26 / 33
10-4
しおりを挟む
『マンション前に着いたから出ておいで』というメッセージは克彦からのものだった。匠がそれを見て立ち上がる。
「明彦、克彦来てくれたみたい」
もう行くね、と言いながら匠は持っていたカップを明彦に差し出す。明彦はそれを受け取ってテーブルに置いてから立ち上がり、頷いた。
「早く来てくれて良かったね」
明彦の言葉に匠が大きく頷く。それから玄関に向かい、靴を履くと、そのままドアを開けた。
「じゃあ、ありがと、明彦」
「うん。今度は普通に遊びに来て」
「あはは、ごめん。今度はちゃんと手土産持って来るよ」
匠はそう答え、玄関ドアを閉めた。短い廊下を歩き、階段を降りようとしたその時だった。こちらに上がってくる人影を見て、匠は思わず、あ、と声を出してしまう。
「え……あれ? 子猫ちゃん」
匠の声で顔を上げたその人は伊賀だった。いつもの笑顔で伊賀が、偶然だね、と言う。
「ここに住んでたりするの?」
「いえ、友達の家があって……」
匠がそう答えると、後ろから足音が聞こえた。それに気づいて匠が振り返る。駆け寄ってきたのは明彦だった。
「匠くん、ごめん。服、渡すの忘れてた」
紙袋に入った匠の服を差し出し、明彦が、ごめん、ともう一度言う。匠はそれに首を振った。
「いや、こっちこそ、洗濯までさせちゃってごめん」
匠が服を受け取ると、それまで見ているだけだった伊賀が、へえ、と口の端を引き上げた。
「服汚して脱ぐような相手居るんだ」
「え、あ、いや、明彦は友達です。服は汚したわけではなくて……」
「いや、そんな否定しなくても。子猫ちゃんだって、ホントは子猫じゃないもんね。そういう『友達』がいても不思議じゃないよ」
「いや、ですから違うんです!」
匠が真っ赤になって否定するが、伊賀は、大丈夫、とだけ言って微笑んだ。
「オレ、ここに住んでるんだ。また会えるかもね」
じゃあね、と伊賀は階段を上がっていった。その後ろ姿を見送ってから、匠がため息を吐く。
「……なんか、めちゃくちゃな誤解された……」
「うん、そうみたい……でも、男同士とか偏見ないっていうか……むしろ、自分もそっち、みたいな感じだったね」
知り合い? と明彦に聞かれ、匠が頷く。
「今担当してる現場の大工さんで……俺のこと、全然名前で呼んでくれないんだよ」
あんなあだ名嫌なのに、と言うと明彦は、それは、と急に真剣な顔をする。
「気を付けた方がいいよ」
「うん、そうだね」
匠が頷くと明彦は、兄さん待ってるよ、と優しい表情になった。
「うん。じゃあ、ホントに今度は手土産持って来るから!」
匠がそう言って階段を降り始める。明彦はそれに笑って、美味しい酒がいいな、と匠に手を振った。
そんな言葉に見送られ、エントランスまで降りてきた匠は、その目の前に止まっている克彦の車を見つけ、駆け寄った。滑り込むように助手席に乗り込むと、克彦が、おかえり、と微笑む。
「遠いコンビニだったな」
「うん……まさか香月さんに会うなんて……」
「私も予想外だった」
そう言いながら克彦が車を走らせる。その隣で匠が不機嫌な表情で、でもさ、と口を開いた。
「ちょっと、克彦に会いに来すぎじゃない? この間の資料も今日も、全部オンラインで済むことなのに、わざわざ家まで来て……もしかして、香月さん……」
匠が言うと、克彦は困った様に眉を下げた。
「確かに匠の言う通りだ。ちょっと同僚という間柄であんなに家を訪ねられても困る。でも、例え香月がまだ私に気持ちを残しているとしても、私の気持ちは匠が一番よく知ってるだろう?」
克彦がちらりとこちらに視線を向ける。匠はその目に少し照れて頷いた。
「……克彦は世界一俺の事が好きだもんね」
「正解だ」
花丸をやろう、と克彦が笑う。匠も同じように笑うことで、ふわりと温かい気持ちになった。
「でも、こう頻繁に来られると、正直怖い。俺の逃げ場も限られてるし……ってか、明彦のところもあまり来れなくなりそうなんだよ」
匠が言うと克彦が、え、と驚く。
「明彦にも彼女が出来たか?」
「あ、いや。そうじゃないみたいなんだけど……この間会った、伊賀さんがあそこに住んでるみたいで。あんまりエンカウントしたくないなって……」
匠が言うと、克彦の表情が険しくなる。あんな出会い方をしたから、克彦の伊賀への感情はあまりいいものではない。
逆の立場だったら、匠だっていい印象は持たないだろう。
「それは、確かに。万が一捕まって、部屋に引きずり込まれたら困るしな。もしも明彦のところへ行く事があったら駅まで迎えに来てもらうといい。それか私が一緒に行こう」
それがいい、と克彦が一人で頷く。それを聞いて匠は、くすりと笑った。
「過保護だよ。子どもじゃないんだから」
「そうは言っても心配だからな。いっそのこと、香月に匠との関係を話すか」
「それは……待とうよ」
どうしても匠には最悪の展開しか想像できないのだ。よほど不安な顔をしてしまったのだろう。横から克彦の手が伸びて、そっと匠の頭を撫でていく。
「何度でも言うよ。私が一番大事にしているのは匠だ。他に何を失っても、匠が傍に居るならそれで幸せなんだ」
覚えておいて、と言われ、匠が頷く。
克彦の言葉が嬉しくて泣きそうになるのに、やはり心のどこかでは不安が渦を巻いていた。
「明彦、克彦来てくれたみたい」
もう行くね、と言いながら匠は持っていたカップを明彦に差し出す。明彦はそれを受け取ってテーブルに置いてから立ち上がり、頷いた。
「早く来てくれて良かったね」
明彦の言葉に匠が大きく頷く。それから玄関に向かい、靴を履くと、そのままドアを開けた。
「じゃあ、ありがと、明彦」
「うん。今度は普通に遊びに来て」
「あはは、ごめん。今度はちゃんと手土産持って来るよ」
匠はそう答え、玄関ドアを閉めた。短い廊下を歩き、階段を降りようとしたその時だった。こちらに上がってくる人影を見て、匠は思わず、あ、と声を出してしまう。
「え……あれ? 子猫ちゃん」
匠の声で顔を上げたその人は伊賀だった。いつもの笑顔で伊賀が、偶然だね、と言う。
「ここに住んでたりするの?」
「いえ、友達の家があって……」
匠がそう答えると、後ろから足音が聞こえた。それに気づいて匠が振り返る。駆け寄ってきたのは明彦だった。
「匠くん、ごめん。服、渡すの忘れてた」
紙袋に入った匠の服を差し出し、明彦が、ごめん、ともう一度言う。匠はそれに首を振った。
「いや、こっちこそ、洗濯までさせちゃってごめん」
匠が服を受け取ると、それまで見ているだけだった伊賀が、へえ、と口の端を引き上げた。
「服汚して脱ぐような相手居るんだ」
「え、あ、いや、明彦は友達です。服は汚したわけではなくて……」
「いや、そんな否定しなくても。子猫ちゃんだって、ホントは子猫じゃないもんね。そういう『友達』がいても不思議じゃないよ」
「いや、ですから違うんです!」
匠が真っ赤になって否定するが、伊賀は、大丈夫、とだけ言って微笑んだ。
「オレ、ここに住んでるんだ。また会えるかもね」
じゃあね、と伊賀は階段を上がっていった。その後ろ姿を見送ってから、匠がため息を吐く。
「……なんか、めちゃくちゃな誤解された……」
「うん、そうみたい……でも、男同士とか偏見ないっていうか……むしろ、自分もそっち、みたいな感じだったね」
知り合い? と明彦に聞かれ、匠が頷く。
「今担当してる現場の大工さんで……俺のこと、全然名前で呼んでくれないんだよ」
あんなあだ名嫌なのに、と言うと明彦は、それは、と急に真剣な顔をする。
「気を付けた方がいいよ」
「うん、そうだね」
匠が頷くと明彦は、兄さん待ってるよ、と優しい表情になった。
「うん。じゃあ、ホントに今度は手土産持って来るから!」
匠がそう言って階段を降り始める。明彦はそれに笑って、美味しい酒がいいな、と匠に手を振った。
そんな言葉に見送られ、エントランスまで降りてきた匠は、その目の前に止まっている克彦の車を見つけ、駆け寄った。滑り込むように助手席に乗り込むと、克彦が、おかえり、と微笑む。
「遠いコンビニだったな」
「うん……まさか香月さんに会うなんて……」
「私も予想外だった」
そう言いながら克彦が車を走らせる。その隣で匠が不機嫌な表情で、でもさ、と口を開いた。
「ちょっと、克彦に会いに来すぎじゃない? この間の資料も今日も、全部オンラインで済むことなのに、わざわざ家まで来て……もしかして、香月さん……」
匠が言うと、克彦は困った様に眉を下げた。
「確かに匠の言う通りだ。ちょっと同僚という間柄であんなに家を訪ねられても困る。でも、例え香月がまだ私に気持ちを残しているとしても、私の気持ちは匠が一番よく知ってるだろう?」
克彦がちらりとこちらに視線を向ける。匠はその目に少し照れて頷いた。
「……克彦は世界一俺の事が好きだもんね」
「正解だ」
花丸をやろう、と克彦が笑う。匠も同じように笑うことで、ふわりと温かい気持ちになった。
「でも、こう頻繁に来られると、正直怖い。俺の逃げ場も限られてるし……ってか、明彦のところもあまり来れなくなりそうなんだよ」
匠が言うと克彦が、え、と驚く。
「明彦にも彼女が出来たか?」
「あ、いや。そうじゃないみたいなんだけど……この間会った、伊賀さんがあそこに住んでるみたいで。あんまりエンカウントしたくないなって……」
匠が言うと、克彦の表情が険しくなる。あんな出会い方をしたから、克彦の伊賀への感情はあまりいいものではない。
逆の立場だったら、匠だっていい印象は持たないだろう。
「それは、確かに。万が一捕まって、部屋に引きずり込まれたら困るしな。もしも明彦のところへ行く事があったら駅まで迎えに来てもらうといい。それか私が一緒に行こう」
それがいい、と克彦が一人で頷く。それを聞いて匠は、くすりと笑った。
「過保護だよ。子どもじゃないんだから」
「そうは言っても心配だからな。いっそのこと、香月に匠との関係を話すか」
「それは……待とうよ」
どうしても匠には最悪の展開しか想像できないのだ。よほど不安な顔をしてしまったのだろう。横から克彦の手が伸びて、そっと匠の頭を撫でていく。
「何度でも言うよ。私が一番大事にしているのは匠だ。他に何を失っても、匠が傍に居るならそれで幸せなんだ」
覚えておいて、と言われ、匠が頷く。
克彦の言葉が嬉しくて泣きそうになるのに、やはり心のどこかでは不安が渦を巻いていた。
8
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる