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第八話 星の下で君の名を~エピローグに代えて

《検定対策講座》愛する人と旅に出る(2)

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 あの……本題に戻りますね。

 平和な時代では、モブ子さんが言ったように安心して暮らせます。
 裕福かどうかはともかくとして、心の豊かさはあったのではないかと。

 そうすると小説や戯曲などの文芸、浮世絵などの芸術、そして歌舞伎や浄瑠璃などの芸能が発達し、人々の暮らしを彩ります。
 つまり、庶民の文化レベルが向上するのです。

 さらにもうひとつ。
 江戸時代は、庶民のあいだに「旅」が流行しました。

 お伊勢参りや善光寺参り、四国霊場巡りなどが有名です。
 女性だけで旅をしたということも珍しくはなかったようです。

 それもこれも、平和であればこそという気がします。

 みなさんももうじき夏休みですね。
 一回生だけのレクリエーションの一環としてキャンプがあると聞きました。
 満天の星空の下、一緒に食事を作ったり、あるいは夢を語りあうのは生涯の思い出になるのでしょうね。

「えー、蓮ちんも来いよ。アタシら、蓮ちんと一緒に行きたいんだよ」

「えっ、俺は参加しろって言われてないけど……えっ? し、仕方ないなぁ」

 コホン。
 すみません、脱線しました。

 今回の主役を示すキーワードは、この「旅」といっても過言ではないでしょう。

 これまでのキーワードである「主従」や「主従逆転」。
 あるいは「執着」「共依存」「裏切り」などに比べて、なんだかホンワカした印象ですね。

 しかし「旅」とはBL学において、さまざまな要素を孕んだ言葉なのです。
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