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第三話 願いをだきしめて
願いをだきしめて(6)
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売れ筋の千円前後の白い食器が並ぶ通路を抜けながら、蓮は大きく息をついた。
「だって、チカチカしてる。目の前が白くなったり灰色になったり……あれ、おかしいな……」
「先生?」
ジャケットの袖越しに感じるぬくもり。
それがやけに熱いと、梗一郎が気付いたときにはもう遅かった。
蓮の足が力を失ったのだ。
ふらりとよろけるその身体を、梗一郎がとっさに抱きしめる。
「ご、ごめん、小野くん……」
こんなところで転んだら大惨事だよね──なんて呟きながら、蓮の瞼はぴくぴくと痙攣した。
「先生、大丈夫ですか。僕を見てください。先生?」
「あ、ああ、大丈夫だよ。コップ買わなきゃ……それから鳥獣腐戯画の展覧会に……」
「先生、もういいから。黙って」
驚くほど近くに寄せられた梗一郎の顔を、お人形さんみたいにキレイだなぁなんて思ったところまでは記憶にあるのだが。
※ ※ ※
「だって、チカチカしてる。目の前が白くなったり灰色になったり……あれ、おかしいな……」
「先生?」
ジャケットの袖越しに感じるぬくもり。
それがやけに熱いと、梗一郎が気付いたときにはもう遅かった。
蓮の足が力を失ったのだ。
ふらりとよろけるその身体を、梗一郎がとっさに抱きしめる。
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こんなところで転んだら大惨事だよね──なんて呟きながら、蓮の瞼はぴくぴくと痙攣した。
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