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2章 後悔ルート、絶望ルート、失望ルート
15話 失望ルート 5
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家。こんなにも大きく見えたのは初めてだよ。
「凱君、行こ」
「うん」
僕はドアノブを回す。ドアを開けると、リビングから父さんと美紗のお父さん、零と聞いたことの無い声……多分、零のお父さんが居る。
「た、ただいまぁ」
「お邪魔します」
少し緊張する。でも、これからのことの方がずっと怖い。
僕らが靴を脱ぎ、リビングに入ろうとした時、先に開いた。父さんだ。
「凱、本当にすまないことをした」
「えっ?」
父さんは視線を下に落としたまま、そう言ってきたのだ。そこには、心からの謝罪があることが分かる。
「俺は、俺は父親として失格だ。もう少ししたら美紗ちゃんのお父さんと海藤さんが出てくる。子供だけで話してくれ。じゃあ」
「えっ、ちょっ………」
あんな父さんの姿は初めてだ。いつもの調子がない。一体、何があると言うのだろうか。
「………」
美紗も静かになった。
すると……
「久しぶりだね、凱君」
「美紗のお父さん?」
「そうさ。海藤さん、役者が揃ったんで出ますよ」
「おう。そうか」
「凱君、守ってやれず、本当にすまない」
「え…………」
みんな、どうしたって言うのか。
「君が凱君か」
「はい」
何なんだ。この人は。人を見下すようなその視線は。
「退いてもらって良いかな」
「あっ……はい」
失敗だね。
僕は左に避け、海藤さんのお父さんを通した。
「美紗ちゃん」
「………なんですか」
「仲良くしてやってくれよ?」
「………考えておきます」
「凱君。君は少しやりすぎなんじゃないか?」
「どう言うことで?」
「こちらの話しだ」
「そうですか」
なら、言わなくても良いんじゃないですかね?
「では、失礼するよ」
それだけ言って、去って行った。
「入ろっか」
「うん」
リビングに入ったときに、見付けた。零だ。肩身が狭そうに今も縮こまっている。
「零。さっき振りだね」
「やぁ、凱」
「親しか居なくて、居づらかったろ?」
「そうだね」
「それよりも、これ一体どういう状況なんだい?」
「話しは聞いてないと言うことを聞いたよ」
「変な言い回しだね」
「零君。私は反対だよ」
「出来れば俺もさ。でも………」
「状況に付いていけないんだが……」
「単刀直入に言うよ。俺と美紗は許嫁なのさ」
「えっ………??」
「勿論。美紗と凱のお父さんは拒否していたが、上司という権利を振りかざして………」
「何を言っている。確かに父親同士はそうだったが、美紗も零も大賛成だっただろう?」
そこにはドアを開け、その壁に背をつけ、もたれかかる零のお父さんが居た。
「えっ?………」
思考が追いつかない。どう言うことなんだ………。
「そんな!私は、凱君だけが好きなの!」
「猫を被るのもいい加減にしなさい。零もだぞ」
「しょ、証拠は!?証拠なんて無いだろ!」
「録音してあるさ」
「「えっ?!」」
「『ねぇ、零君。好きって言ってよ。』
『君には凱君が………』
『良いじゃん。バレなきゃ、ね?』
『で、でも………』
『良いの良いの』」
「な?」
「う、嘘だよ?凱君、信じて?」
「…………」
「そ、そうだよ。嘘に決まってるだろ?」
「もし、嘘なら、この録音は、何なんだ?声は一緒だ。嘘なら、あそこまでしっかりとしたやり取りができるか?」
「し、信じて、凱君………」
「もう、何も信じられないよ。美紗は…………
ビッチだったの?」
僕が愛したのはこんな人だったのか…………。君には失望したよ。結局、誰でも良かったんだろ?自分を愛してくれれば。何人居ようとも関係無い。自分の欲を満たす、猛獣じゃないか。
何だが、醒めた気がするよ。
~~~~~~~~~~~~~~~
毎回、こんな感じての終わりとなります。呆気なかったですが、2章目完結です。
いやぁ、キリの良い終わり方ではないでしょうか?年の最後に2章完結。この章を終わらせられて、良かったです。新しい年で新しい気持ちで新しい章を書きますよ!
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
「凱君、行こ」
「うん」
僕はドアノブを回す。ドアを開けると、リビングから父さんと美紗のお父さん、零と聞いたことの無い声……多分、零のお父さんが居る。
「た、ただいまぁ」
「お邪魔します」
少し緊張する。でも、これからのことの方がずっと怖い。
僕らが靴を脱ぎ、リビングに入ろうとした時、先に開いた。父さんだ。
「凱、本当にすまないことをした」
「えっ?」
父さんは視線を下に落としたまま、そう言ってきたのだ。そこには、心からの謝罪があることが分かる。
「俺は、俺は父親として失格だ。もう少ししたら美紗ちゃんのお父さんと海藤さんが出てくる。子供だけで話してくれ。じゃあ」
「えっ、ちょっ………」
あんな父さんの姿は初めてだ。いつもの調子がない。一体、何があると言うのだろうか。
「………」
美紗も静かになった。
すると……
「久しぶりだね、凱君」
「美紗のお父さん?」
「そうさ。海藤さん、役者が揃ったんで出ますよ」
「おう。そうか」
「凱君、守ってやれず、本当にすまない」
「え…………」
みんな、どうしたって言うのか。
「君が凱君か」
「はい」
何なんだ。この人は。人を見下すようなその視線は。
「退いてもらって良いかな」
「あっ……はい」
失敗だね。
僕は左に避け、海藤さんのお父さんを通した。
「美紗ちゃん」
「………なんですか」
「仲良くしてやってくれよ?」
「………考えておきます」
「凱君。君は少しやりすぎなんじゃないか?」
「どう言うことで?」
「こちらの話しだ」
「そうですか」
なら、言わなくても良いんじゃないですかね?
「では、失礼するよ」
それだけ言って、去って行った。
「入ろっか」
「うん」
リビングに入ったときに、見付けた。零だ。肩身が狭そうに今も縮こまっている。
「零。さっき振りだね」
「やぁ、凱」
「親しか居なくて、居づらかったろ?」
「そうだね」
「それよりも、これ一体どういう状況なんだい?」
「話しは聞いてないと言うことを聞いたよ」
「変な言い回しだね」
「零君。私は反対だよ」
「出来れば俺もさ。でも………」
「状況に付いていけないんだが……」
「単刀直入に言うよ。俺と美紗は許嫁なのさ」
「えっ………??」
「勿論。美紗と凱のお父さんは拒否していたが、上司という権利を振りかざして………」
「何を言っている。確かに父親同士はそうだったが、美紗も零も大賛成だっただろう?」
そこにはドアを開け、その壁に背をつけ、もたれかかる零のお父さんが居た。
「えっ?………」
思考が追いつかない。どう言うことなんだ………。
「そんな!私は、凱君だけが好きなの!」
「猫を被るのもいい加減にしなさい。零もだぞ」
「しょ、証拠は!?証拠なんて無いだろ!」
「録音してあるさ」
「「えっ?!」」
「『ねぇ、零君。好きって言ってよ。』
『君には凱君が………』
『良いじゃん。バレなきゃ、ね?』
『で、でも………』
『良いの良いの』」
「な?」
「う、嘘だよ?凱君、信じて?」
「…………」
「そ、そうだよ。嘘に決まってるだろ?」
「もし、嘘なら、この録音は、何なんだ?声は一緒だ。嘘なら、あそこまでしっかりとしたやり取りができるか?」
「し、信じて、凱君………」
「もう、何も信じられないよ。美紗は…………
ビッチだったの?」
僕が愛したのはこんな人だったのか…………。君には失望したよ。結局、誰でも良かったんだろ?自分を愛してくれれば。何人居ようとも関係無い。自分の欲を満たす、猛獣じゃないか。
何だが、醒めた気がするよ。
~~~~~~~~~~~~~~~
毎回、こんな感じての終わりとなります。呆気なかったですが、2章目完結です。
いやぁ、キリの良い終わり方ではないでしょうか?年の最後に2章完結。この章を終わらせられて、良かったです。新しい年で新しい気持ちで新しい章を書きますよ!
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
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