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第一章 夜に秘める
屈辱のくちづけ(7)
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何度も髪を撫でる手のひら。
その熱に、じんと身体が燃えていく。
耳元の囁きが、急に甘いものに感じられた。
「何も考えずに、僕の腕の中にいて」
無抵抗のアルフォンスの腕をとり、カインはゆっくりと袖をまくった。
腕を:喰(は)むように、薄い筋肉を舌がなぞる。
「あっ……」
アルフォンスがビクンと大きく背を震わせたのは、恐怖のためばかりではあるまい。
たちまち潤む双眸。
くちづけを受け入れると、衣擦れの音とともにゆっくりと一枚一枚衣服を剥がれていく。
「ちがうんだ……俺は、こんなこと……」
うわごとのように繰り返すのは、精一杯の矜持の言葉。
「こんなことで姉上が守れるならと……、だから俺は……」
「黙って。アルフォンス」
耳朶を噛まれ、首筋を音たてて吸われた。
漏れる吐息を噛み殺す。
「お前が気まぐれを起こして……レティシアにとって返さないように……。だから……」
下着を剥がれても抵抗できないのは、脅されているからに違いない。
「あなたの自己犠牲は涙ぐましい」
でも、黙って──と、熱い手が胸に触れた。
大きな手のひらが湿り気を帯びているように感じるのは、あるいはアルフォンスの身体が快楽への期待に汗ばんでいるせいだろうか。
「名前を呼んでください。カインと」
「いやだ、呼ばない……っ」
するすると両手が腰へ降りる。
細いくびれを愛撫してから、手のひらで包むように尻を持ち上げた。
くちゅ……。
左の人差し指が後孔に挿し込まれる。
「うっ」
第一関節ほどで動きが止まったことに、アルフォンスの双眸が揺らいだとき。
ぐちゅり。
もう片方の手の指も侵入してくる。
入口を撫でるように、こまかく突くように振動を加えられ、たまらず漏れたのは呻き声か吐息か。
噛みしめた唇がだらしなく開いた。
わざとはしたない音を立てるように奥を探る指先が、不意に抜かれる。
「あんっ……」
思わず声が漏れた。
高慢なプライドをあざ笑うように、物足りないとねだりひくつく後孔。
探るような動きで再び押し当てられたのは、カインの屹立だった。黒衣の足元だけをくつろげた簒奪王は、アルフォンスの尻を支える両手をゆっくりと下ろした。
「あぁ……っ、なんでこんなこと……」
硬い物が押し込まれ、アルフォンスは全身を強張らせる。
「何故って? アルフォンス、あなたを愛しているからですよ」
黄金色の髪を掻き抱きながら、囁く言葉はどこまでも甘い。
その熱に、じんと身体が燃えていく。
耳元の囁きが、急に甘いものに感じられた。
「何も考えずに、僕の腕の中にいて」
無抵抗のアルフォンスの腕をとり、カインはゆっくりと袖をまくった。
腕を:喰(は)むように、薄い筋肉を舌がなぞる。
「あっ……」
アルフォンスがビクンと大きく背を震わせたのは、恐怖のためばかりではあるまい。
たちまち潤む双眸。
くちづけを受け入れると、衣擦れの音とともにゆっくりと一枚一枚衣服を剥がれていく。
「ちがうんだ……俺は、こんなこと……」
うわごとのように繰り返すのは、精一杯の矜持の言葉。
「こんなことで姉上が守れるならと……、だから俺は……」
「黙って。アルフォンス」
耳朶を噛まれ、首筋を音たてて吸われた。
漏れる吐息を噛み殺す。
「お前が気まぐれを起こして……レティシアにとって返さないように……。だから……」
下着を剥がれても抵抗できないのは、脅されているからに違いない。
「あなたの自己犠牲は涙ぐましい」
でも、黙って──と、熱い手が胸に触れた。
大きな手のひらが湿り気を帯びているように感じるのは、あるいはアルフォンスの身体が快楽への期待に汗ばんでいるせいだろうか。
「名前を呼んでください。カインと」
「いやだ、呼ばない……っ」
するすると両手が腰へ降りる。
細いくびれを愛撫してから、手のひらで包むように尻を持ち上げた。
くちゅ……。
左の人差し指が後孔に挿し込まれる。
「うっ」
第一関節ほどで動きが止まったことに、アルフォンスの双眸が揺らいだとき。
ぐちゅり。
もう片方の手の指も侵入してくる。
入口を撫でるように、こまかく突くように振動を加えられ、たまらず漏れたのは呻き声か吐息か。
噛みしめた唇がだらしなく開いた。
わざとはしたない音を立てるように奥を探る指先が、不意に抜かれる。
「あんっ……」
思わず声が漏れた。
高慢なプライドをあざ笑うように、物足りないとねだりひくつく後孔。
探るような動きで再び押し当てられたのは、カインの屹立だった。黒衣の足元だけをくつろげた簒奪王は、アルフォンスの尻を支える両手をゆっくりと下ろした。
「あぁ……っ、なんでこんなこと……」
硬い物が押し込まれ、アルフォンスは全身を強張らせる。
「何故って? アルフォンス、あなたを愛しているからですよ」
黄金色の髪を掻き抱きながら、囁く言葉はどこまでも甘い。
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