、、。
それぞれの器に配分したのは、もちろん戦姫の3人にも手伝ってもらうから。というのも、是非手伝いたいと志願してきたから。流石に断れないし、平たく言うと、私も楽になるから。
用意した器と同じ数の水差しも用意して、水と少量の岩塩を投入。一旦温度を上げつつかき混ぜながら岩塩をしっかりと溶かしてから温度を下げてぬるくして準備が完了。
「では、みなさん、この水差しを使って、やさしく回すように小麦粉に水を掛けてください。回すのは1周か2周でかまいません。」
そう言いながら手本を示す。
「水を掛けましたら、手は熊手のようにこんな感じにして軽くかき混ぜましょう。遅くてもかまいません。焦って早くかき混ぜても小麦粉が器から飛び出てしまうだけです。大事なのは早くやることではなく、小麦粉を外に出さずにしっかりと水に馴染ませることです。」
戦姫の3人は不慣れなせいもあり、おそるおそるという感じだったが、もちろん、それで問題はない。15kgの小麦のうち、小麦粉として出てきたのは大体11kgくらい。戦姫の3人は1kgずつ、1kgは打ち粉用に、残りが私といった感じで分けられていたが、最初から1kgというのも大変だとは思う。
「ある程度かき混ぜたら、また水を同じように優しく回しかけましょう。1周か2周かけたら、またゆっくりとかき混ぜてください。それを水がなくなるまで繰り返しましょう。とにかくゆっくりでかまいませんからね。」
水を掛けーの、かき混ぜ-のを繰り返し、一通り水に馴染んでいるのを確認できた。3人とも初めてにしてはかなり上手にできていた。私が初めてやったときってこんなに上手くできなかったんだけどね、、、。
「アイスさん、凄いですわね。私達は少しこぼしてしまっておりますが、アイスさんは一切こぼしてない。」
「3人とも、初めてにして、これだけの量をやったのに、少ししかこぼれてませんよ。ちなみに言っておきますけど、私が初めてこれやったときって、もっとこぼしてましたからね、、、。」
「では、次の作業です。次はこれをこねる作業です。こうして体重を乗せて押さえつける感じでやってみてください。最初は水が足りないんじゃないかと不安になりますが、やっていけばそのうちまとまりますので。」
こねる作業を手本でやってみせた後、戦姫の3人もこねる作業を始めた。流石は戦姫の3人。しっかりと体重を乗せてこねていた。一応別の袋を用意して足で踏む作業に切り替えようかと考えていたけど、その必要はなさそうだね。
しばらくこね続けると、しっかりとまとまってきた。戦姫の方を見てみると、そちらの方もキレイにまとまっているのを確認できた。
「アイスさん、この作業は非常に楽しいですわ!」
アンジェリカさんがそう言うと、セイラさん、ルカさんも頷いていた。うん、楽しんでくれて何よりですよ。
「次ですが、しばらくこの生地は休ませる必要がありますので、休憩もかねて放っておきましょう。」
そう言って、休憩に入ったのだけど、この時点で大事なモノを用意していなかったことに気づいたときには正直どうしようかと思ってしまった。
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ルカ「・・・アイスさん、顔青ざめてた、、、。」
セイラ「あの顔は、何か忘れてたって顔だよね?」
アンジェリカ「まあ、いつものことですわ。」
セイラ、ルカ「「(うんうん)」」
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