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だから、亮平のことも初めは受け入れるつもりはなかったのだ。自分なんかに気持ちをくれる優しい人を不幸にはしたくないし、亮平を好きなるなんてことも想像できない。いつか亮平と別れることになっても多分、何も感じないのだろう。自分でも酷いとは思うが、楽を待っている時間が辛くて、寂しくて、それを埋めてくれる誰かという存在はきっと亮平じゃなくてもいいのだ。
それでも亮平は、壱月の気持ちを傍で待ちたいと言って、今の関係になっている。
「壱月、気にしてるのか?」
昔のことを思い出していた壱月に、亮平が問いかける。急に黙ってしまったから落ち込んだと思われたのかもしれない。
「いや……僕は全然。亮平は?」
「ぜーんぜん。悪魔と契ったと思えば可愛いもんでしょ。壱月は、小悪魔には程遠いくらい可愛いけど」
亮平は言うと、壱月の腰を抱き寄せた。急なことに、壱月の体はバランスを失い、亮平に傾ぐ。
「今日、泊まってけよ。傍に居てほしい」
耳元で囁かれて、壱月は肩をすくめる。
「泊まるのは、ちょっと……」
「分かってる。何もしない、傍に居るだけ」
な、と耳朶を甘く咬まれて、壱月は、ひゃ、と小さく声を上げた。膨れて甘く睨むと、亮平は、好きだよ、と囁いた。
亮平には、体の関係は持ちたくないと告げている。亮平は、まだ怖いなら今はそれでいいと受け入れてくれているが、こうして時々壱月の体に触れてくる。そのたびに肌がぞわぞわとするのが嫌だった。
楽なら、背中に体温を感じただけであんなに震えるのに、自分の体は正直すぎて、なんだか笑える。
きっとこの人を好きになった方がいいに決まっているのに、それができないのがもどかしくて、亮平にも申し訳なくて、壱月は小さく息を吐いた。
どうして楽なのだろうと思う。楽のことは見た目だけだろと言う人もいる。でも、壱月にとってはそれだけじゃないのだ。
「わかった。じゃあ、同居人に電話していい?」
「ヤダ」
「なんで? 心配させるじゃん」
「宮村楽だろ。おれアイツ嫌い。ホントもう、壱月を家に帰すの嫌なんだよね。なあ、マジで喰われてないんだろうな、壱月。壱月は可愛いからホント心配」
怪訝な目で亮平が壱月を見やる。壱月は笑い出し、頷いた。
「僕と楽は親友だよ。大体僕になんか手出さなくても楽はよりどりみどりだろ。ないよ。だから電話……」
「やだ。つーかもう、壱月はおれのとこに来いよ。一緒に暮らそう、壱月」
「それじゃ、楽に悪いよ。学生に2LDKの家賃は厳しいから……ね、僕と楽は心配ないからメッセージだけでも」
お願い、と首を傾げて見せると、亮平の心が揺らいだのか少し黙る。けれどすぐに首を振ってしまった。
「でもダメ。メッセージ作ってるだけでも嫉妬するから。いいよ、勝手に心配させとけ」
亮平は壱月の尻のポケットからスマホを引き抜くと、自分のジャケットのポケットに仕舞いこんでしまった。
「亮平、スマホ返して」
「いいから、スーパー閉まっちゃうし。早く」
「亮平ってば……ったく」
歩き出した亮平に、壱月は大きくため息を吐いてからついていった。亮平が嫉妬深いのはいつものことだ。こうやって態度に出してくれるのは嬉しいけれど、時々面倒にもなる。
「……ごめんね、楽」
心配しなくていいから、と亮平に聞こえないように壱月は呟いた。電波にも乗らないこの声が楽に届けばいいなと思った。
それでも亮平は、壱月の気持ちを傍で待ちたいと言って、今の関係になっている。
「壱月、気にしてるのか?」
昔のことを思い出していた壱月に、亮平が問いかける。急に黙ってしまったから落ち込んだと思われたのかもしれない。
「いや……僕は全然。亮平は?」
「ぜーんぜん。悪魔と契ったと思えば可愛いもんでしょ。壱月は、小悪魔には程遠いくらい可愛いけど」
亮平は言うと、壱月の腰を抱き寄せた。急なことに、壱月の体はバランスを失い、亮平に傾ぐ。
「今日、泊まってけよ。傍に居てほしい」
耳元で囁かれて、壱月は肩をすくめる。
「泊まるのは、ちょっと……」
「分かってる。何もしない、傍に居るだけ」
な、と耳朶を甘く咬まれて、壱月は、ひゃ、と小さく声を上げた。膨れて甘く睨むと、亮平は、好きだよ、と囁いた。
亮平には、体の関係は持ちたくないと告げている。亮平は、まだ怖いなら今はそれでいいと受け入れてくれているが、こうして時々壱月の体に触れてくる。そのたびに肌がぞわぞわとするのが嫌だった。
楽なら、背中に体温を感じただけであんなに震えるのに、自分の体は正直すぎて、なんだか笑える。
きっとこの人を好きになった方がいいに決まっているのに、それができないのがもどかしくて、亮平にも申し訳なくて、壱月は小さく息を吐いた。
どうして楽なのだろうと思う。楽のことは見た目だけだろと言う人もいる。でも、壱月にとってはそれだけじゃないのだ。
「わかった。じゃあ、同居人に電話していい?」
「ヤダ」
「なんで? 心配させるじゃん」
「宮村楽だろ。おれアイツ嫌い。ホントもう、壱月を家に帰すの嫌なんだよね。なあ、マジで喰われてないんだろうな、壱月。壱月は可愛いからホント心配」
怪訝な目で亮平が壱月を見やる。壱月は笑い出し、頷いた。
「僕と楽は親友だよ。大体僕になんか手出さなくても楽はよりどりみどりだろ。ないよ。だから電話……」
「やだ。つーかもう、壱月はおれのとこに来いよ。一緒に暮らそう、壱月」
「それじゃ、楽に悪いよ。学生に2LDKの家賃は厳しいから……ね、僕と楽は心配ないからメッセージだけでも」
お願い、と首を傾げて見せると、亮平の心が揺らいだのか少し黙る。けれどすぐに首を振ってしまった。
「でもダメ。メッセージ作ってるだけでも嫉妬するから。いいよ、勝手に心配させとけ」
亮平は壱月の尻のポケットからスマホを引き抜くと、自分のジャケットのポケットに仕舞いこんでしまった。
「亮平、スマホ返して」
「いいから、スーパー閉まっちゃうし。早く」
「亮平ってば……ったく」
歩き出した亮平に、壱月は大きくため息を吐いてからついていった。亮平が嫉妬深いのはいつものことだ。こうやって態度に出してくれるのは嬉しいけれど、時々面倒にもなる。
「……ごめんね、楽」
心配しなくていいから、と亮平に聞こえないように壱月は呟いた。電波にも乗らないこの声が楽に届けばいいなと思った。
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