うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)2

藤吉めぐみ

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12-2★

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 克彦はそう言うと、匠の頬にキスをした。それから首筋に、耳にとキスをしていく。胸に唇を寄せ、舌先で舐められると、びくりと体が震える。刺激で尖った先端を口の中に含まれ匠はぎゅっとシーツを掴んだ。感じ方もいつもと違う。そんな匠の反応を見ているのか、克彦がそのまま舌で撫で、唇で吸い上げる。
「やっ……」
 もうひとつの粒に克彦が手を伸ばす。指先で弾くように刺激され、捏ねられる。匠は次々に来る波のような快感に顎を上げ、甘い声を漏らした。
「か、つひ、こ……そこばっかり、や……」
「ああ、こっちもな」
 匠のパンツに手を掛け前を寛げると、下着から匠の中心を取り出す。胸への刺激で既に蜜を零していたせいで、すぐにくちゅりと水音が響いた。
「あっ……なんか、はずかし……」
「そんなこと思わなくていい。とてもキレイだよ」
 克彦が匠の唇にキスをすると、起き上がり、匠のパンツを下着と一緒に脱がした。それから自身のシャツも脱ぐ。匠はそれを見上げ、克彦のベルトに手を伸ばした。
「克彦も、きつそう」
「匠が解放してくれる?」
 克彦が匠の手を見下ろし言う。匠は頷いてから、上半身を少し起こして、パンツのファスナーを下ろした。下着の上から誇張した克彦の中心を撫でると、鼓動のようにドクンとそれが反応する。自分の指で感じてくれていることが嬉しくて、匠は下着をずらし、中心を直接愛撫した。克彦のものをこうして触れる機会は少ない。行為のイニシアティブは大体克彦が握って、匠は翻弄されることが多い。でも、今日は克彦が身を委ねてくれている。匠は克彦の体の下から抜け出し、その前に座り込んだ。
「匠?」
「今日は俺にやらせて」
 匠はそう言うと、克彦の中心に唇を寄せた。そのまま口の中へと招き入れる。大きくて匠の口だといっぱいに開かなくていけなくて、上手く口の中では舐めることすらできない。この行為が初めてのものではないのに、不器用な愛撫しかできなくて、匠は一度口の中から克彦を出し、その顔を見上げた。
「ごめ……下手になったみたい」
「下手でいいんだ。上手かったら嫉妬で狂ってしまうよ」
 克彦が匠の髪に触れ、そのまま耳に掛ける。愛しいと顔に書いてあるような優しい表情を見上げ匠が微笑む。それからもう一度克彦の中心に舌を伸ばした、その時だった。突然肩を掴まれ、ベッドに縫い付けられる。
「もういいよ。今はもっと匠に気持ちよくなってもらいたい」
 そう言って克彦が匠に深いキスをする。舌を絡め、その舌で上あごを撫でられる。激しいキスに付いていこうと意識をそちらに持っていかれている間に克彦が匠の中心を撫で、そのままその奥へと指を滑らせる。閉じたままの蕾に指を入れ、拓いていく。
「ん……」
 慣れた指はすぐに匠の前立腺を探し当て、そこを指の腹で優しく押す。我慢できずに匠が喉から声を上げると、克彦が唇を離した。
「あ、やっ、口、塞いでて……」
 上擦った、いつもと違う声を出してしまう自分が恥ずかしくて匠が言う。けれど克彦はキスの続きはくれなかった。
「もっと聞かせて、匠の声」
「やっ、やだ……あ、そこ、も、無理っ……」
 繰り返し刺激され、匠の口からは意味のない高い声が出る。恥ずかしいけれど、克彦が嬉しそうな顔をしていて、なんだか嬉しかった。
 自分のこんなはしたない姿を見ても笑顔を見せてくれる、そんな克彦が愛しいと思った。
「も、いいから……克彦も……」
 匠が両腕を伸ばして克彦の首に絡める。克彦はその言葉に頷いた。
「愛してる、匠……もう絶対に我慢はさせない」
 克彦がそう言って、匠の中に自身を埋め込む。そんな誓いと、克彦と一つになる喜びに匠は頷いて克彦を抱きしめた。
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