ここは花咲く『日本史BL検定対策講座』

陣リン

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第四話 これは、臆病な恋の話

これは、臆病な恋の話(10)

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「征樹兄ちゃんが適当すぎなんだ」

 頭を撫でられながらの悪態になど、さしたる効果はない。
 征樹に応えた様子がないのは当然であろう。

「アンケートもだが、その異様な睫毛の漫画は何なんだ?」

「や、やめてよ。これはモブ子さんたちのレポートで……」

 頬が熱くなるのが分かって蓮は大袈裟に首を振った。

 ごめんよ、モブ子さんたち。
 君たちの渾身のレポートを見られて恥ずかしいなんて思ってしまって。

「そんなのサッと見て適当に点数をつけりゃいいだろ」

「だ、だめだよ! モブ子さんたちが一生懸命に描いてくれたものなんだから。中身はよく分からないけれど、熱量だけはひしひしと伝わるんだから」

 正直にいうと生徒たちの提出物に点数なんてつけたくない。

「だってみんな百点満点の一等賞なんだから」

 ふふっ、と笑いながら征樹の頭くしゃくしゃ攻撃はさらにひどくなる。

「仕方がないなぁ、お前は」

 アンケートは引き取るよと言ってくれたのは、従兄としての恩情であったのだろう。
 何をするにも人の倍ほど時間のかかる親戚の子を、年上の従兄は子どものころからいつも助けてくれていた。

「あ、あり……ありが……」

 小さな声は、スーツの後姿には届くまい。
 大学生だった蓮にBL学という存在を教えてくれたのは、当時講師として日本中世史を担当していた征樹だった。

 従兄はそんなことは覚えちゃいないのだろう。
 たまに遭遇すれば蓮をからかって行ってしまう。
 ときには厄介な用事を押しつけられることも。

 なのに頼りにしてしまうのも、蓮としては致し方のないことなのだ。
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