47 / 55
16-3★
しおりを挟む
「ホントは、ずっとこうしてみたかった。怖くはない?」
聞かれて朱莉が頷いた。
「秋生さんにされて怖いことなんか、ひとつもないです」
秋生を見つめ返した朱莉が、柔らかく微笑む。
秋生にされて怖いことなんかないのは本当だし、秋生が朱莉の怖がることをするはずないという絶対の信頼がある。だから、こんなことを言えるのだ。
秋生は朱莉の目を見つめそっと近づいた。そのまま頬にキスをされ、朱莉が目を閉じる。すると、今度は耳に、そして唇に軽くついばむようにキスを落とす。
「朱莉くん……今、したら、万が一のこともある。選択肢は全部朱莉くんが選んでほしい」
秋生の言葉に、朱莉が目を開いた。選択肢とは、と少し考えてから、確かにこの先、選ぶことはあるなと気づく。
このままするのか、しないのか。するにしても妊娠を避けるようにするのか。そして、最後はこのまま子どもができてもいいと望むのか。
朱莉はしばらく考えてから、ゆっくりと口を開いた。
「……さっき言ったように、ぼくは秋生さんの子を産みたいです。もちろん今がいいけど、その先はぼくだけじゃなく、秋生さんも大きく関わってきます。だから、その判断は秋生さんに任せます」
秋生の遺伝子を持つ子なら朱莉一人でも育てていいとも思うが、やっぱり理想は秋生と一緒に育んでいきたい。でも、それを秋生に押し付けるつもりはなかった。今はまだ無理だというなら、いいタイミングで新しい命を迎えてもいいと思っている。
「……結婚しよう、朱莉くん」
しばらく考えていた秋生が朱莉の体を抱き起こす。なんだか展開の早い言葉に朱莉が思わず笑ってしまうが、秋生の顔は真剣だった。
「ちょっと真面目過ぎじゃないですか?」
遊びで体を繋げようという人もいるのに、結婚の申し込みをしてからにしようなんて、真面目だなと思う。ただ、その不器用さが愛しいとも思った。
「本当は、ちゃんと婚姻届を出してからにしたいくらいなんだよ。だって朱莉くんはその方が安心でしょう?」
きっと前の婚約者の話をしているのだろう。婚約をしたのに朱莉を裏切った元婚約者とは確かに結婚する前に人工子宮の手術までしてしまった。それを後悔していることを秋生は知っている。今度は、万が一子どもができたら、秋生にも裏切られて逃げられるのではないか、という不安を朱莉が抱えていると思ったのだろう。
本当はそんなこと微塵も思っていなかったのだが、朱莉を安心させたくて言ってくれたのだと分かった。それがなにより、朱莉の不安をかき消してくれる。
「そうですけど、ぼくは、秋生さんのこと信じてますから……ぼくがちゃんと好きになった、初めての人なので」
悠馬のことも確かに好きだったと思う。けれど、学生のうちから早々に将来を決めてしまうくらい恋に溺れていたというのも否めない。本当に好きだったのか、と聞かれたら今は少し曖昧だ。秋生に向ける感情をきっと当時の自分は悠馬に向けていなかったし、悠馬もまた、朱莉を本当に好きだったのか分からない。だからこそ、体に触れられないというだけで浮気なんかしたのだろう。
「そうか……朱莉くんが信じてくれるなら、僕はちゃんと朱莉くんを自分のものにするよ」
いい? と聞かれ、朱莉が頷く。それからこちらからキスをした。それに応える秋生のキスが段々と深くなる。舌を絡め、歯列をたどるように舌先で愛撫された頃には、再びベッドに押し戻されていた。意識が溶けそうなくらい甘いキスをされ、朱莉が秋生を見上げると、今までに見たこともないくらい甘い表情の秋生がいた。
それだけで、朱莉を愛してくれているのだと分かる。
聞かれて朱莉が頷いた。
「秋生さんにされて怖いことなんか、ひとつもないです」
秋生を見つめ返した朱莉が、柔らかく微笑む。
秋生にされて怖いことなんかないのは本当だし、秋生が朱莉の怖がることをするはずないという絶対の信頼がある。だから、こんなことを言えるのだ。
秋生は朱莉の目を見つめそっと近づいた。そのまま頬にキスをされ、朱莉が目を閉じる。すると、今度は耳に、そして唇に軽くついばむようにキスを落とす。
「朱莉くん……今、したら、万が一のこともある。選択肢は全部朱莉くんが選んでほしい」
秋生の言葉に、朱莉が目を開いた。選択肢とは、と少し考えてから、確かにこの先、選ぶことはあるなと気づく。
このままするのか、しないのか。するにしても妊娠を避けるようにするのか。そして、最後はこのまま子どもができてもいいと望むのか。
朱莉はしばらく考えてから、ゆっくりと口を開いた。
「……さっき言ったように、ぼくは秋生さんの子を産みたいです。もちろん今がいいけど、その先はぼくだけじゃなく、秋生さんも大きく関わってきます。だから、その判断は秋生さんに任せます」
秋生の遺伝子を持つ子なら朱莉一人でも育てていいとも思うが、やっぱり理想は秋生と一緒に育んでいきたい。でも、それを秋生に押し付けるつもりはなかった。今はまだ無理だというなら、いいタイミングで新しい命を迎えてもいいと思っている。
「……結婚しよう、朱莉くん」
しばらく考えていた秋生が朱莉の体を抱き起こす。なんだか展開の早い言葉に朱莉が思わず笑ってしまうが、秋生の顔は真剣だった。
「ちょっと真面目過ぎじゃないですか?」
遊びで体を繋げようという人もいるのに、結婚の申し込みをしてからにしようなんて、真面目だなと思う。ただ、その不器用さが愛しいとも思った。
「本当は、ちゃんと婚姻届を出してからにしたいくらいなんだよ。だって朱莉くんはその方が安心でしょう?」
きっと前の婚約者の話をしているのだろう。婚約をしたのに朱莉を裏切った元婚約者とは確かに結婚する前に人工子宮の手術までしてしまった。それを後悔していることを秋生は知っている。今度は、万が一子どもができたら、秋生にも裏切られて逃げられるのではないか、という不安を朱莉が抱えていると思ったのだろう。
本当はそんなこと微塵も思っていなかったのだが、朱莉を安心させたくて言ってくれたのだと分かった。それがなにより、朱莉の不安をかき消してくれる。
「そうですけど、ぼくは、秋生さんのこと信じてますから……ぼくがちゃんと好きになった、初めての人なので」
悠馬のことも確かに好きだったと思う。けれど、学生のうちから早々に将来を決めてしまうくらい恋に溺れていたというのも否めない。本当に好きだったのか、と聞かれたら今は少し曖昧だ。秋生に向ける感情をきっと当時の自分は悠馬に向けていなかったし、悠馬もまた、朱莉を本当に好きだったのか分からない。だからこそ、体に触れられないというだけで浮気なんかしたのだろう。
「そうか……朱莉くんが信じてくれるなら、僕はちゃんと朱莉くんを自分のものにするよ」
いい? と聞かれ、朱莉が頷く。それからこちらからキスをした。それに応える秋生のキスが段々と深くなる。舌を絡め、歯列をたどるように舌先で愛撫された頃には、再びベッドに押し戻されていた。意識が溶けそうなくらい甘いキスをされ、朱莉が秋生を見上げると、今までに見たこともないくらい甘い表情の秋生がいた。
それだけで、朱莉を愛してくれているのだと分かる。
38
あなたにおすすめの小説
平凡高校生の俺にイケメンアイドルが365回告白してくる理由
スノウマン(ユッキー)
BL
高校三年生の橘颯真はイケメンアイドル星宮光に毎日欠かさず告白されている。男同士とのこともあり、毎回断る颯真だが、一年という時間が彼らの関係を少しずつ変えていく。
どうして星宮は颯真に毎日告白するのか、そして彼らの恋の行方は?
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる