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プロローグ
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白い綿のラフなシャツ、その上に薄い上着を着て黒いパンツを履いた長身の男性は、石丸世凪が今まで見てきた中で一番整った顔立ちをしていた。少し目尻がつり上がった瞳が印象的で、プラチナ色の髪とあいまって更に人形のような美しさに見えた。
冷えた石造りの部屋、壁の一面は丈夫な鉄製の格子がついた牢屋のような場所に入れられて寒さに震えそうなのに、格子越しに彼を見た瞬間、心だけは火を灯されたみたいにふわりと暖かくなっていた。
「お前が『泉に呼ばれた者』か」
少し低めの声は声量は大きくなくても、するりと耳に入ってくる心地よい声だった。世凪の心臓がそれだけでドキドキと波打っている。
「い、石丸、世凪、です……」
こちらを見下ろすその顔にほとんど表情はない。それなのに、じっと見つめられるとこちらがそわそわしてしまうくらい、不思議と惹かれてしまう。
「……『縁の泉』から来た者として扱う許可が下りた。ここから出るといい」
その男が告げると、近くにいた衛兵が格子についていた小さな扉の鍵を開けてくれる。それから世凪の近くに来て、耳打ちをした。
「アドウェル・ドーヴェルジュ様だ。この国の第二王子だから、粗相のないように」
せっかく助かった命なんだから、と言われ、世凪が改めてアドウェルの顔を見つめる。するとアドウェルの眉が微かに動いて、不意に視線を外された。さっそく見すぎて嫌われてしまったか、と世凪が視線を足元に向ける。俯くと、ぽたり、と髪から雫が落ちた。
「泉から来たんだったな……まだ体が濡れたままだったのか。気づかずすまない。もう少し我慢してくれ」
アドウェルがおもむろに自身の上着を脱ぎ、世凪の肩に掛ける。花の香りのするそれはとても暖かかった。
「ありがとう、ございます……」
「世凪、といったな。この国に来たこと、国を代表して歓迎する」
顔を上げるとアドウェルの唇の端がほんの少し引き上げられた。その微笑みにも満たないわずかな表情の変化は、小さな花を思い起こさせるような儚いものだったが、世凪の心の真ん中に届くには十分魅力的なものだった。
冷えた石造りの部屋、壁の一面は丈夫な鉄製の格子がついた牢屋のような場所に入れられて寒さに震えそうなのに、格子越しに彼を見た瞬間、心だけは火を灯されたみたいにふわりと暖かくなっていた。
「お前が『泉に呼ばれた者』か」
少し低めの声は声量は大きくなくても、するりと耳に入ってくる心地よい声だった。世凪の心臓がそれだけでドキドキと波打っている。
「い、石丸、世凪、です……」
こちらを見下ろすその顔にほとんど表情はない。それなのに、じっと見つめられるとこちらがそわそわしてしまうくらい、不思議と惹かれてしまう。
「……『縁の泉』から来た者として扱う許可が下りた。ここから出るといい」
その男が告げると、近くにいた衛兵が格子についていた小さな扉の鍵を開けてくれる。それから世凪の近くに来て、耳打ちをした。
「アドウェル・ドーヴェルジュ様だ。この国の第二王子だから、粗相のないように」
せっかく助かった命なんだから、と言われ、世凪が改めてアドウェルの顔を見つめる。するとアドウェルの眉が微かに動いて、不意に視線を外された。さっそく見すぎて嫌われてしまったか、と世凪が視線を足元に向ける。俯くと、ぽたり、と髪から雫が落ちた。
「泉から来たんだったな……まだ体が濡れたままだったのか。気づかずすまない。もう少し我慢してくれ」
アドウェルがおもむろに自身の上着を脱ぎ、世凪の肩に掛ける。花の香りのするそれはとても暖かかった。
「ありがとう、ございます……」
「世凪、といったな。この国に来たこと、国を代表して歓迎する」
顔を上げるとアドウェルの唇の端がほんの少し引き上げられた。その微笑みにも満たないわずかな表情の変化は、小さな花を思い起こさせるような儚いものだったが、世凪の心の真ん中に届くには十分魅力的なものだった。
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