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暖かな腕の中で目を開いた壱月は、これ以上ないほど幸せな気分で楽の寝顔を見つめた。
整った顔は眠っていてもきれいで、見惚れてしまう。この人が自分のものだと思うと、それだけで今後の自分の運を全て使い果たしてしまったのではと思ってしまう。
壱月はそんなことをぼんやり考えてから、はたと気づいて胸に嫌な焦りを覚えた。
「僕……楽のこと、不幸にしちゃうのかな……」
自分の中にある不運の種を思い出し、壱月はぽつりと呟いた。こんなに好きな人なのに、不幸にしてしまうなんて嫌だ。だけど、離れるのはもっと嫌だ。どうしたらいいんだろう、と思うと、自然と涙が溢れてきた。
「………好きだよ」
小さく囁くと、見つめていた唇が不意に動いた――俺も、と。長いまつげが動いて、愛しい目がこちらを見ている。
「いつから起きてたの?」
「多分、壱月が目覚ます前。身動ぎ始めたから目閉じてみた」
言いながら悪戯っぽく笑う楽に、壱月は抗議の目を向けた。どんな反応するのか見たかったんだもん、と子供っぽく言われ、壱月はキスひとつでそれを許す。
「壱月、俺、多分不幸にはなんないよ」
「そりゃ、楽はラッキー体質なとこあるけど、僕も実績あるし」
唇を軽く噛んで目を伏せると、楽は、絶対大丈夫、と言い切った。
「どうしてそんなこと言えるの?」
「壱月がそう言うのって、噂のせいだろ?」
「噂だけじゃないよ。ホントに色々あったし……」
「それ……俺のせいかもしれないんだよね」
その言葉に、壱月の思考は停止した。なんとか頭を動かして考えるが意味が分からない。
「どういうこと?」
「全部ではないとは思うけど……壱月と付き合ってたヤツはやっぱりムカついてたから、そう周りに話したらいつの間にか……そんなことに」
「そんなことって……まさか」
驚いて起き上がった壱月の腰に引きつるような痛みが走った。再びシーツに沈み込むと、楽が驚いて起き上がり、大丈夫? と背中を擦る。余裕の様子に、壱月は恨めしい目で楽を見上げ、楽がやったの? と聞いた。
「それは違う。俺は何もしてないけど、『アイツ学校辞めないかな』とか『卒論なんか消えればいいのに』って周りにぼやいた記憶はある」
平然とうそぶく楽に、壱月は怪訝な目を向けた。
「それって、間接的に楽のせいじゃ……」
確かに楽自身が何かしたわけではないようだが、面白がった友達なのか、楽に媚びたい女の子なのか、とにかく楽から話を聞いた誰かが楽の望み通りにしたということなのだろう。楽王子の憂いを晴らせば、褒美でも出ると思ったのかもしれない。
実際のことは既に分からないが、おそらくそんなところだろう。
「だって……もっと俺に構って欲しかった。壱月が戻ってくればいいと思って、壱月と付き合わない方がいいって噂を流したのは俺だよ」
「本気で言ってる? 先輩の就職とかも手廻したの?」
「まさか、そこまでは。それは実力が足りなかったんだろ、壱月に構ってばっかいたから。天罰だろ」
歯を見せて笑う楽に、壱月は深くため息を吐いた。
「僕の恋愛めちゃめちゃにして、楽しかった?」
「……めちゃめちゃにするつもりはなかったんだ。でも、壊れた時は、正直嬉しかったよ。これで壱月が帰ってくるって、思った」
壱月は背中に置かれた楽の手を取ってゆっくりと起き上がった。じっと見つめる楽の目を見つめ返す。ちょっと性格悪くない? と眉根を寄せると、そんな男が好きなんだろ、と自信満々の笑顔が返る。
「ワガママ。自分は派手に遊んでたくせに」
「壱月への感情が、何かわかんなかったんだ。他人に逃げたり、陰険なことばっかしたのは悪かったと思ってる。ホント、子どもだった」
素直に、ごめん、と頭を下げる楽に、壱月は胸が痛んだ。自分だって、他人に逃げたのは同じだった。楽を責めることはできない。
「俺が他人に頼ったりしたからだよね。寂しいなら寂しいって、楽に言えばよかったんだ」
「じゃあ、この先はどこにも行くなよ、壱月。行く理由なんかないよな? これからは寂しいって俺に言えばいいんだから。毎朝コーヒー淹れてくれるだろ?」
楽の言葉に頷くと、楽は壱月にそっとキスを施した。唇が離れ、壱月はその目を見つめて、口を開いた。
「毎日好きって言ってくれたらね」
壱月の言葉に楽が頷き、好きだよと極上の顔で微笑む。とくん、と心臓が弾けるように鳴り、壱月は笑顔で大好きな楽の胸に飛び込んだ。
きっとこの先も、こうして毎日君に恋していくのだ。
整った顔は眠っていてもきれいで、見惚れてしまう。この人が自分のものだと思うと、それだけで今後の自分の運を全て使い果たしてしまったのではと思ってしまう。
壱月はそんなことをぼんやり考えてから、はたと気づいて胸に嫌な焦りを覚えた。
「僕……楽のこと、不幸にしちゃうのかな……」
自分の中にある不運の種を思い出し、壱月はぽつりと呟いた。こんなに好きな人なのに、不幸にしてしまうなんて嫌だ。だけど、離れるのはもっと嫌だ。どうしたらいいんだろう、と思うと、自然と涙が溢れてきた。
「………好きだよ」
小さく囁くと、見つめていた唇が不意に動いた――俺も、と。長いまつげが動いて、愛しい目がこちらを見ている。
「いつから起きてたの?」
「多分、壱月が目覚ます前。身動ぎ始めたから目閉じてみた」
言いながら悪戯っぽく笑う楽に、壱月は抗議の目を向けた。どんな反応するのか見たかったんだもん、と子供っぽく言われ、壱月はキスひとつでそれを許す。
「壱月、俺、多分不幸にはなんないよ」
「そりゃ、楽はラッキー体質なとこあるけど、僕も実績あるし」
唇を軽く噛んで目を伏せると、楽は、絶対大丈夫、と言い切った。
「どうしてそんなこと言えるの?」
「壱月がそう言うのって、噂のせいだろ?」
「噂だけじゃないよ。ホントに色々あったし……」
「それ……俺のせいかもしれないんだよね」
その言葉に、壱月の思考は停止した。なんとか頭を動かして考えるが意味が分からない。
「どういうこと?」
「全部ではないとは思うけど……壱月と付き合ってたヤツはやっぱりムカついてたから、そう周りに話したらいつの間にか……そんなことに」
「そんなことって……まさか」
驚いて起き上がった壱月の腰に引きつるような痛みが走った。再びシーツに沈み込むと、楽が驚いて起き上がり、大丈夫? と背中を擦る。余裕の様子に、壱月は恨めしい目で楽を見上げ、楽がやったの? と聞いた。
「それは違う。俺は何もしてないけど、『アイツ学校辞めないかな』とか『卒論なんか消えればいいのに』って周りにぼやいた記憶はある」
平然とうそぶく楽に、壱月は怪訝な目を向けた。
「それって、間接的に楽のせいじゃ……」
確かに楽自身が何かしたわけではないようだが、面白がった友達なのか、楽に媚びたい女の子なのか、とにかく楽から話を聞いた誰かが楽の望み通りにしたということなのだろう。楽王子の憂いを晴らせば、褒美でも出ると思ったのかもしれない。
実際のことは既に分からないが、おそらくそんなところだろう。
「だって……もっと俺に構って欲しかった。壱月が戻ってくればいいと思って、壱月と付き合わない方がいいって噂を流したのは俺だよ」
「本気で言ってる? 先輩の就職とかも手廻したの?」
「まさか、そこまでは。それは実力が足りなかったんだろ、壱月に構ってばっかいたから。天罰だろ」
歯を見せて笑う楽に、壱月は深くため息を吐いた。
「僕の恋愛めちゃめちゃにして、楽しかった?」
「……めちゃめちゃにするつもりはなかったんだ。でも、壊れた時は、正直嬉しかったよ。これで壱月が帰ってくるって、思った」
壱月は背中に置かれた楽の手を取ってゆっくりと起き上がった。じっと見つめる楽の目を見つめ返す。ちょっと性格悪くない? と眉根を寄せると、そんな男が好きなんだろ、と自信満々の笑顔が返る。
「ワガママ。自分は派手に遊んでたくせに」
「壱月への感情が、何かわかんなかったんだ。他人に逃げたり、陰険なことばっかしたのは悪かったと思ってる。ホント、子どもだった」
素直に、ごめん、と頭を下げる楽に、壱月は胸が痛んだ。自分だって、他人に逃げたのは同じだった。楽を責めることはできない。
「俺が他人に頼ったりしたからだよね。寂しいなら寂しいって、楽に言えばよかったんだ」
「じゃあ、この先はどこにも行くなよ、壱月。行く理由なんかないよな? これからは寂しいって俺に言えばいいんだから。毎朝コーヒー淹れてくれるだろ?」
楽の言葉に頷くと、楽は壱月にそっとキスを施した。唇が離れ、壱月はその目を見つめて、口を開いた。
「毎日好きって言ってくれたらね」
壱月の言葉に楽が頷き、好きだよと極上の顔で微笑む。とくん、と心臓が弾けるように鳴り、壱月は笑顔で大好きな楽の胸に飛び込んだ。
きっとこの先も、こうして毎日君に恋していくのだ。
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