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朱莉が言い切ると、秋生は表情を幾分柔らかく変えて、そうか、と呟いてしばらく黙り込んだ。それからそっと朱莉の手を取って口を開いた。
「朱莉くんがそんなふうに思ってるなんて、知らなかったよ。この間、花屋に行ったのも、僕が朱莉くんを不安にさせていたからなんだよね。そして、今日もその不安が拭えなくて、こんなことをしたんだよね」
ごめん、と謝る秋生に、朱莉が首を振る。気持ちを信じたいと思いながらも、信じ切れていない朱莉も悪いと思う。ただ、今までの恋愛とは違うテンポに戸惑っているのもあって、今度は朱莉が口を開く。
「秋生さんは、ぼくのこと、抱きたいとか思ったことはないんですか?」
これまで女性としか恋愛をしてこなかったのなら、男である朱莉に抵抗があるのは分かる。いくら好きでも、そういうことはできないと思われても仕方ない。
「思ってるよ。というか、最初からずっと頭の中ではそんなことばかり考えてる。こんなことを言ったら朱莉くんはひくかもしれないけど、君は何度も僕の頭の中で抱かれてるんだよ」
朱莉の心配はどうやら杞憂だったらしい。予想のはるか上を行く秋生の答えに少し呆然としていると、秋生がさらに言葉を足した。
「でも、僕の欲のままに動いていたら、きっと君が嫌いな男たちと一緒になってしまうと思ってた。それだけは嫌だったんだ。朱莉くんの特別になりたいと思っていたから……でも、そうやって自分を抑えてるうちに、タイミングが掴めなくなってしまって」
秋生が眉を下げる。そんなことを考えているなんて知らなくて、朱莉は正直驚いた。ただ、それは嬉しい誤算というもので、秋生のことを嫌だとかそんなふうに思うことは全くなかった。それに、きっと秋生が最初から朱莉に手を出していたら、信用はしていなかったかもしれない。
「もう恋人になったんだから、タイミングなんて気にしなくてよかったのに」
「それでも、朱莉くんはいつ会っても可愛いし、きっと僕はそれに負けて何をするか分からなかったから。僕ね、実はロロも可愛がりすぎて少し嫌われてるんだよね」
秋生が苦く笑う。ロロは以前秋生から写真を見せてもらった猫だろう。写真だけではそんなふうには見えなかったが、愛が重すぎたのかもしれない。好きなのに嫌われているなんて、少し不憫だがなんとなくそれが可愛い気がした。
「ぼくは、どんな秋生さんも嫌いませんよ……好きなようにして、ください」
朱莉が少し視線を落として告げる。薬のせいだけではなく、体温が上がっているのを感じ、それだけで朱莉の鼓動は大きく高鳴った。自分でも大胆なことを言っていると思う。それでもちゃんと伝えなければ薬を打ってきた意味がない。
「それは、その言葉まるごと鵜呑みにしちゃっても、いいの?」
秋生が珍しく言葉を詰まらせながら朱莉の手を強く握る。その手は、さっきまで冷たく感じていたのに、朱莉の体温が移ったように、温かくなっていた。朱莉が秋生の言葉に頷く。
その次の瞬間、朱莉の体は秋生に抱き上げられていた。驚く間もなく、そのまま寝室へと運ばれ、ベッドの上に降ろされる。朱莉の体をまたいでシーツに縫い留めるように覆いかぶさった秋生が、こちらをまっすぐに見下ろした。
「朱莉くんがそんなふうに思ってるなんて、知らなかったよ。この間、花屋に行ったのも、僕が朱莉くんを不安にさせていたからなんだよね。そして、今日もその不安が拭えなくて、こんなことをしたんだよね」
ごめん、と謝る秋生に、朱莉が首を振る。気持ちを信じたいと思いながらも、信じ切れていない朱莉も悪いと思う。ただ、今までの恋愛とは違うテンポに戸惑っているのもあって、今度は朱莉が口を開く。
「秋生さんは、ぼくのこと、抱きたいとか思ったことはないんですか?」
これまで女性としか恋愛をしてこなかったのなら、男である朱莉に抵抗があるのは分かる。いくら好きでも、そういうことはできないと思われても仕方ない。
「思ってるよ。というか、最初からずっと頭の中ではそんなことばかり考えてる。こんなことを言ったら朱莉くんはひくかもしれないけど、君は何度も僕の頭の中で抱かれてるんだよ」
朱莉の心配はどうやら杞憂だったらしい。予想のはるか上を行く秋生の答えに少し呆然としていると、秋生がさらに言葉を足した。
「でも、僕の欲のままに動いていたら、きっと君が嫌いな男たちと一緒になってしまうと思ってた。それだけは嫌だったんだ。朱莉くんの特別になりたいと思っていたから……でも、そうやって自分を抑えてるうちに、タイミングが掴めなくなってしまって」
秋生が眉を下げる。そんなことを考えているなんて知らなくて、朱莉は正直驚いた。ただ、それは嬉しい誤算というもので、秋生のことを嫌だとかそんなふうに思うことは全くなかった。それに、きっと秋生が最初から朱莉に手を出していたら、信用はしていなかったかもしれない。
「もう恋人になったんだから、タイミングなんて気にしなくてよかったのに」
「それでも、朱莉くんはいつ会っても可愛いし、きっと僕はそれに負けて何をするか分からなかったから。僕ね、実はロロも可愛がりすぎて少し嫌われてるんだよね」
秋生が苦く笑う。ロロは以前秋生から写真を見せてもらった猫だろう。写真だけではそんなふうには見えなかったが、愛が重すぎたのかもしれない。好きなのに嫌われているなんて、少し不憫だがなんとなくそれが可愛い気がした。
「ぼくは、どんな秋生さんも嫌いませんよ……好きなようにして、ください」
朱莉が少し視線を落として告げる。薬のせいだけではなく、体温が上がっているのを感じ、それだけで朱莉の鼓動は大きく高鳴った。自分でも大胆なことを言っていると思う。それでもちゃんと伝えなければ薬を打ってきた意味がない。
「それは、その言葉まるごと鵜呑みにしちゃっても、いいの?」
秋生が珍しく言葉を詰まらせながら朱莉の手を強く握る。その手は、さっきまで冷たく感じていたのに、朱莉の体温が移ったように、温かくなっていた。朱莉が秋生の言葉に頷く。
その次の瞬間、朱莉の体は秋生に抱き上げられていた。驚く間もなく、そのまま寝室へと運ばれ、ベッドの上に降ろされる。朱莉の体をまたいでシーツに縫い留めるように覆いかぶさった秋生が、こちらをまっすぐに見下ろした。
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